第6話

文字数 1,452文字

「おー!すげえ!」
貴祢の新しい力によって4人が世界の狭間にたどり着いた。光紘はとても驚いた様子であたりを見回す。
「なんか……床の感触、気持ち悪くない?」
「わかる……なんかいつもとぜんぜん違う感触だよね。歩きづらい……」
そう言いながら歩き回る御世汰と六花の表情は渋かった。
「まあまあ、少し経ったら慣れるよ。――それで、街はあっちの方面にあったんだ。」
そう言って貴祢は西の方角を指差す。
「あーほんとだ、うっすら何かみえるかも。早くいこーぜ。」
「あーちょっと光紘!1人でいかないの!」

「ここが……街?」
「なんか不気味だね。」
街の外まで漂っている不穏な雰囲気に4人は怖気づく。
「とりあえず……中に入ってみる?って……うわぁ!」
「貴祢!」
叫びながら御世汰は貴祢を勢いよく突き飛ばす。
何者かに襲われたのだ。意識が朦朧としている貴祢には襲ってきたのが何者なのかよくわからない。
「おめーら、急に襲ってくるなんて質悪りーな!!……って、なんだ?機械か?」
なにかに気がついた様子の光紘。
その間にも相手の攻撃はやまない。
「今アタシたちがやるべきことは、こいつらの正体がなんなのか知ることじゃなくて、こいつらを倒すことよ!いきましょう、みんな!」
冷静に状況判断をしてくれる六花の姿は出発前の不安な姿からは想像できない頼もしさだった。
「六花ちゃんたのもしー!いくぜ!おりゃ!!!」
腰元に装備していた謎の薬品を敵全体に勢いよく振り撒く光紘。
光紘が使った薬品は、周りの敵を麻痺状態にする効果があるようだ。
貴祢はようやく起き上がり、すかさず槍で攻撃を加える。
しかし、敵の硬い装甲に弾かれてしまう。
光紘が撒いた薬品は敵に効いているようで、動きが鈍い。
貴祢はもう一度槍で攻撃を加えると、今度は装甲を貫くことができた。
しかし、敵はまだ倒れない。
六花も扇から衝撃波を放ち、敵を怯ませる。
「光紘、貴祢!今よ!」
「よっしゃあ!」
光紘は薬品を再び敵に撒き散らして敵の動きを鈍らせる。
そして貴祢と六花は同時に攻撃し、2体の敵を撃破する。
残る敵はあと1体……と思われたが、その一体は他の個体よりも大きく装甲も硬い。
2体の敵を倒したことで油断していた4人は再び攻撃を仕掛けてきた敵に反応できず攻撃をまともに受けてしまう。
4人は吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
「いてて……みんな、大丈夫?」
貴祢は起き上がりながら他の3人を確認する。
「僕は大丈夫。」
「いってえ……結構やばいかもしんねー」
「アタシも……腕が……」
光紘と六花は打ちどころが悪くかなりのダメージを受けてしまったようだった。
そこに御世汰が割って入り、2人の負傷した部分をじっくりと見る。
「あー。このくらいの傷ね。はい。」
「……おー!全回復!!もう完全に戦えるっしょ!」
御世汰が回復してくれたのだ。2年前のときからずっと回復役を担っていたので、その腕は伊達じゃない。
久しぶりに回復の感覚を味わった光紘は嬉しくなったのか腕をぶんぶんと振り回す。
「アタシの傷も治ってる……御世汰さん、ありがとう。」
「このくらいできて当然。ほら、早くしないとまた敵に先制攻撃されちゃう。」
そう言いながら御世汰は3人を敵の方に向かせる。
「いくよ。」
貴祢は新しく生えた翼を広げ、空中から敵の脳天へ槍を突き刺す。
御世汰は貴祢の槍に雷を纏わせ、敵に電撃を浴びせる。
光紘は薬品で敵の装甲を溶かし、六花は扇での近接攻撃で敵を切りつける。そして、4人は一斉にとどめの一撃を繰り出す。
4人の攻撃は敵に見事命中し、敵は跡形もなく消え去る。
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