第7話

文字数 1,336文字

「やった!倒した!」
きゃっきゃと喜ぶ六花。
「一体何なんだろう、さっきの怪物は……」
「そもそも、怪物、なのか……?機械かなにかに見えたんだけど。」
貴祢と御世汰は頭を悩ませる。
「まあとにかく、街の中に入ろうぜ!」
光紘のその一言で街に入ろうとする4人、だったが
「……うわっ」
さっき倒した機械の怪物のようなものが街を占拠していたのだ。
このままでは街に入ることすらできない。
どうするべきか再び頭を悩ませる4人。

「――さっきの兵士たちを倒したのはお主らかい?」
「えっ、兵士?たぶん、そうです……」
街の中からお爺さんが出てきて話しかけられた。
「お爺さん、兵士って……その体は!?」
「え!?じーさん透明じゃん!大丈夫!?」
驚きを隠せない御世汰と光紘。
そう。お爺さんの体は透明だったのだ。
「わしは死んでおるからなあ……この世界の人間はみな、透明な体をしておるぞい。」
お爺さんは丁寧にそう説明してくれた。
「そっか……そもそもこの世界は雅久くんがいってたように、成仏できてない人間が留まる場所だもんな。」
「そうじゃそうじゃ。そういうことじゃ。」
「あの……さっきの機械みたいな怪物みたいなのって、兵士、なんですか?」
疑問に思った貴祢が尋ねる。
「そうじゃぞ。あれは兵士じゃ。……この街について知りたいか?」
「……はい。知りたいです。」
お爺さんは続ける。
「この街はな……怪物に乗っ取られたのじゃ。」
「乗っ取られた……?」
「意図は分からぬが、その怪物がこの街で機械を大量生産させておるのじゃ。たぶん、自分が倒されぬように機械に戦わせておるのだろう。おかげで人間は肩身が狭くてのう……」
お爺さんが話し終わる頃にはゆっくりと空が暗くなって、既に日が沈んでいた。
「おっと……長く話しすぎてしまったかのう……とにかく今日は、わしの家に泊まりなさい。」
「いいの!?じーさんめちゃくちゃいい人だな!」
「お爺さん、ありがとうございます。」
お爺さんにしっかりとお礼を言い、機械に襲われないよう街の裏からお爺さんの家へと向かう。


「これが……雅久くんの言ってた、異変?」
既にお風呂に入りリラックスした状態の光紘が話し出す。
「そうかもね……とにかく、アタシがすべきことはこの街を乗っ取ってる怪物を倒すことかな。」
「そうだね。とにかく、作戦をたてないと……」
「まず、この街は兵士が徘徊しててまともに歩けたもんじゃない。その兵士の弱点を見つけてすぐに倒せるようにならなきゃいけないでしょ。」
御世汰が痛いところを突いてくる。
「そうだね……どうしようか」
「たぶんあいつらは、あの硬い装甲を剥いだらあんま強くねえ。だから俺っちがあの装甲を溶かす薬を作る。」
光紘が解決方法を導いてくれる。これは期待大だ。
「ありがとう光紘。さすがだね。」
「貴祢は褒めるのが上手いんだからー!」
そう言っておどけてみせる光紘。
「それじゃあ、今日のところはもう寝てしまおう。戦いの疲れもあるだろうし……って、六花もう寝ちゃってる。」
すうすうと寝息を立てながら気持ちよさそうに眠る六花。
いつもなら誰よりも人の話を聞いて分析するのに、今日は久しぶりの戦いで疲れてしまったんだろう。
「電気消すよ。」
カチカチと電気のスイッチを消していく御世汰。
やがて皆は寝てしまった。
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