第5話 初恋

文字数 627文字

「初恋」 

■登場人物
少年
お姉さん

■本編
少年のMO「真っ赤な夕焼けの中、僕は駅までの道を全力で走った! 走って走って走って、これから旅立つお姉さんに駆け寄った!」

少年「好きです!」

少年のMO「そう言えたなら、よかった。でも、走って息が切れていた僕はただただ呼吸を整えるので精いっぱいだった」

お姉さん「少年! 来てくれたんだね!」

少年のMO「お姉さんは僕の手を取った。いつもと変わらない素敵な笑顔で」

少年「行かないで!」

少年のMO「そう言えたなら、そう言えるくらい、僕が大人だったら。よかったのに。僕はお姉さんの手の温かさを感じながら、ただただ、悔しかった……」

お姉さん「見送りありがとね! 少年! 元気でやるんだよ!」

少年のMO「僕は握られたその手を離したくはなかったけれど、離さないといけないんだってこともわかっていた」

少年「お姉さんも……元気で!」

少年のMO「僕は精いっぱいの想いを振り絞って、言葉を発した」

お姉さん「もうー。泣くんじゃないよ! 少年!」

少年のMO「お姉さんのその言葉で。僕は自分が涙を流していることにはじめて気づいた。お姉さんは優しく僕の頭をなでた」

お姉さん「少年。それじゃ。またね」

少年のMO「お姉さんはそう言うと、笑顔で去って行った。さよならは言わなかった。でも。もう二度と会えない事はわかってる。真っ赤な夕日が眩しすぎて、僕はただ泣いていた」

(おわり)
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