第３１話　おやすみライブラリー

「おやすみライブラリー」

■人物
航（１７）高校２年生。
真央（１７）高校２年生。

■本編
航のＭＯ「眠い。本当に眠い。六月の、放課後の図書室がこんなに地獄だったなんて俺は知らなかった。ふと隣の席を見ると、さっきまで一緒に勉強していたはずの真央が寝ていた」

航「真央！　まおさーん！」

航のＭＯ「すやすやと眠る真央の寝顔。油断大敵。俺も眠っていたら、こいつに寝顔を見られるところだったのか！」

真央「ん、んん･･･…（起きて）あれ？　私寝てた？」
航「がっつり寝てた」
真央「うそー！」
航「（笑う）」
真央「え？　なに？」
航「いや、顔に、寝あとついてる！」
真央「えーっ！」
航「シャーペン下敷きにして寝てたんだろ、刀傷みたいになってる」
真央「さ、最悪だ！　ちょっとこっち、見ないでよ」
航「別にそのうちなおるだろ」
真央「なおらなかったらどうする？」
航「なおるって」
真央「責任とってくれるの？」
航「俺が？」
真央「私が寝ないように、ふつう見張るでしょ！　それが友情！　勉強会のメリットじゃん！」
航「いや……俺、問題解いてたし……」
真央「あっ！　航も眠かったんでしょ？　もしかしてガチで寝てたとか？」
航「問題解いてたよ」
真央「どれどれ。あーっ、ノートの字、グニャグニャじゃん！　嘘はいけないなあ！　嘘は！」
航「俺は、お前みたいに油断しないから」
真央「ふーん。じゃあ、大丈夫だね」
航「え？　なにが？」

航のＭＯ「真央は再び寝る姿勢を整えた」

真央「私の事、１時間したら起してね！」
航「また寝るのかよ！」
真央「睡眠学習だよ。じゃあ、おやすみー」

航のＭＯ「そうして真央は目を閉じた。ホント、油断大敵だな、この寝顔。でも。俺はその時、気づいてしまった。他の奴にこいつの寝顔を見せたくないって……ああ、もう、仕方ない、あとで起こしてやるか！」
　　　　　　　
　　　（おしまい）