第16話

文字数 549文字

(あれ……私、なんで戦ってるんでしたっけ。)
私、二科紗楽は親の顔を知りません。
ずっと、施設で育てられました。
そんな私にとって、唯一大切な存在だったのが――芹ちゃんでした。
私は施設にいた頃、いじめを受けていました。
毎日のように悪口を言われ、ずっと1人で過ごす日々。男子にも女子にも、挙句の果てには先生からも腫れ物扱い。
そんな地獄のような日々から救ってくれたのが、芹ちゃんでした。
私を守ってくれた芹ちゃんは本当にかっこよくて――
あの日から、ずっと芹ちゃんが私のヒーローです。
芹ちゃんみたいになりたくて、そして、今度は私が芹ちゃんを守るために、剣術を学び始めました。
2年前、旅に参加したのも芹ちゃんがいたからです。
今、旅に参加してるのも、もちろん。
でも――この戦いは、芹ちゃんと直接関係は無い。
それなら、この戦いに意味はあるんですか?
私がこの戦いに居なくたって――



「紗楽さん!紗楽さん!!」
満紘が叫ぶ。
(あれ……私……一体何を……)
「よかった!目を覚ました!魔法が解けたんだ!」
(魔法で昔のことを思い出して……?)
「紗楽さん、すぐに攻撃が飛んできます。気をつけて!」
「はい!迷惑を掛けてしまいすみません。」
(芹ちゃんが居なくても……私は戦える!)
紗楽は再び立ち上がる。その顔はさっきまでより凛々しかった。
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