13. 俺のひとりごと。俺は強くない

文字数 439文字

俺は強くない。人前で弱音を吐かないだけで、悩みがない訳でも、平常心が崩れない訳でもない。

それでいて、皆は言う。「君はいつも落ち着いているね、羨ましい」「ねえ聞いて、君ならわかってくれるよね」

そして、俺は言う。「何かお役にたてるなら」



色々と考え過ぎる癖のおかげで、少しだけ、物事の核が見えやすい。それは人を助け、人を疑うことにつながった。簡単には人を信じないくせに、誰かの隣が居心地良くて。なんという矛盾だろう。俺は、弱い。


守るべきものがあるわけではない。強くなって何がしかに勝ちたいわけではない。けれど、弱くは在りたくない。胸を張って生きたい。



自分の弱さに克つために、価値基準を変えた。克つことの基準、それは生きること。今、生きている。然らば俺は俺に克ち続ける。



何を持っていなくても、何を信じていなくても、何もできなくても、誰がそばにいなくても。克て。克ち続けろ。不器用でも(のろ)くてもいいから。克ち続けろ。なりふり構わず、一途に。自分が自分でよかったと、言い遺して去るその日まで。



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