22  私のひとりごと。人はなぜ言葉を作ったか。

文字数 1,010文字


ふと思いついたので、思うままに書き留めます。そう、あのときのように。

あのときの私は、誰でもありませんでした。
自分が誰なのか、よくわかりませんでした。

何のために生きているのか。
何がしたいのか。
何ができるのか。
よくわからなくなって。

誰でもなかったので、誰かになろうと必死でした。
能力、肩書、居場所。存在承認。
それらを掴み取りたくて必死でした。
けれどその方法がよくわからなくて、とりあえず考えついたことを書き留めました。

単語、文、文章。
その長さ、声音、濃さに統一感はなく、
修飾語も比喩も、自分で書いておきながら不明瞭な箇所も多い。
ひたすら「頭の中身そのもの」でした。


私、頑張ったんだね。


読み返して思いました。


ありがとう。よく踏ん張ったね。


人はなぜ言葉を作ったか。
その理由は数多あるでしょう。
私にとって、答えのひとつは振り返るためで、
また別のひとつは届けるため。


あのときの言葉。
不安をかき消すための明るい言葉がたくさん。

いつかの言葉。
楽しい思い出がたくさん。

昔の言葉。
試行錯誤がたくさん。

振り返ると、たくさんの私がいました。
必死な私、元気な私、迷っている私も。

すっかり忘れていたけれど、そのときの私が書いてくれたおかげで振り返ることができました。
それらはもう乗り越えた過去なのだと、それらがあったからこそ、今ここに立っているのだと、背中を押してくれています。


それは私の歴史です。歴史書と同じ質感です。
(つわもの)どもが夢の跡。変わりゆく必然。


自分のためにあった言葉。これからは、届けるためにある。
穏やかにあなたの背中を支え、そっと寄り添う。だってそう願って書いているから。

もちろん、受取拒否したっていい。繰り返し触れたっていい。好きなように遊んだらいい。
言葉は思考を縁取るから、欲しいものをとりいれたらいい。
仕事、家庭、置かれた環境により選べない場面が多いからこそ、
選べるものは選んだらいい。

望めばあなたのものになり、不要な時には身を潜める都合のいい関係。
きっと言葉は自由だからそれが叶う。私はそう思う。
同時に、届くべき人のもとには必ず届く。私はそう信じてる。

私は私の言葉を希望にしたいから、私は私の言葉に美しくあって欲しいから、そのように顕現させています。足枷を取り払い、変幻自在に、心を込めて、あなただけに。

私が誰であってもいい。
私は言葉の中にいる。

どうか言葉のひとつひとつが羽となり、ふわり風に乗って、軽やかに飛んでいきますように。

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