群馬の日常

文字数 431文字

 群馬県桐生市。山と川に挟まれた、のどかな地方都市だ。街の北には学校が多くあり、公園や動物園もある。街中では、時折、ガシャンガシャンという機織の音がする。
春から夏にかけて、こののどかな日常をやぶるものが現れる。夜になると、市内にある岡の上から声がしてくる。
「また、どこぞの学生が騒いでるな。」

 喜六は岡の途中で居酒屋を営んでいる。天気がよければ毎夜のごとく学生達が閉店間際に酒を買い込んでは岡へと登っていく。夜テレビを見ていると、岡の上が騒がしくなる。9時までは我慢している。喜六はニュースは見ない。テレビを消したとたん、騒ぎが耳につくようになる。

 仏壇に供えてあった饅頭をパクリ。
「酒呑童子!」
 喜六は酒饅頭を食べると日常マンになる。

 喜六は坂道を一気に駆け上る。
「はあ、はあ。」
 若いころならともかく、もう80近い歳には、わずかな坂でもこたえる。
「い、いつまで、騒いでるんでえ。ゼイゼイ。日常を乱すやつは、この日常マンが許さねえ。」
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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