第4章 第3話
文字数 858文字
「ったく仕方ねえヤツなんだよ。女房に逝かれて仕事クビになってオンナにフラれて。娘にはウザがられて母親には愛想尽かされて。ま、誰かがかまってやんねえとだわ」
会計を終え、バスに荷物を積み込んでいる皆のところに行くと、クイーンが大声で俺のことを吹聴している。
「みっちゃん… う・し・ろ」
「旦那が来たよー わ… 怖…」
誰が旦那だよ。いい加減にして欲しい。顔がにやけるだろうが…
「ホント仕方ないヤ… あ。」
俺はクイーンの頭を上から押さえながら、
「おい。誰が仕事クビになったよ?」
「あれ、違うのか?」
「お前、マジでそう思ってたのか… それより! 葵が俺をウザがってる? 嘘つくなお前!」
「ウザがってんじゃん」
「え… そう…なのか…? ど、どこがだよ、マジか…」
割と真剣にショックを受けていると、
「おーーい 夫婦喧嘩禁止っ」
「ハイハイハイ! ったく浮かれやがって」
「でも、ある意味流石キングですね、あのクイーンと…」
皆、生暖かい視線で俺らを眺めている。と言うか、冷やかしている。とても五十代のオトナのすることでは無かろうに…
クイーンを見ると、顔を真っ赤にして怒っているーのではなく、怒ったフリをして照れている、まるでJCかJKの様に…
「でもよ… 何つうか、この修学旅行… 」
皆に聞かれないように、クイーンがそっと俺だけに囁く。
「お、おう…」
見たことのない表情で、クパッと笑いながら、
「ありがとな」
「あ、ああ…」
全く。今回の旅で、どれだけ初めてのクイーンを見られたであろう。どれもこれも、中学生の頃のままのクイーンに違いない、俺がその時見ようともしなかった、本物のクイーンの笑顔の数々。
最高の笑顔を眺めていると、昨夜の話―コイツが昔俺を好きだったコトーを思い出し、思わず赤面し、顔を背けてしまう。彼女からと言うよりも、彼女の過去から背を背けてしまう。
聞き出したい。彼女の口から、その頃の思い、その時の気持ちを直接聞いて見たい。
そんなことを思いながらホテルを後にし、俺たちは日光観光の定番である東照宮へ向かう。
会計を終え、バスに荷物を積み込んでいる皆のところに行くと、クイーンが大声で俺のことを吹聴している。
「みっちゃん… う・し・ろ」
「旦那が来たよー わ… 怖…」
誰が旦那だよ。いい加減にして欲しい。顔がにやけるだろうが…
「ホント仕方ないヤ… あ。」
俺はクイーンの頭を上から押さえながら、
「おい。誰が仕事クビになったよ?」
「あれ、違うのか?」
「お前、マジでそう思ってたのか… それより! 葵が俺をウザがってる? 嘘つくなお前!」
「ウザがってんじゃん」
「え… そう…なのか…? ど、どこがだよ、マジか…」
割と真剣にショックを受けていると、
「おーーい 夫婦喧嘩禁止っ」
「ハイハイハイ! ったく浮かれやがって」
「でも、ある意味流石キングですね、あのクイーンと…」
皆、生暖かい視線で俺らを眺めている。と言うか、冷やかしている。とても五十代のオトナのすることでは無かろうに…
クイーンを見ると、顔を真っ赤にして怒っているーのではなく、怒ったフリをして照れている、まるでJCかJKの様に…
「でもよ… 何つうか、この修学旅行… 」
皆に聞かれないように、クイーンがそっと俺だけに囁く。
「お、おう…」
見たことのない表情で、クパッと笑いながら、
「ありがとな」
「あ、ああ…」
全く。今回の旅で、どれだけ初めてのクイーンを見られたであろう。どれもこれも、中学生の頃のままのクイーンに違いない、俺がその時見ようともしなかった、本物のクイーンの笑顔の数々。
最高の笑顔を眺めていると、昨夜の話―コイツが昔俺を好きだったコトーを思い出し、思わず赤面し、顔を背けてしまう。彼女からと言うよりも、彼女の過去から背を背けてしまう。
聞き出したい。彼女の口から、その頃の思い、その時の気持ちを直接聞いて見たい。
そんなことを思いながらホテルを後にし、俺たちは日光観光の定番である東照宮へ向かう。