ごめんなさいの行方
文字数 712文字
ごめんなさい。申し訳ありませんでした。
この言葉に、今日は何回触れましたか。
昨日は、一昨日は、先週は。
何度、その唇からこぼれましたか。
それらは本当に、あなたのものでしたか。
あなたの本当の声に、見合うものでしたか。
あなたはきっと、当たり前のように言えるのでしょう。
強がるより何より、相手を不快に思わせたことに責任を感じるのでしょう。
思い出してみてください。
素直なあなたは、相手の気持ちを汲み取ることはあっても、
踏み躙ることは決してなかったはずです。
そして、考えてみてくださいね。
恐怖心から謝っていないかどうか。
責められた経験、過小評価の記憶、全否定の拒絶。
綺麗に忘れることは難しいですよね。
消し去らなくてもいいので、少しだけ手放してみるのはどうでしょう。
古い言葉や褪せた感情は、今のあなたには不釣り合いな殻。
夏のセミと一緒に、古びた抜け殻はポイして行きましょう。
もしかしたらその殻も、通りすがりの誰かが掬って見惚れてくれるかもしれません。
「唯一無二のカタチだ」って。
もう誰もあなたを責めません。あなたがあなたを責めない限り。
暗闇へと手招いたあの人や、冷たい言葉は、もう、過去です。もう無縁です。
注意と否定は異なります。そう学んだでしょう。今のあなたの周りにいるのは、それをよく知り理解する人々です。大人の方々です。もちろんあなたもそうでしょう。
ごめんなさい。申し訳ありませんでした。
人として生きる限り、ミスや勘違いは避けて通れません。
よってこれらの言葉とは、今後も付き合って行くことでしょう。もちろん私も。
けれど、忘れないでくださいね。
あなたの唇に似合うのは、あなたが受け取るべき価値は
「ありがとう」です。
私はそう信じています。