第25話 一人静、二人喧嘩

文字数 910文字

「一人静、二人喧嘩」

■人物
佳苗ちゃん(17)高校2年生。
沙良ちゃん(17)高校2年生。
土田君(17)高校2年生。

■本編
佳苗のMO「なんでいつも顔を合わせると喧嘩になっちゃうんだろう。君は私の言葉にいちいち反抗的で。ホント、イライラする……!」

沙良「え? また土田君と喧嘩したの?」
佳苗「まっ。土田との喧嘩は、挨拶みたいなもんだから」
沙良「でも土田君って、大人しそうに見えるけどねえ。むしろクールって言うの?」
佳苗「あれはただの人見知り。内弁慶なんだよなあ!」
沙良「じゃあ、佳苗だけってことか、土田君の本当の顔を知る者は!」
佳苗「何それ、特別みたいな、言い方。嫌だ嫌だ」
沙良「そうじゃないの?」
佳苗「全然特別じゃないよ! あえていうなら……特殊!?」
沙良「え。それ、どう違うの?」
佳苗「特別は大事な感じするじゃん。特殊は、たまたま、そうだった、みたいな」
沙良「よくわからないし」
佳苗「あーっ! あいつの顔思い出したらイライラしてきた! 今日は歌うぞ!」

佳苗のMO「私は友達の沙良と一緒にカラオケを満喫した。ああ、ストレス発散。と、その帰り道、いま一番会いたくない相手に会ってしまったのです!」

土田「佳苗。ステップが調子乗ってる」
佳苗「うるさい! 土田は塾帰り? なんか絶望した顔してんじゃん」
土田「疲れてんだよ。なあ……」
佳苗「ん?」
土田「俺って、ウザいか?」
佳苗「え? なになに? らしくなーい! なに急にマジに聞いてんの! バカじゃね! 土田がウザかったら世界の大体の人間はウザいことになるよ」
土田「それ、励まし?」
佳苗「真実です!」
土田「(笑って)佳苗が真実いう日が来たら明日は雪だな」
佳苗「はあ!? 土田が元気ない方が雪降るわ!」
土田「じゃあ、明日は間違いなく雪だな」
佳苗「えっ……? 元気ないの?」
土田「ウザ子には関係ねーよ!」

佳苗のMO「そういって土田は私の頭をポンと叩いて去っていった。私の存在だけじゃ、アイツの元気にはなれないのかな? そんなことを考えたら、なんだが胸がキューっと苦しくなった」     

   (おしまい)
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