邪悪なる悪魔の儀式

エピソード文字数 2,625文字

―――さて、準備は整ったな?



にやりと笑う悪魔の前。





そこには、羞恥で顔を真っ赤に染めつつも要所をなんとか手で隠そうと、身を捩り、もじもじする全裸の女神。

残念ながら豊満なその胸は片手では隠しきれず、色々とこぼれ落ちてしまっている。



は・・・はい・・・

うむ、準備万端。


※まっぱです



そして、こちらは恥じ入る素振りも見せず堂々と全裸で横たわる別乃世・望。


実際、身体を動かすことができないので隠しようもないのではあるが、初対面の女性二人にすべてをさらすその胆力は、常人のものとは思えない。



・・・よし。

では手順を説明する。

なんなりと!


※まっぱです

は、はやく終わらせましょう。
いや、万全を期してここは慎重に・・・

じっくりいきましょう!


※まっぱです

お前、死ぬぞ。

それは困る。


※まっぱです

じゃあさっさとやってしまうぞ。

―――なに、やることは簡単だ。


アーマ、この粉をそこのアホの全身に隈無くまぶして素肌に刷り込め。



と、どこから取り出したのか一抱えはある麻袋を女神に渡す。  



は、はい。

分かりました。

―――ただし、全身を使ってだ。
ぜ、ぜんしん・・・!?

それは一体・・・

身体と身体をくっ付けて、ウネウネにょろにょろしながら塗りたくるんだよ。
な、な、な・・・
なんですと!?


※まっぱです

時間がないんだ、ガタガタ言うな。

手で揉み込んでたら時間がいくらあっても足りん。


それに、身体中から出る汗やらなんやらで程よく粉が馴染むんだよ。

ほ、本当に必要なんですか、それは?
悪魔に頼った自分を呪え。

悪魔の儀式なんかエロいかグロいかの2択なんだよ。


―――それともなんだ、内臓引きずり出す系でいっとくか?

うぅぅ・・・
だいたいな、そもそもがお前のミスの尻拭いみたいなもんじゃないか。

アホらしい。

自分のケツは自分で拭け。

え、ミス?


※まっぱです

そ!

それは・・・!

「今際の際」が一時間半とかアホにも程があるだろうが。

え、でもそれは俺が絶妙な加減でトラックに飛び込んだからで・・・


※まっぱです

跳ねられて死ぬまでに30分掛かるとしても、この空間に連れてくるのはもっと遅くてもいいだろ?


くたばる5分前とかさ。

・・・そういえば、普通は5分とか10分とか女神さま、おっしゃってましたっけ?


※まっぱです

あ、はい、それはその・・・

・・・何で黙ってたの?


※まっぱです

いえ、その、お伝えしようとは思ったんですが、別乃世さんが何だか納得してらしたので―――!

そのままにしておいたと。


※まっぱです

は、はい・・・
ほらほら、今さら言っても仕方ないだろ。

あとが押してるんだから、さっさと始めろ。

むう・・・納得はいかんが仕方ない。

この話はまたのちほど、しっかりと。


※まっぱです

は、はい・・・

では、失礼しまして・・・



色々と観念した女神が袋の中の粉を別乃世にぶちまけて、おずおずと肌を重ねていく。


重量感のある柔らかいものが、別乃世の胸にむにりと落ちてくる。



ほう、これは・・・!


※まっぱです



おそるおそる、だがしっかり丹念に、女神は別乃世の身体に粉を馴染ませていく。



こ、こんな感じでよろしいのでしょうか・・・?

動きが甘い!

もっとバネを利かしてリズミカルに!

うねりもまるで足りん。

―――いやまて!

これはこれで情緒があって良い!

このままの加減を所望する。


※まっぱです

うぅぅ・・・

―――ああ、頭は念入りにな。

毛髪を掻き分けてきちんと頭皮に馴染ませろ。

ムラがあるとそこから破裂して中身が出るぞ。

中身が出る!?


※まっぱです

こ、こうですか?

うむ!

仰向けのまま後ろ頭をわしわしするために、顔の辺りに柔らかいものがむにんむにんと・・・!


※まっぱです

か、解説しないでください!
・・・アーマお前、本当にアホなやつ捕まえてきたな。



そうして色々とむにんむにんすることしばらく・・・



で、できました!

これでもういいですよね?

おいおい、一から十まで説明しなくても分かるだろ?

毛の生えてるのは頭だけか?

・・・!

・・・・・・!


※まっぱです



・・・・・・



ぬうぅ・・・くっ、これは・・・!


※まっぱです

ああ・・・もう・・・



・・・しばらくの後。

一部の隙間もなく、別乃世はすっかり粉にまみれた姿と化していた。






―――さて、そろそろ頃合いか?
うむ―――すべて赦そう。

女神アーマ・シュクレイム。

え・・・?

あんたのミスで地獄の責め苦を受けた挙げ句に死にかけたが、なんやかんやでものすんごい体験をさせていただいたので不問にする。


コングラッチュレーション。

・・・・・・!
そいつは何より。

では儀式の仕上げだ。


―――おいアホ、この中に入れ。

え?



そこには、やはりどこからともなく取り出した大きな鍋が。


中は煮えたぎった油のようなもので満たされており、ぼこんぼこんと鳴っている。



いや、ちょっと・・・これ?
―――ああ、心配するな。

超高温の地獄の釜だ。


なぁに、熱いと思った瞬間にはお陀仏だ。

意識があるのはほんの一瞬さ。

え、死ぬの?

ああいや、ものの例えだ。


今のお前は魂の状態だからな。

物理的に煮えたぎった鍋に放り込まれるわけじゃないから当然死ぬことはない。


・・・ただ、この鍋も実物ではなく概念的なものだからな。

肉体的な外傷は受けないが、お前の魂が受ける苦痛は実物と同じものだと思ってもらって間違いない。

いやいやちょっとまって・・・
言ったろう?

悪魔の儀式はエロかグロかの2択だと。


―――エロが終われば次はグロだ。

それ2択じゃないじゃん!
我が第六団は強欲を司る!


択が2つあれば両方取るのさ。


―――いいからさっさと入れ!

ぎゃーーーー!



抵抗することもままならず、どぼんと鍋に放り込まれる別乃世。


その後は暴れることも叫び声をあげることもなく。

悪魔の言うとおり一瞬にして意識は途切れたようだ。



・・・ふん、馬鹿な男だ。
あの、これ・・・本当に大丈夫なんでしょうか?
まぁ実際に肉体を揚げてるわけじゃないからな。

それより、お前はさっさと服を着てこい。

えっ・・・あっ!


は、はい・・・!



あまりの出来事に呆然と事の成り行きを眺めていた女神は、悪魔に言われて自分が全裸であったことを思い出し、おずおずと脱いでいた衣服を手に取り、それを着るためどこか空間の「奥」へと消えていった。



これでやつもまぁ、少しは懲りただろう。


・・・さて、ともあれ思わぬところから良い「贄」が手に入ったものだ。


別乃世・望。

お前にはたっぷりと働いてもらうぞ・・・



―――そうして。

女神も姿を消した空間で、悪魔はまさに悪魔にふさわしい邪悪な笑みを浮かべていた。



ふはははははは・・・!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【主人公】

 別乃世・望(コトノヨ・ノゾム)


現代社会への不満故に、軽トラに引かれることにより異世界に転生することを決意したポジティブ・ニート。


紆余曲折を経て異世界転生に失敗。

なんやかんやあってゾンビとなる。

【異界転生女神】

 アーマ・シュクレイム


時空神アナザを主神とする女神。

死に至る者の強い願いの力を使い、その者を異世界に転生させる。


別乃世・望の強い思いに呼応して降臨するが、思いの外即死に至らなかった別乃世が苦痛のあまり、異世界転生よりも傷を治して生き返りたいと思う願いを強めてしまい失敗。

機転を効かせてフォローに成功するも、その代償として神界に帰れなくなる。

アーマ・シュクレイム

(実体化)


食事によるエネルギー摂取のために霊体濃度を高め、実体化した姿。

服も霊体であるため、服装は自由自在である。


摂取した食料を消化・吸収・排出しきるまでは霊体には戻れない。

【操霊邪法悪魔】

 トリカラ・マイウー


別乃世・望を蘇生させるためアーマに呼び出された悪魔。

地獄の7大魔王サンダース・トゥモロウアース配下。

死霊を操る邪法を司る。


別乃世とアーマの要望を最大限に叶えるため、別乃世を「人肉を食らうことにより傷が癒えるゾンビ」にする。

トリカラ・マイウー

(実体化)


アーマのご飯を買いに行くために霊体濃度を高め、実体化した姿。

元が霊体であるため、角・羽根・尻尾・顔の傷などの悪魔的アクセントは出し入れ可能である。

【異端断罪天使】

 メンタイ・ハクマイナー


唯一神に仕える天使。


唯一神の縄張りである現世から魂を掠め取る異界転生、神の名を騙る邪女神、魂を弄ぶ糞悪魔、小汚いゾンビなど、神に逆らう有象無象の一切を許さず断罪する。

【エクソシスト】

 シスター・カッドロゥ


唯一神教徒。

メンタイ・ハクマイナーを守護天使とする悪魔祓い。

空手をベースとした体術と神秘術を組み合わせた戦法を得意とする。


街に増殖するゾンビの元を断つため派遣される。

【ゾンビ・クィーン】

 阿波津・怜子(アワヅ・レイコ)


街ですれ違った別乃世に因縁をつけて、連れの男にボコらせた極悪女。


お腹のすいた別乃世にがぶりとやられてゾンビとなるが、ちょっと噛まれた程度であったため屍にはならず。

人肉を食らう欲求とゾンビ感染能力を受け継ぎレッツ・パーリィする。

【探偵】

 螺理多・極(ラリタ・キメル)


螺旋のごとく捻れ絡み合う、幾多の世の理を見極めることを信念としており、その信念はときに利益や倫理をも度外視する。


理屈さえ通れば神も悪魔も許容する柔軟な思考の持ち主。

【探偵事務所アルバイト】

 豊秩・満子(トヨチツ・ミチコ)


螺理多探偵事務所のアルバイト。

年の割に落ち着いており、色々な話題に即座に対応できる感性の持ち主。


螺理多にはちょっとした憧れを抱いている。

通称ちち子。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色