第7話 さくら色の帰り道

文字数 615文字

「さくら色の帰り道」

■登場人物
女子:中学2年生。
男子:中学2年生。

■本編
女子のMO「中学校からの帰り道、君と並んで歩く道がどこまでも続いてほしいなんて。そんな願い事、最初から叶うわけなかったんだ……」

男子「こうやって一緒に帰るの、今日で終わりにしよう」

女子のMO「そう切り出した君の表情を見るのが怖くって、君の後ろの、満開を過ぎた桜の木々に目線を合わせた。桜の花は、切なく散り始めていた……」

男子「俺、告白したから……ちゃんと告白できたから。今まで恋人のフリとかさせて、付き合ってもらって、ごめん……」
女子「うまくいったんだ」
男子「うん……」
女子「よかったじゃん!」
男子「だから、ごめん……」
女子「謝るのはずるいよ。私が好きで君の彼女のフリとか、演じてたわけで。それとも、私のことも少しは大事に考えてくれてたの?」

女子のMO「沈黙する困った君の横顔を見て、私は最後までいい人を演じきることに決めた」

女子「冗談だよ。わかった。私たち、今日で終わりだね!」
男子「ありがとう」

女子のMO「君と契約解除の握手を交わす。最後まで笑顔で、私は自分についた嘘を貫き通した。そうだこれでいいんだ……」

女子のMO「こうして、君は去り、桜は散って、私たちのつかの間の恋人ごっこは終わった。過ぎ去ってしまったら、もう二度と取り戻せないものがあると知った、春のことでした……」

   (おしまい)
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