第30話 忘れられない思い出し笑い

文字数 901文字

「忘れられない思い出し笑い」

■人物
志保(18)高校3年生。
啓介(18)高校3年生。

■本編
志保のMO「楽しい思い出はいつでも思い出したくなる。高校卒業が近づいていた、冬の終わり。私と啓介は相変わらず一緒に帰っていて。それもあとわずかなんだって、楽しい時間に私はほんの少しの切なさを感じていた」

志保「あーうけるー」
啓介「なに一人でうけてるんだよ!」
志保「なんでもないです!」
啓介「はあ? まさか思い出し笑い?」
志保「まあ、そんなとこかな」
啓介「思い出し笑いするヤツってド変態らいしぞ。あ、志保、おまえド変態か!」
志保「勝手に言ってろー」
啓介「なんだよ。もったいぶってないで教えろよ。何がおもしろいんだよ!」
志保「だって、言ったら、啓介絶対怒るからさあ」
啓介「はあ? 俺のことかよ!」
志保「だから言わなーい!」
啓介「言えって!」
志保「じゃあ、怒らないで笑ってくれる?」
啓介「いいから言ってみ」
志保「啓介さ、そのさ……朝から、鼻毛出てるんだよね!」
啓介「はあ?」
志保「鼻毛! しかも両方の穴から、ぴょーんってカールして!」
啓介「嘘だろ! は、恥ずかしっ!」
志保「両手で隠したって、無駄だよ、無駄。もう。私の頭にしっかり刻まれちゃいました!」
啓介「そんな映像刻むなよ! 即刻、削除しろ!」
志保「あーうけるー」
啓介「くそう。おまえはどうなんだよ」
志保「ちょっとその顔で人のことジロジロみないでよ」
啓介「さすがに女子が鼻毛でてるわけないか。くそう。朝から気づいてたなら、朝言えよ! 俺、一日恥ずかしかい顔面だったってことじゃん!」
志保「ま、気づいたのは私くらいじゃない?」
啓介「ああ、マジ最悪だわ! ホント隠れたいわ!」

志保のMO「そういって啓介は、帰り道、ずっと鼻を手で隠していた。ホント、バカみたい。でも、こんなたわいもないことで笑ったことも。卒業したら楽しかった思い出になっちゃうんだろうなあ。啓介の鼻毛のことを考えながら、私はこの記憶を忘れないように大事にしまっておこうと思ったのでした」
            
   (おしまい)
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