其も、神とは何か?
文字数 2,625文字
―――数刻前。
光の柱が天より降るのを見、その方向に向かっていた別乃世とアーマ。
天使の脇腹を抉ったトリィの一撃に、仕留めたかと思ったのも束の間。
次の瞬間には天使に押され、猛スピードで視界の外へと消えていった。
当時、唯一神教の布教率は全人類の6割を越え、それ故の勝算だったのでしょう。
―――そして、結果はまさにそのとおりとなりました。
世界規模で言うと、様々なケースがあるので一概には言えませんが・・・
この国に絞って説明するならば、まずは仏を信仰する「仏法宗」。
彼ら「仏」は、そもそもがこの星の神ではありません。
外宇宙から人間に干渉してきている者たちです。
そうですね。
彼らは「浄土」と呼ばれる星域に住み、資格のある人間の魂をそこへと導きます。
やっていることは、まぁ今の私たちと同じですね。
唯一神からすれば自分の縄張りから魂を奪われているので、当然敵対関係にあります。
大戦の際、部分的に参戦した彼らも事実上の敗北は喫しておりますが、本拠地が外宇宙であるため我々のように魔界に堕とされることはなく、彼らは今もこの世界に干渉を続けています。
ですので徳の高い寺院などは、今も仏との繋がりがあるところも残っているはずです。
結論から言うと、彼らは大戦に参加しておりません。
これは、唯一神と敵対する理由がないためですが・・・
詳しく言いますと、まず、彼らは自然などの精霊から昇華した神々であること。
そのため、他の神々と違い領土拡大・信仰を拡散するという概念を持たず、自らの領地から出ないものであることが挙げられます。
さて、そのあたりはどうなのでしょうか・・・
神祇教の神々を見逃したこと、それが慈悲からなのか打算からなのか。
私は大戦の後に産み出された神ですので、実際に唯一神を見たことはありませんが・・・
学校の授業で習う唯一神の性格は「非常に容赦のない」「無機質なもの」だと教えられています。
そこに話し合いの余地があるかは分かりません。
・・・ですが、あの天使にそれは期待しないでください。
彼女は断罪天使。
今までにも多くの悪魔や悪魔信奉者と見做した人間の命を奪っているはずです。
少なくとも今、この状況で、唯一神に対する忠誠心が揺らぐことはないでしょう。
一見トリィが押しているように見えるが、そこには先程までの余裕は見られない。