第27話 ギリで駆け込んだトイレに貞子がいた

文字数 937文字

「ギリで駆け込んだトイレに貞子がいた」

■人物
貞夫(17)高校2年生。
万里江(17)高校2年生。

■本編
万里江のMO「来る!? きっと来る? ううん。もう来ないな。待ち合わせ場所の東校舎の屋上に貞雄はいつまでたっても現れない。約束したのに! 告白だって期待したのに! 最低!」

貞夫のMO「その頃、俺は人生最大のピンチに襲われていた!」

貞夫「ト、トイレ……!」

貞夫のMO「こんな日に限って、東校舎の男子トイレの個室はどこも使用中! なんて日だ! 万里江から一週間前にもらった大福を昼休みに食べのが……ううっ! 絶望だ! 俺はもうダメなのか!」

貞夫「(身をよじらせて)ううっ……ああっ!」

貞夫のMO「そして、俺の人生がある意味、終わった……」

万里江のMO「その日の午後、貞夫は教室われなかった。誰も彼の行方を知らなかった。クラスでは、私が貞夫を振ったからだって噂になって、冷やかされるし。ホント最悪!」

貞夫「万里江!」

万里江のMO「帰り道、私服の貞雄が待ち伏せしていた。絶対口聞いてやるもんか!」

貞夫「怒ってる? 怒ってるよな? みんなの前で屋上に呼び出したのに、俺、行けなくて。俺……その実は、トイレで貞子に襲われたんだ!」
万里江「……はあ?」
貞夫「だから貞子に」
万里江「いやいや。もっとマシな言い訳考えなよ! ひどいって、ひどすぎる」
貞夫「マジなんだって! ある意味、俺、本当に死んだと言いますか……」
万里江「じゃあ、私が見てるの幽霊なわけ?」
貞夫「それは……違うけど」 
万里江「ちゃんと言わないと許さない!」
貞夫「ごめん……」
万里江「言えないなら。もう話しかけないで」
貞夫「……ど、どんなことでも引かないでくれる?」
万里江「嘘つかれるよりマシ!」

万里江のMO「次に貞夫が語った事は、にわかには信じられなかった。一週間前に私があげた大福を今日食べるとか、呪いとか。限界を超えたとか。もう笑うしかなかった」

貞夫「……許してくれる?」

万里江のMO「私は何も言わずに歩き始めた。バカな貞夫のバカな秘密。これは、私じゃないと受け止められないな! 全く」
             
    (おしまい)
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