お願い今だけ肩かして

文字数 862文字

あらあら。
珍しいね、君からくっついてくるなんて。

うん、いいよ。
理由も言い訳も作らなくていいから。

好きなだけ、こうしていよう。

え?うん。わかるよ、もちろん。
君がそうするときは、限界が近いとき。ここまで、よく、がんばったね。

頑張った覚えはない、なんて言っちゃだめだよ。もしそう聞こえたら、そのほっぺつねっちゃうんだから。フフフ。

ほら、もっと寄りかかって大丈夫だよ。うん、そうそう。あのね、ここは一切遠慮しない場所でいいからね。

うんうん、良い眺め。君があまりに可愛いから、調子に乗ってひとつだけお話するね。

あのね。感情を、一定に保つ努力はいらない。そう言ったら、信じてくれる?

こう思うんだ。感情は、揺れ動くのが本質。揺れ動いているのが感情の「平常運転」。コロコロ変わっていい。我慢の蓋で塞がなくていい。溜め込まなくて、いいんだよ。なかったことにも、できないしね。

泣いたって、かっこわるくない。涙は浄化。また笑えるようになるための休憩所。

怒ったって、悪くない。この世の全部を気にいる必要もなければ、この世の全員に好かれる義務もない。嫌なものは、嫌だよ。

……そうだなあ、優しい君は怒り方忘れちゃったかもしれないけど、そんなときは、相手に思いきり「めっ!」って言ってやったらいい。君の雄大な寛容さが伝わるはずだよ。


もしも、嬉しいや楽しいとの距離が、そこと心の距離が遠いなって思ったら、こうやって寄りかかってね。そしてたくさんおやすみ。夢の中で、一緒に、たっくさん笑おうよ。

そう。心向くまま揺らしていったらいい。ブランコみたいに。あっちへ行って、こっちへ行って、空を見上げて、地を見下ろして。人が背中を押したら大きく揺れて、月が登ったら止めて見て。ブランコは君という軸に繋がっているから、実は制御自由。感じたいものがあるのなら、脚を揺らして大いに感じて。気持ち良くない風が吹いたら、風が止むまで漕がなくたっていい。漕ぎ方を忘れない程度にお休みしたらいい。


そうだ。ねえ、明日公園へいこうよ。久しぶりに、君のはしゃぎ声が聴きたくなっちゃった。

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