14. 私のひとりごと。時間

文字数 777文字

私は思う。十二月三一日と一月一日の間にあるものは何だろう。普段流れる“今日と明日”の間には存在しない特別感がある。二三時五九分から、午前零時へ。一分、いや、一秒違うだけで、別世界に移行する心地がする。

けれどそれは私の希望に違いない。別の世界へ行きたいと言う、下向きな願い。実際そこには何もなく、時間の連続に身を任せているだけ。時間という概念、日付という数字、新年という視点。それらはそれ以上でもそれ以下でもなく、無色透明な時間に形を与えるための道具。時間が持つ事実は不可逆であること、ただそれだけ。過去になった時間は思い込みという着色をなされ心の奥へと沈んでいく。未来から来る時間は期待というリボンを解いて現在になる。こうであったらよかったのに。こうであったらいいのに。人は期待をせずにはいられない。絶望など抱きたくない。だから過去を変えて痛みを和らげ、未来に期待を繰り越すことで将来性を手に入れる。全ては命を守るための防衛本能であり、意識的或いは無意識の作為に関わらず、人々は生きることを選択している。私はそう思いたい。


時間。それはもっと自由であっていい。新年を祝いたければ祝えばいいし、新たな目標を掲げたければそうすればいいと思う。周囲の環境にそうさせられるのでなく、自身がそう望むなら、その望みを叶えたらいい。

恋愛を充実させたいなら、そうすればいい。遊びに集中したいなら、そうすればいい。仕事に励みたいなら、そうすればいい。自分らしくありたいなら、そうしたらいい。

本を読みたいなら、そうすればいい。星を掴みたいなら、そうすればいい。何もしたくないなら、そうすればいい。夢を見たいなら、そうしたらいい。

あなたが、あなた自身で叶えられる望みがある。新年を待たずとも、特別な日を作らずとも、叶えるための時間がこの瞬間に広がっている。











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