第20話 忘れ物

文字数 641文字

「忘れ物」

■人物
みどりちゃん(16)高校1年生。
たくや君(16)高校1年生。

■本編
みどりのMO「数学の教科書、英単語帳、世界史の便覧……憧れの君と一緒に帰れる日は、決まっていつも学校にわざと忘れものをした。教室まで戻って一緒に探してくれる君の優しさに甘えたくって……」

たくや「見つかったか?」
みどり「あっ! あった! あった!」
たくや「ホント、そそっかしいよな!」
みどり「よかった! これないと予習できないから」
たくや「帰るぞ!」
みどり「はーい!」

みどりのMO「君は私のことをいつも「バカだ」って言うけれど、憧れの君との距離感には常に気をつけているんだよ。クラスのみどりにはたくやに興味ないってフリしているし。そんな中で、君といられる時間が少しでも長くなるように工夫しているんだよ。そして、少しずつ自然と君との距離が近くなれるようにって、細心の注意をはらっているんだよ」

みどり「あっ!」
たくや「どうした?」
みどり「また! 忘れ物した!」
たくや「また!?」
みどり「あーっ、何やってるんだろう……!」
たくや「ホント、仕方ないな……」
みどり「大丈夫。二度も悪いし、一人で平気だよ!」
たくや「いいから。戻るぞ!」
みどり「ごめん……!」
たくや「バーカ!」

みどりのMO「君は学校に戻る道を先に歩き出した。私は急いで後を追いかけた。どうか欲張りで愚かな私を許してほしい。でも君と並んで歩けるだけで、私は幸せなんだ」

   (おしまい)
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