第1章 第6話

文字数 1,041文字

 俺はマジマジと二人を見比べる、どうやら嘘はついてないようだ。

「ホントか?」

 清水が心底呆れ顔で、
「キングーーー お前あん頃、ほんっと女子に興味無かったもんなあ」
 クイーンが俺たちのテーブルにドンっと腰掛け、興味深そうに俺を覗く。
「お前、あん頃彼女いなかったのかあ?」

 何故か小室が全身全霊で、
「いませんいません! てか、キングさあ、彼女禁止令出してたよな、バスケ部で」

 …ああ、そう言えば… 俺のパワハラ体質はあの頃から…

「そーそー。で、彼女作った大澤? 罰として丸坊主ギャハー」
「でもその彼女、坊主頭にハマりにハマって、」
「今では坊守さんっ」
 二人は内輪ネタで大笑いだ。

「ともかく、コイツは中坊の頃はホント女っ気無かったわー」
「……ウソつけ」
 クイーンが小室を睨みながら言い放つ。

「は?」
「へ?」
「コイツ、生徒会の副会長と付き合ってたろーが…」
「はあ? あの秋本とー?」
「ないないない。島田さんそれ何のギャグ?」

 クイーンは颯爽と立ち上がり、向こうのテーブルの一団に向かい大声で、
「おーい、律子ー キングって秋本ってえのと付き合ってたんだよなー?」

 店内は一瞬静まり、そして大騒ぎとなる。
「えーーーーーー」
「マジーーーーー」
「ひょえーーーーー」

 店内が騒然としている中、小柄で眼鏡をかけた真面目そうなおばさんがこちらにやって来て
「私達、付き合っていませんでした」

 その毅然とした言い方に、一瞬にして騒ぎが収まる。それにしても、この目の前の女性…
「え…… 秋本?」
 おばさんは眼鏡の奥からニッコリと笑いながら、
「金光君、お久しぶり」

 その後、俺たちバスケ部は生徒会メンバーと合流し、清き麗しき青春の懐かしい思い出話に花を咲かせ…… る事が相成らなかったのはまあ想定内なのだが…

「こ、これが噂の! 同窓会ラヴって奴かあー?」
「アホか! なに下唇噛んでんだボケ」
「そこじゃないでしょー で! ホントはあの時二人付き合ってたの?」
「違うよ。私、木村君と付き合ってたんだよ。ね!」
「うわ… それ言う? この場で、この空気で言う?」
「木村ー 脂汗かいてるぞお、手汗スゲーぞお」
「ちょ、ちょ待て! こ、これが本場のー 同窓会ラヴかーーー!」
「んだよ。じゃあキングって、ホントに彼女居なかったのかあ?」
「そうだよ。バスケ一筋。勉強一筋。生徒会一筋…」
「何筋あんだよ… 京都かよ」
「で、木村君、今どうしてるのお?」
「んーボチボチ。アコちゃんは?」
「た、只今、本物の同窓会ラヴ、実況中継なうーーー」
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