第28話 牛の膵臓を食べたい

文字数 734文字

「牛の膵臓を食べたい」

■人物
香里ちゃん(16)高校1年生。
司くん(16)高校1年生。

■本編
香里のMO「部活帰りの夕暮れ河川敷。ああ、今日も腹減ったー」

香里「(叫ぶ)牛の膵臓を食べたーい!」
司「えっー? なんだそれ!」
香里「牛だよ。牛!」
司「(牛を真似て)もーう」
香里「司。だからさ、焼き肉行こ! ガッツリ食べよ!」
司「いやいや、俺のモノマネ流すなよ。ってか焼き肉くらい一人で行けよ」
香里「一人焼き肉できるほど私らまだ大人じゃない!」
司「大人じゃなくてもできるだろ!」
香里「一緒に行こうよー!」
司「高校生のお財布に焼き肉は優しくないんだよ。香里と違って、俺バイトしてないし」
香里「司、じゃあ言うけど、私が貸した小説、まだ読んでないでしょ?」
司「え? いまその話題? あれだろ、読んだよ! 読んだ!」
香里「だったら私が膵臓を食べたい理由、わかるよね?」
司「それは、わかんねえよ!」
香里「やっぱり読んでないんだ! 君は、膵臓を食べられない女子の切なさがわかっってない!」
司「なんだそれ」
香里「膵臓はね、毒素を分解するんだよ。私たちの毒も分解してもらおうよー」
司「俺、そんな毒たまってねえよ」
香里「毒舌じゃん!」
司「……ってか、香里はどこか悪いのかよ?」
香里「まあ、将来への予防的な!」
司「あのな。ってか膵臓、膵臓っていうけどさ、そもそも食べられるわけ?」
香里「え?」
司「牛の膵臓なんて聞いたことないけど。ホルモンとか、カルビとか、牛の膵臓はなんて言うんだ?」
香里「んー。知らない!」
司「知らないのかよ!」
香里「ああっ、牛の膵臓を食べたい!」
司「それ、言いたいだけだろ、バーカ!」

    (おしまい)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み