恐怖団参上

文字数 610文字

「毎度お騒がせの恐怖団、響・ジョウが今日も普段通りに参上!」
 黒ずくめの手下たちが、茶色い棒を持って商店街を練り歩いている。
「川越名物、焼き団子。今なら一本百円だ。」
 巨麩を片手に団子を無許可で売りまくる巨麩団。店主が響・ジョウ、団長である。

「左半次!恐怖団の悪党どもをやっつけておくれ。」
 町民達は茶屋で休む一人の男に向かって叫ぶ。
「たやすいこと。いや~、しかし残念。いまは昼時だからできん。」
 かれは、優雅にデザートの団子をほおばりながら残念そうに答えた。
「いつならできるってんだい。」
「そうさなあ、そのような簡単なことは朝飯前なのだよ。」
 彼がそういい終わるか終わらないうちに、
「パリン。」
 恐怖団の投げた石つぶてが左半次の湯飲みを砕いた。

「ご近所の安らかな日常を乱すやつ。悪代官と越後屋が許しても、この日常マンが割れた特売湯飲みに代わって天目茶碗の弁償を命ず。」
「こら、特売にそんな高価な茶碗があるかってんだ。何様のつもりだ。」
 左半次は食事時に茶を取り上げるられるのが何よりもきらいだった。
「もともとひびが入ってるじゃねえか。」
「これ、ひび日常だから。」
「それなら、今度は飯も食えなくしてやる。日常痔にでもなりやがれ。」
「うー、それは困る。しかたがない、食後の運動に成敗してくれよう。」

 左半次は食後に茶を飲むと日常マンに変身するのであった。
「日常~茶飯事!!」
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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