第51話 ごみ捨てフレンズ

文字数 861文字

「ゴミ捨てフレンズ」

■人物
坂井花音(16)高校1年生。
渡辺良平(16)高校1年生。

■本編
花音のMO「私の心はどこか腐っている。高校生なってしまったけれど、毎日、死にたくなるのを止められない。そんな私のことをクラスの人間たちは、ゴミ係り。と呼ぶ。今日も掃除が終わって私はゴミ箱を持って集合ゴミ捨て場へ向かった」

渡辺「坂井! 俺もゴミ捨て手伝うよ」

花音のMO「私のあとを、一人の男子が追いかけてきた」

花音「え? 誰ですか……?」
渡辺「クラスメイトの渡辺」
花音「一人で大丈夫ですので……」
渡辺「いいから、ゴミ箱、俺持つから」
花音「いいです」
渡辺「遠慮するなって」

花音のMO「渡辺と名乗ったこの男子は私からゴミ箱を受け取った。この人、変だ」

渡辺「坂井っていつもゴミ捨て当番だよな」
花音「え?」
渡辺「俺、偉いなーと思って。ふつう、ゴミ捨てなんて、嫌がるじゃん。特に女子は。汚いし、臭いし」
花音「私。別に」
渡辺「ゴミをちゃんと捨てられる人は、心が綺麗なんだって」
花音「なんですか、それ」
渡辺「俺の名言」
花音「私、別に、心が綺麗でもありません」
渡辺「そうなの? どこが?」
花音「どこがって……。私、クラスでなんて呼ばれているか知ってますよね?」
渡辺「ゴミ係り、だろ?」
花音「その理由知ってますよね?」
渡辺「理由? 偉いからじゃないの?」
花音「あなた、バカなんですか・・・・・・?」
渡辺「え?」
花音「私が、ゴミみたいな存在だからですよ。ゴミと同じ、なんの価値もない人間」
渡辺「はあ? それ、誰がいってんだよ! 許せねえ!」
花音「みんな言ってますよ。知らないのはあなただけでは?」
渡辺「だったら、俺も今日から一緒にゴミ係りになる!」
花音「え……?」
渡辺「一緒にみんなの価値観変えてやろうぜ!」

花音のMO「この渡辺とかいう男子。やっぱり変だ。それなのに、まっすぐな彼の言葉は、なぜか私の心に届いていた」
              
    (おしまい)
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