第3話

文字数 1,057文字


「これだけで大丈夫かのう?」
「大丈夫大丈夫。前もこれで戦ったんだし。」
絢瑠はお得意の短剣を磨きながら話す。
今から貴祢たちは、狭間の世界に行くのだ。
何かがあってはいけないので、一応武器を揃えていく。
絢瑠は短剣、貴祢は槍だ。2年前と同じ武器で懐かしさを感じている。
本によると、狭間の世界に一度行ったことのある人間は、とある遺跡のワープゲートに触れると行けるらしい。
その本を信じて、今、遺跡に来ている。

「それじゃあ、準備はいい?絢瑠。」
「もちろんじゃぞ♪貴祢。」
ワープゲートに触れる。すると、足元にワープゲートが広がっていく。
少しずつ視界が白んでくる。
そして、気がつくと、見たことのあるようなないような場所にいた。
「ここは……?」
見渡すと、そこは神殿のような場所だった。奥には螺旋階段が続いている。そして上を見上げると……
「貴祢!!危ない!!!!」
ドンという音と共に、左腕に激痛が走る。
「いっ!?……たぁ……。」
貴祢が見ると、左腕から血が出ていた。
「怪物じゃ!」
絢瑠が叫ぶ。
ハッキリとしない意識のまま絢瑠の方を見ると確かにそこには三体の怪物が居たのだ。
怪物は、狼のような見た目だった。そして、大きな爪を持っている。
「これは……まずいのう……。」
絢瑠も剣を構えるが、その剣先は震えている。
「絢瑠!大丈夫!?」
「……っ!」
絢瑠は無言で頷く。
「貴祢はそこで見ておれ!」
そう言うと絢瑠は、怪物に向かって走っていく。
「やあっ!!」
しかし、怪物の爪に弾き返される。
「絢瑠!!」
助けに行きたいが、左腕に激痛が走り、とても動けそうにない。
絢瑠は怪物を見据えて立つ。そして覚悟を決めたように剣を構えると……
「っ!あぁぁぁ!!」
一思いに怪物の腹を裂いた。そしてその傷に向かって剣を突き刺す。すると、怪物は跡形もなく消えた。
「はぁ……はぁ……。」
絢瑠もその場にへたり込む。しかし、その後ろからもう一体が襲いかかる。
「貴祢ッ!後ろじゃ!!」
後ろからの攻撃に気づいた絢瑠は、力を振り絞って飛び上がり怪物を切り裂く。そして、貴祢もその首目掛けて槍を突き刺す。しかし、怪物も爪で応戦する。その爪が絢瑠の頬を掠る。
「あっ……。」
絢瑠の剣は怪物の首を落とした。そして、怪物は消えた。
「絢瑠!大丈夫!?」
「……大丈夫じゃ。」
絢瑠はそう答える。
あともう1体。
「……貴祢、いけるか?」
「ああ。」
絢瑠は最後の一頭を見据える。そして、怪物の方も絢瑠と目を合わせる。そして、お互いに動き出す。
そして……
「やあぁぁ!!」
渾身の力で怪物に短剣を突き刺した。怪物は消えた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み