契約・神秘の対価
文字数 2,855文字
別乃世たちは再度、螺理多の探偵事務所を再訪ねた。
さて、豊秩さんはどうします?
秘密を守れば危険はない。
ですが、万が一はあるでしょう。
本来ならば、関わるべきではないのかも知れません。
―――ですが、個人的にはキミには一緒にこの場にいてもらいたい。
きっとそれが、キミの糧になるでしょうから。
そこは少し狭めの会議室となっていた。
一息の間の後。
アーマの姿がわずかに揺らぎ、鈍い光を放ちながら質量を感じさせない「存在」となったことを、その場にいる全員が感じ取った。
そうですね。
そして終わりが見えない以上、僕としてもこの件にだけ力を割くわけにもいきません。
申し訳ありませんが、他の仕事と並行して行うこととなるでしょう。
その事情も含めての見積もりです。
何よりも、今急ぎの仕事が一件ありまして・・・
取引した悪魔が言うには、俺は「人の血肉を食らって傷を癒すゾンビ」らしい。
事実、初めは激しい食人衝動に襲われたんだが・・・
最初に口にしたのが汗だったからか、それ以降は血肉に対する欲求はまるでない。
だが、一度血肉を取り込んでしまったら、再び人肉を欲するようになってしまうのではないかと・・・