邪悪なる悪魔の儀式
文字数 2,625文字
そこには、羞恥で顔を真っ赤に染めつつも要所をなんとか手で隠そうと、身を捩り、もじもじする全裸の女神。
残念ながら豊満なその胸は片手では隠しきれず、色々とこぼれ落ちてしまっている。
そして、こちらは恥じ入る素振りも見せず堂々と全裸で横たわる別乃世・望。
実際、身体を動かすことができないので隠しようもないのではあるが、初対面の女性二人にすべてをさらすその胆力は、常人のものとは思えない。
いや、万全を期してここは慎重に・・・
じっくりいきましょう!
※まっぱです
じゃあさっさとやってしまうぞ。
―――なに、やることは簡単だ。
アーマ、この粉をそこのアホの全身に隈無くまぶして素肌に刷り込め。
と、どこから取り出したのか一抱えはある麻袋を女神に渡す。
身体と身体をくっ付けて、ウネウネにょろにょろしながら塗りたくるんだよ。
時間がないんだ、ガタガタ言うな。
手で揉み込んでたら時間がいくらあっても足りん。
それに、身体中から出る汗やらなんやらで程よく粉が馴染むんだよ。
悪魔に頼った自分を呪え。
悪魔の儀式なんかエロいかグロいかの2択なんだよ。
―――それともなんだ、内臓引きずり出す系でいっとくか?
だいたいな、そもそもがお前のミスの尻拭いみたいなもんじゃないか。
アホらしい。
自分のケツは自分で拭け。
「今際の際」が一時間半とかアホにも程があるだろうが。
え、でもそれは俺が絶妙な加減でトラックに飛び込んだからで・・・
※まっぱです
跳ねられて死ぬまでに30分掛かるとしても、この空間に連れてくるのはもっと遅くてもいいだろ?
くたばる5分前とかさ。
・・・そういえば、普通は5分とか10分とか女神さま、おっしゃってましたっけ?
※まっぱです
いえ、その、お伝えしようとは思ったんですが、別乃世さんが何だか納得してらしたので―――!
ほらほら、今さら言っても仕方ないだろ。
あとが押してるんだから、さっさと始めろ。
むう・・・納得はいかんが仕方ない。
この話はまたのちほど、しっかりと。
※まっぱです
色々と観念した女神が袋の中の粉を別乃世にぶちまけて、おずおずと肌を重ねていく。
重量感のある柔らかいものが、別乃世の胸にむにりと落ちてくる。
おそるおそる、だがしっかり丹念に、女神は別乃世の身体に粉を馴染ませていく。
動きが甘い!
もっとバネを利かしてリズミカルに!
うねりもまるで足りん。
―――いやまて!
これはこれで情緒があって良い!
このままの加減を所望する。
※まっぱです
―――ああ、頭は念入りにな。
毛髪を掻き分けてきちんと頭皮に馴染ませろ。
ムラがあるとそこから破裂して中身が出るぞ。
うむ!
仰向けのまま後ろ頭をわしわしするために、顔の辺りに柔らかいものがむにんむにんと・・・!
※まっぱです
・・・アーマお前、本当にアホなやつ捕まえてきたな。
おいおい、一から十まで説明しなくても分かるだろ?
毛の生えてるのは頭だけか?
・・・しばらくの後。
一部の隙間もなく、別乃世はすっかり粉にまみれた姿と化していた。
うむ―――すべて赦そう。
女神アーマ・シュクレイム。
あんたのミスで地獄の責め苦を受けた挙げ句に死にかけたが、なんやかんやでものすんごい体験をさせていただいたので不問にする。
コングラッチュレーション。
そいつは何より。
では儀式の仕上げだ。
―――おいアホ、この中に入れ。
そこには、やはりどこからともなく取り出した大きな鍋が。
中は煮えたぎった油のようなもので満たされており、ぼこんぼこんと鳴っている。
―――ああ、心配するな。
超高温の地獄の釜だ。
なぁに、熱いと思った瞬間にはお陀仏だ。
意識があるのはほんの一瞬さ。
ああいや、ものの例えだ。
今のお前は魂の状態だからな。
物理的に煮えたぎった鍋に放り込まれるわけじゃないから当然死ぬことはない。
・・・ただ、この鍋も実物ではなく概念的なものだからな。
肉体的な外傷は受けないが、お前の魂が受ける苦痛は実物と同じものだと思ってもらって間違いない。
言ったろう?
悪魔の儀式はエロかグロかの2択だと。
―――エロが終われば次はグロだ。
我が第六団は強欲を司る!
択が2つあれば両方取るのさ。
―――いいからさっさと入れ!
抵抗することもままならず、どぼんと鍋に放り込まれる別乃世。
その後は暴れることも叫び声をあげることもなく。
悪魔の言うとおり一瞬にして意識は途切れたようだ。
まぁ実際に肉体を揚げてるわけじゃないからな。
それより、お前はさっさと服を着てこい。
あまりの出来事に呆然と事の成り行きを眺めていた女神は、悪魔に言われて自分が全裸であったことを思い出し、おずおずと脱いでいた衣服を手に取り、それを着るためどこか空間の「奥」へと消えていった。
これでやつもまぁ、少しは懲りただろう。
・・・さて、ともあれ思わぬところから良い「贄」が手に入ったものだ。
別乃世・望。
お前にはたっぷりと働いてもらうぞ・・・
―――そうして。
女神も姿を消した空間で、悪魔はまさに悪魔にふさわしい邪悪な笑みを浮かべていた。
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