第36話 ペンギンダッシュ!

文字数 761文字

「ペンギンダッシュ!」

■人物
夏美(18)高校3年生。
歩夢(18)高校3年生。

■本編
夏美のMO「真夏の電車通学はホントイヤ。外は暑くて死ぬし、車内は冷房ガンガンで死ぬし。講習とか、大学受験とか、消えてなくなればいいのに、って思うよね」

夏美「あー、南極行きたいー」
歩夢「南極? 夏美、なにいってんだ?」
夏美「ペンギンと戯れたーい!」
歩夢「なんだそれ」
夏美「この夏の私の夢です」
歩夢「妄想じゃんか!」
夏美「まあそうだけど。じゃあ、歩夢はあるの? この夏の夢」
歩夢「俺は寝袋もって北海道を自転車で一人旅するんだ」
夏美「えー。なにそれ、受験生のくせに超アクティブじゃんー!」
歩夢「まあな。お前は夏休みなんかしないの?」
夏美「私は、水族館の癒し動画見てダラダラ過ごすかな」
歩夢「実際行かないのかよ!」
夏美「冷房の切いた部屋でアイスを食べてさ。うん、それが最高だよ!」
歩夢「インドアか!」
夏美「ホント、暑いのイヤなんだよね。ペンギンみたいに、スイスイって水の中泳ぎたいわ」
歩夢「あ、そう」

夏美のMO「そんな馬鹿話を歩夢としていたら、あっという間に高校の最寄り駅に着いた。ここから灼熱道路を15分歩かなければならない!」

夏美「もうイヤだー暑いの地獄だ最悪だー」
歩夢「夏美、いいから。行くぞ」
夏美「わったよ……」

夏美のMO「私は羽織っていたカーディガンを脱いでスカートに巻き付けた」

夏美「よし! 歩夢、走るよ!」
歩夢「はあ? いきなりアクティブかよ!」

夏美のMO「一秒でも暑いのはごめんなのだ。それに本当は、私たちは一秒だって無駄にはできない。高校最後の夏。だから立ち止まっている暇なんてないんだ! 歩夢をおいて私は走り出していた」

        (おしまい)
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