第37話 青空サテライト

文字数 837文字

「青空サテライト」

■人物
成美(16)高校1年生。
昴(16)高校1年生。

■本編
成美のMO「君があんまりうるさく言うから、今日も一緒に青空を見上げて人工衛星探しをする。見えないモノ探し。見つけるなんて奇跡みたいなものだって……いったい何やってるんだろう、私たち」

成美「本当に見えるの? 全然見えないじゃん!」
昴「おかしいな。でも、人工衛星はいままさに僕らの頭上で輝いているから! 絶対!」
成美「それはそうなんだろうけど。わざわざ昼間に探さなくても」
昴「それじゃ、ロマンがないんだよ。夜、光ってるのが見えるのは当たり前だろ。俺は当たり前じゃない時にみたいの」
成美「真昼の人工衛星ねえ」
昴「おかしいなあ……ちゃんと見えるってネットで出てたんだけどな」
成美「なんでそんなにこだわるの?」
昴「だって、見えてない世界でも、本当は存在しているだよって証明になるかんじするじゃん」
成美「なにそれ」
昴「ああ、タイミング悪かったのかな」
成美「まあ。仕方ないよ。宇宙にうかぶ人工衛星か……」
昴「あの空の向こうの、見えないずーっと先で、地球の周りを回りながら米粒みたいな俺たちを見守ってるんだぜ! ホントすげえよ。奇跡だよ!」
成美「宇宙オタク」
昴「どうせ俺はキモいですよ……。お、おい! 成美! 成美! あれだ! あれ!」
成美「ん?」
昴「あそこ! あそこだって!」
成美「え? あそこって? どこだよ」
昴「あそこだよ! ぼわっーと光って見えるの。あれだよ! あれ! 俺が言ってた人工衛星だよ!」
成美「んー……飛行機じゃないの?」
昴「違うよ。不規則な動きしてるし、絶対あれだって! 奇跡だ! やった!」

成美のMO「喜ぶ君の横で、私も、人工衛星を探したけれど。あれがそうだって確信は持てなかった。でもまあ、君と私がこの世界のいまここにこうして存在しているだけでも十分奇跡かな! ってことで今日のところはよしとしとこうか!」

   (おしまい)
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