第33話 君は夢を見ている

文字数 786文字

「君は夢を見ている」

■人物
清水くん(17)高校2年生。
星さん(17)高校2年生。

■本編
清水くんのMO「いつも窓辺にたたずむ君は、青空がとってよく似合う、遠い別世界の宇宙人のような人だ」

星さん「ねえ、清水君!」

清水くんのMO「放課後、居残り勉強していた僕に突然彼女が話しかけてきた。窓の外には白い雲が流れていた」

星さん「清水君ってば!」
清水くん「ぼ、僕のことですか!?」
星さん「ほかに清水ってクラスにいた?」
清水くん「いません……」
星さん「じゃあ、私のこと無視したの?」
清水くん「ち、違いますよ! ほ、星さんのことを無視だなんて……」
星さん「なら、いいけど」
清水くん「それで、な、なんですか……?」
星さん「え?」
清水くん「なにか、僕に用が……?」
星さん「ああ、君は勉強すごくできるじゃない? 今も一人残って明日の予習?」
清水くん「そ、そうですけど……」
星さん「なんでそんなに勉強頑張れるの?」
清水くん「えっ……」
星さん「夢あるの?」
清水くん「夢ですか……なんですかね……」
星さん「自分でもわかんないの?」
清水くん「そうですね……」
星さん「なーんだ。つまんない。私、君のことかいかぶってたみたい」
清水くん「え?」

清水くんのMO「君は何も言わずに僕に背を向けてしまった。夢……。夢なんて僕にはない。その事実を君に突きつけられたのが、なんだか急に悔しくなった」

清水くん「ほ、星さんには夢あるの!?」

清水くんのMO「僕は思わず君に向かって叫んでいた! しまった、クラスの宇宙人は僕なのに。僕なんかみんなに話しかけちゃいけない存在なのに!」

星さん「あるよ。私、先生になるの。それで君みたいな生徒に夢を与えるのが私の夢」

清水くんのいMO「そう言い切る君は、夏の光の中で輝いていた」

   (おしまい)
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