少年の目線

文字数 579文字

 僕は短剣を手に入れた時の事を思い出しながら、ザウバーさんと話し続けていた。

「なんだよ、気持ち悪いな」
 ザウバーさんの事を「信じる」って言ったら、気持ち悪いって言われた。思った事を言っただけなんだけど、まずかったかな?

 でも、良く知らない人を助けるなんて、なかなか出来ない。それに、自分自身が危なくなるかも知れないのに、ドラゴンの前に立つことなんて……だから、僕はもう一度、自分の気持ちをザウバーさんに言った。そうしたら、今度は布団を被せてきた。だけど、僕はまだ言いたい事が有ったから、掛けられた布団を退かして、ザウバーさんに話し掛けようとした。

 その時、僕が見たザウバーさんの顔は、何か難しい事を考えているみたいに眉間に皺を寄せていて、とても話し掛けられる雰囲気じゃ無かった。だから、僕は何も言わずに布団に潜り込んだ。話なら後でも出来るし、変な事を言って嫌われるのも怖かった。

 一晩経って夜が明けた頃、僕は窓から差し込む光に気付いて目を覚ました。

「お、起きたか? 顔色も良くなったみたいだし、俺はこの町を離れなきゃならないからここでお別れだな」

 ザウバーさんは、部屋から立ち去ろうとした。その瞬間、僕は思わずザウバーさんを呼び止めていた。理由は分からない。それでも、僕は必死になってザウバーさんの服を掴んで引き留めていて。

 そうして、僕の長い旅は始まった。
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登場人物紹介

ダーム
 
大体元気なショタっ子。

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