第2話 満月にキスを
文字数 518文字
「満月にキスを」
■人物
男子(17)高校2年生。
女子(17)高校2年生。
■本編
男子のN「付き合い始めて一カ月。僕と彼女は未だ手を繋ぐことさえぎこちない、そんな関係だ。数学は得意なはずなのに僕は距離を縮める計算が全くできずにいた。帰りが遅くなった彼女を駅まで送る最中もずっと考えていた。夜空には綺麗な満月が出ていた」
女子「ねえ。何考えてるの?」
男子「んー。なんだろう。ぼーっとしてた」
女子「私も」
男子のN「僕らの間に不思議な沈黙が訪れた。僕はなんだか緊張していた。そんな僕を彼女の視線が捉えていた」
女子「ねえ? どうしてキスしてくれないの?」
男子「えっ。だって理由が見つからないから」
女子「そんなの。月が綺麗だからってことで十分じゃない? ほら満月!」
男子のN「彼女にそう言われて僕は夜空に浮かぶ満月を見上げた。そんな僕の頬に彼女はそっとキスをした」
女子「今日はここで。おやすみなさい」
男子のN「彼女はそう言って、駅の群衆の中に去っていった。僕は彼女を見送りながら必死で何かを計算しようとしたけれどもう無理だった。ただ一つ確かなことは、彼女は満月よりも輝いている、ということだ」
(おしまい)
■人物
男子(17)高校2年生。
女子(17)高校2年生。
■本編
男子のN「付き合い始めて一カ月。僕と彼女は未だ手を繋ぐことさえぎこちない、そんな関係だ。数学は得意なはずなのに僕は距離を縮める計算が全くできずにいた。帰りが遅くなった彼女を駅まで送る最中もずっと考えていた。夜空には綺麗な満月が出ていた」
女子「ねえ。何考えてるの?」
男子「んー。なんだろう。ぼーっとしてた」
女子「私も」
男子のN「僕らの間に不思議な沈黙が訪れた。僕はなんだか緊張していた。そんな僕を彼女の視線が捉えていた」
女子「ねえ? どうしてキスしてくれないの?」
男子「えっ。だって理由が見つからないから」
女子「そんなの。月が綺麗だからってことで十分じゃない? ほら満月!」
男子のN「彼女にそう言われて僕は夜空に浮かぶ満月を見上げた。そんな僕の頬に彼女はそっとキスをした」
女子「今日はここで。おやすみなさい」
男子のN「彼女はそう言って、駅の群衆の中に去っていった。僕は彼女を見送りながら必死で何かを計算しようとしたけれどもう無理だった。ただ一つ確かなことは、彼女は満月よりも輝いている、ということだ」
(おしまい)