【7】繋がる力
文字数 3,681文字
アルマグエラが蛇型鎖の拘束を解き、即座に剣に炎を構える。
「どうか暖かく包むために――」
花びらの舞う中、セメレーさんが手を伸ばす。
「馬鹿な……!」
その戦竜の炎は剣から離れ、竜本人に向かって集まり、炎の渦となった。
即座に振り払い、竜は吠えた。
「あれほど無気力だった女神が、今更闘争に身を置くか!」
「まだ私は――ここで終わるわけにはいきません。こんな存在でも、求め、救ってくれる人がいたのです」
さらにセメレーさんが放った暴風がアルマグエラを後退させる。その後を狙ってアイレ・ストルムと、その首に乗ったデネヴが突進で追撃した。
「俺の風を利用するなんて、面白い奴だね」
「戦竜は俺とアイレで対処する。お嬢さんたちはもう一体をお願いするぜ!」
言われてダウスタラニスに目を向ける。それは、ガ・シャンブリが張った障壁が軽々と打ち砕かれた瞬間だった。
「下がって!」
私がセルリアンルーセントを一直線に放つと、察したガ・シャンブリが姿を消し、すぐ近くの場所に出現して回避した。
光を打ち消しながら飛び込むダウスタラニス。アルンが一瞬私やセメレーさんに目を向け、前へ飛び込んでいく。私は頷いて応えた。薔薇の花びらを通じて、セメレーさんにも意思を伝える。
「燃えろ我が炎よ! これぞ、他種族が繋がる意味! ――ブレイズソード!」
竜鱗では無く、口から吐いた炎を剣に纏わせる。振り払う剣が、闇とぶつかる。
「威勢の割に弱いぜェ? ホラ、ホォラ、ギャハハァ!」
「クッ……今に見てろ……」
炎剣はダウスタラニスの押し込みによってじりじりと押されていく。
「セルリアンスレイブ!」
デネヴの見様見真似で、継承した蒼竜の力をアルンに向ける。アルンはキュクロプスの炎も従え、私やイリオスとも強く関わってきた。異なる力でも、きっと適応して取り込んでくれる。
「雄大なる世界の中で、皆さんの力は自然の一つに過ぎず、そこに隔たるものはありません」
セメレーさんが落ち着いた声で語ると、私の力はアルンの剣に混ざり合うように重なっていく。
「数多の種族が手を取り合う事で真価を発揮する――コンバート効果、上昇します!」
セメレーさんの体と、アルンの剣が輝く。赤の剣に蒼の刃が繋がり、一つの炎となって舞い、その力は目視だけで分かるほど強まる。
「これで、どうだぁっ‼」
「ギャァアッ⁉」
初めて力負けして押し返されるダウスタラニス。そこを逃さずに走るアルンに続いて、私も進んで杖を構える。
「やってくれたナァァ!」
よろけながらも強引に反撃してくる相手と私達の間に、紋章が描かれた半透明の壁が発生。
『自らの愚かさを知るがいい』
ガ・シャンブリの声が聞こえると、骸骨蛇達が壁を支えた。そして構わず飛び込んだダウスタラニスが壁を破壊。すると蛇とダウスタラニス、双方が衝撃を受けたように吹っ飛び、蛇はそのまま倒れた。
「私達が早く壁を殴ったらどうするつもりだった⁉」
全力疾走を維持するアルンが後方に叫ぶと、通り過ぎた蛇から声が聞こえた。
『無論、暗黒竜の方が早いと見た上での魔紋反射だ』
失敗の可能性を微塵も考えていないのか、もしくは私達が吹き飛んでも良いと考えたのか。真意は読めない。
「墜ちろっ!」
アルンの炎による障壁が上から降って、潰されるように落下する暗黒竜。
「オモシレェ!」
ついに浮遊が途切れて地に着いた暗黒竜。重ねて広げた両手の平から、体に纏う絶望のオーラを放ってくる。
「トワイライトクロス!」
こちらは光で受け止め、ぶつかり合う。単純な見た目は相手優勢だが、それは今まさに黒の大地の赤い空を染め上げつつある、壮大な黄昏を考慮しない場合の話だ。
「さあ――」
セメレーさんのトワイライトクロスが、私達の中のわずかな闇すら含めた、全てを受け止める。優しく抱擁するように包み込み、空から集まる光が、絶望のオーラを溶かし、消し去った。
赤い空が戻るが、倒れ込む絶望の竜は世界から存在を否定されている。今この場には希望しかない。
「やめろォ……! そんな目で俺を見るなァァー!」
己の存在と対になる概念、それを消せなかった邪竜の声。
私とアルンは目を合わせる。こちらは右、あちらは左手を差し出して握る。相手の熱が伝わってくる。
複数の技を重ねて放つ連携とは違い、一つの技として完全に力を統一させるという目的でも使える、コンバートというスキル。
――今の私とアルンなら、必ず一つになれる。
武器を握る片手を天に掲げ、果て無く伸びる光と炎を交わらせ、一つの聖火の柱となる。
「「セイクリッドブレイズ‼」」
ズレる事無く、二人同時に大剣のように振り下ろした聖なる炎。
「チクショウッ……チクショウォォォォッ!」
燃やすようで、浄化するようで、ただ力をぶつけているようにも見えて。
実体が消えかかっている暗黒竜が、がむしゃらに足掻きながら半透明の手を伸ばしてくる。しかしそれが届く事は無く、ただ叫び続けながら消えていった。
響く声が完全に消えてから、私はアルンに顔を向けた。相手も同じタイミングでこちらを向いたのが何だか可笑しくて、くすくす笑った。アルンも微笑を返し、剣を握った右手を突きだしてきた。私も杖の左手を握り、拳を突き合わせた。
アルマグエラを探して周囲を見回したが、いつの間にいなくなっていた。さらにガ・シャンブリも消えている。蛇はその場に倒れていたので、共闘した証明にはなっていた。
セメレーさんが歩いてきて、暗黒竜が消えた場所を見つめた。
「闘気、思念だけでなく、魂の痕跡すら綺麗に消滅しています。復活の心配も無いでしょう。あるとすれば、また別のダウスタラニスが具現する可能性だけかと」
「そうなれば再び叩き斬るまでだが、再び具現するほど世界が絶望に満ちる事こそ、防ぐべきなんだろうな」
セメレーさんに振り向いたアルンが、目を閉じて笑った。
「あんな強大な竜、未だに倒せた実感が湧かないけど……素直に喜んで、いいんだよね」
手を繋いでいた私も体が動く。
「コンバートによって不完全な召喚をされたので、力を高めてもやっと完全体程度の力、というのも大きいです。そして他の邪竜族と違い、明確な弱点が存在し、それを突ける力の相性が良かったのでしょう」
そう言ってセメレーさんは頷き、続ける。
「ただ……かの存在に対し、常に希望を持ち続けるのは容易ではありません。それが出来た貴女達だからこそ、討伐出来た偉業です。誇ってください」
私は俯いて首を振った。あの瞬間の音は今でも少し響いている。
「私は一度、折れそうになった。アルンがいてくれなかったら、どうなってたか……うわっ」
すると急に、アルンに強く手を握られ、腕を揺らされた。
「ははっ、私だけを強くするな。今だから言うが、お前がそうやって頑張ってくれているから、私も折れずにいられるんだ。そしてお前は何度折れても、挫けずに必ず立ち上がってくれる奴だ。お前が立ち上がる時に私も立っていなきゃ、火竜の面目が立たないだろう」
そんな事を言われて、歯を覗かせて笑うその顔を見ると、不思議と自信がついてきた。私は笑顔を向けて、お礼を言った。
デネヴを乗せたアイレ・ストルムが、悠々とこちらに歩いてきた。
「四本腕のアイツなら、集団戦は好きじゃないとか言って帰ったよ」
「もうちょっとイカした言い回ししてたが……もしも再会した時は気を付けてくれ、闘争心はあったからな」
補足しながら飛び降りたデネヴが、私とアルンの繋いだ手を指差した。
「おっ、仲の良いお嬢さん達じゃないか。さっきの、紅蓮の祝福……みたいなヤツは、こうやって発動できたって感じか」
アルンがハッとして、私を見てきた。
「おっとすまんレクシア、動きづらかったか――って、ぷっっ」
一瞬緩めた手をまた強く握って、アルンは大笑いした。剣で私の肩のアーマーを軽く叩いている。
「悪かった悪かった、だからそんな寂しい顔をするな! くっ、ははははっ!」
「えっ、私そんな顔してた⁉ べ、別に手を離すのが嫌だなんて思ってな、い――」
恥ずかしくて勢いで手を振り払っちゃおうと思ったけど、出来なくて。
そして握り方、そして一瞬緩めた時の感じから分かるのは、相手も離したいとは多分、思ってなくて。
変な会話をしちゃった今。ようやくドロドロした戦いの気持ちが晴れて、終わった実感が湧いてきて。
「良かった……アルンも、セメレーさんも……生きてて良かったぁぁーーぁ!」
目が熱くなったので、繋いだ手を引っ張って抱き締めた。声が震えていた。
「急にどうしたレクシア、今日のお前は泣き虫だな! ほらほら、元気を出せ、妹でも持った気分だ」
デネヴもアルンと同じく大笑いしてる。泣き止んだら怒っちゃおうか。――それはそれで笑われそうかな。
「それにしても、紅蓮の祝福とは良い表現ですね。お二人の繋がる力は、きっと人々に激しく、優しい炎を与えてくれるでしょう」
つられてちょっと笑ってるセメレーさんの声が聞こえた。涙はしばらく止まってくれなかったけど、途中から私も一緒に笑っていた。
「どうか暖かく包むために――」
花びらの舞う中、セメレーさんが手を伸ばす。
「馬鹿な……!」
その戦竜の炎は剣から離れ、竜本人に向かって集まり、炎の渦となった。
即座に振り払い、竜は吠えた。
「あれほど無気力だった女神が、今更闘争に身を置くか!」
「まだ私は――ここで終わるわけにはいきません。こんな存在でも、求め、救ってくれる人がいたのです」
さらにセメレーさんが放った暴風がアルマグエラを後退させる。その後を狙ってアイレ・ストルムと、その首に乗ったデネヴが突進で追撃した。
「俺の風を利用するなんて、面白い奴だね」
「戦竜は俺とアイレで対処する。お嬢さんたちはもう一体をお願いするぜ!」
言われてダウスタラニスに目を向ける。それは、ガ・シャンブリが張った障壁が軽々と打ち砕かれた瞬間だった。
「下がって!」
私がセルリアンルーセントを一直線に放つと、察したガ・シャンブリが姿を消し、すぐ近くの場所に出現して回避した。
光を打ち消しながら飛び込むダウスタラニス。アルンが一瞬私やセメレーさんに目を向け、前へ飛び込んでいく。私は頷いて応えた。薔薇の花びらを通じて、セメレーさんにも意思を伝える。
「燃えろ我が炎よ! これぞ、他種族が繋がる意味! ――ブレイズソード!」
竜鱗では無く、口から吐いた炎を剣に纏わせる。振り払う剣が、闇とぶつかる。
「威勢の割に弱いぜェ? ホラ、ホォラ、ギャハハァ!」
「クッ……今に見てろ……」
炎剣はダウスタラニスの押し込みによってじりじりと押されていく。
「セルリアンスレイブ!」
デネヴの見様見真似で、継承した蒼竜の力をアルンに向ける。アルンはキュクロプスの炎も従え、私やイリオスとも強く関わってきた。異なる力でも、きっと適応して取り込んでくれる。
「雄大なる世界の中で、皆さんの力は自然の一つに過ぎず、そこに隔たるものはありません」
セメレーさんが落ち着いた声で語ると、私の力はアルンの剣に混ざり合うように重なっていく。
「数多の種族が手を取り合う事で真価を発揮する――コンバート効果、上昇します!」
セメレーさんの体と、アルンの剣が輝く。赤の剣に蒼の刃が繋がり、一つの炎となって舞い、その力は目視だけで分かるほど強まる。
「これで、どうだぁっ‼」
「ギャァアッ⁉」
初めて力負けして押し返されるダウスタラニス。そこを逃さずに走るアルンに続いて、私も進んで杖を構える。
「やってくれたナァァ!」
よろけながらも強引に反撃してくる相手と私達の間に、紋章が描かれた半透明の壁が発生。
『自らの愚かさを知るがいい』
ガ・シャンブリの声が聞こえると、骸骨蛇達が壁を支えた。そして構わず飛び込んだダウスタラニスが壁を破壊。すると蛇とダウスタラニス、双方が衝撃を受けたように吹っ飛び、蛇はそのまま倒れた。
「私達が早く壁を殴ったらどうするつもりだった⁉」
全力疾走を維持するアルンが後方に叫ぶと、通り過ぎた蛇から声が聞こえた。
『無論、暗黒竜の方が早いと見た上での魔紋反射だ』
失敗の可能性を微塵も考えていないのか、もしくは私達が吹き飛んでも良いと考えたのか。真意は読めない。
「墜ちろっ!」
アルンの炎による障壁が上から降って、潰されるように落下する暗黒竜。
「オモシレェ!」
ついに浮遊が途切れて地に着いた暗黒竜。重ねて広げた両手の平から、体に纏う絶望のオーラを放ってくる。
「トワイライトクロス!」
こちらは光で受け止め、ぶつかり合う。単純な見た目は相手優勢だが、それは今まさに黒の大地の赤い空を染め上げつつある、壮大な黄昏を考慮しない場合の話だ。
「さあ――」
セメレーさんのトワイライトクロスが、私達の中のわずかな闇すら含めた、全てを受け止める。優しく抱擁するように包み込み、空から集まる光が、絶望のオーラを溶かし、消し去った。
赤い空が戻るが、倒れ込む絶望の竜は世界から存在を否定されている。今この場には希望しかない。
「やめろォ……! そんな目で俺を見るなァァー!」
己の存在と対になる概念、それを消せなかった邪竜の声。
私とアルンは目を合わせる。こちらは右、あちらは左手を差し出して握る。相手の熱が伝わってくる。
複数の技を重ねて放つ連携とは違い、一つの技として完全に力を統一させるという目的でも使える、コンバートというスキル。
――今の私とアルンなら、必ず一つになれる。
武器を握る片手を天に掲げ、果て無く伸びる光と炎を交わらせ、一つの聖火の柱となる。
「「セイクリッドブレイズ‼」」
ズレる事無く、二人同時に大剣のように振り下ろした聖なる炎。
「チクショウッ……チクショウォォォォッ!」
燃やすようで、浄化するようで、ただ力をぶつけているようにも見えて。
実体が消えかかっている暗黒竜が、がむしゃらに足掻きながら半透明の手を伸ばしてくる。しかしそれが届く事は無く、ただ叫び続けながら消えていった。
響く声が完全に消えてから、私はアルンに顔を向けた。相手も同じタイミングでこちらを向いたのが何だか可笑しくて、くすくす笑った。アルンも微笑を返し、剣を握った右手を突きだしてきた。私も杖の左手を握り、拳を突き合わせた。
アルマグエラを探して周囲を見回したが、いつの間にいなくなっていた。さらにガ・シャンブリも消えている。蛇はその場に倒れていたので、共闘した証明にはなっていた。
セメレーさんが歩いてきて、暗黒竜が消えた場所を見つめた。
「闘気、思念だけでなく、魂の痕跡すら綺麗に消滅しています。復活の心配も無いでしょう。あるとすれば、また別のダウスタラニスが具現する可能性だけかと」
「そうなれば再び叩き斬るまでだが、再び具現するほど世界が絶望に満ちる事こそ、防ぐべきなんだろうな」
セメレーさんに振り向いたアルンが、目を閉じて笑った。
「あんな強大な竜、未だに倒せた実感が湧かないけど……素直に喜んで、いいんだよね」
手を繋いでいた私も体が動く。
「コンバートによって不完全な召喚をされたので、力を高めてもやっと完全体程度の力、というのも大きいです。そして他の邪竜族と違い、明確な弱点が存在し、それを突ける力の相性が良かったのでしょう」
そう言ってセメレーさんは頷き、続ける。
「ただ……かの存在に対し、常に希望を持ち続けるのは容易ではありません。それが出来た貴女達だからこそ、討伐出来た偉業です。誇ってください」
私は俯いて首を振った。あの瞬間の音は今でも少し響いている。
「私は一度、折れそうになった。アルンがいてくれなかったら、どうなってたか……うわっ」
すると急に、アルンに強く手を握られ、腕を揺らされた。
「ははっ、私だけを強くするな。今だから言うが、お前がそうやって頑張ってくれているから、私も折れずにいられるんだ。そしてお前は何度折れても、挫けずに必ず立ち上がってくれる奴だ。お前が立ち上がる時に私も立っていなきゃ、火竜の面目が立たないだろう」
そんな事を言われて、歯を覗かせて笑うその顔を見ると、不思議と自信がついてきた。私は笑顔を向けて、お礼を言った。
デネヴを乗せたアイレ・ストルムが、悠々とこちらに歩いてきた。
「四本腕のアイツなら、集団戦は好きじゃないとか言って帰ったよ」
「もうちょっとイカした言い回ししてたが……もしも再会した時は気を付けてくれ、闘争心はあったからな」
補足しながら飛び降りたデネヴが、私とアルンの繋いだ手を指差した。
「おっ、仲の良いお嬢さん達じゃないか。さっきの、紅蓮の祝福……みたいなヤツは、こうやって発動できたって感じか」
アルンがハッとして、私を見てきた。
「おっとすまんレクシア、動きづらかったか――って、ぷっっ」
一瞬緩めた手をまた強く握って、アルンは大笑いした。剣で私の肩のアーマーを軽く叩いている。
「悪かった悪かった、だからそんな寂しい顔をするな! くっ、ははははっ!」
「えっ、私そんな顔してた⁉ べ、別に手を離すのが嫌だなんて思ってな、い――」
恥ずかしくて勢いで手を振り払っちゃおうと思ったけど、出来なくて。
そして握り方、そして一瞬緩めた時の感じから分かるのは、相手も離したいとは多分、思ってなくて。
変な会話をしちゃった今。ようやくドロドロした戦いの気持ちが晴れて、終わった実感が湧いてきて。
「良かった……アルンも、セメレーさんも……生きてて良かったぁぁーーぁ!」
目が熱くなったので、繋いだ手を引っ張って抱き締めた。声が震えていた。
「急にどうしたレクシア、今日のお前は泣き虫だな! ほらほら、元気を出せ、妹でも持った気分だ」
デネヴもアルンと同じく大笑いしてる。泣き止んだら怒っちゃおうか。――それはそれで笑われそうかな。
「それにしても、紅蓮の祝福とは良い表現ですね。お二人の繋がる力は、きっと人々に激しく、優しい炎を与えてくれるでしょう」
つられてちょっと笑ってるセメレーさんの声が聞こえた。涙はしばらく止まってくれなかったけど、途中から私も一緒に笑っていた。