新米魔法使いの一人旅・序
文字数 660文字
油断した。雑魚を蹴散らして一息ついたら、隠れていた魔物に思い切り食い付かれた。しかも、その衝撃で転んで、背中にまでダメージを食らっちまうという失態。
あの魔物、元は首を狙っていたようだった。だが、微かに俺が動いたせいか、奴の牙は肩口へ食い込み、爪は両腕にそれぞれ食い込んでいた。
自分が油断した事に後悔しつつ、魔物を力任せに引き剥がす。だが、強引に魔物を振り解いたせいで、肩の肉は持っていかれるし、腕には数本の赤い線が刻まれた。
がむしゃらに唱えた呪文で、何とか魔物を倒したはものの……安心した途端、肩や腕から激痛が走る。
気付けば上着は真っ赤に染まり、尚も出血は止まらなかった。
痛みと出血で、上手く意識を保てない。やっぱり、ろくな武器も持たない一人旅は無謀だったか。いや、街に戻れれば何とかなる。もっとも、雑魚だろうと魔物に遭っちまったら終わり。とにかく、奴らに気付かれ無い様、慎重に歩いていくしかねえ。
痛む体を引き擦り、近くの街へ向かって歩き始めた。だが、その考えは途方も無く甘かった。
一歩踏み出す毎に、肩口から血が噴き出し、鋭い痛みが走る。目が霞んで視界は殆ど真っ白、進むべき道さえ見えやしねえ。おかげで、無様にも小石に躓き、そのまま地面に倒れ込んだ。その上、転んだ衝撃と共に傷口から血が迸る。
なんとか立ち上がろうと、手や足に力を込めた。だが……立ち上がるどころか、指一本まともに動きやしねえ。
本当、情けねえ。これで、魔王を倒そうなんて、俺も馬鹿だな。まあ、予定より早く兄貴ん所に行けるなら、それも……
あの魔物、元は首を狙っていたようだった。だが、微かに俺が動いたせいか、奴の牙は肩口へ食い込み、爪は両腕にそれぞれ食い込んでいた。
自分が油断した事に後悔しつつ、魔物を力任せに引き剥がす。だが、強引に魔物を振り解いたせいで、肩の肉は持っていかれるし、腕には数本の赤い線が刻まれた。
がむしゃらに唱えた呪文で、何とか魔物を倒したはものの……安心した途端、肩や腕から激痛が走る。
気付けば上着は真っ赤に染まり、尚も出血は止まらなかった。
痛みと出血で、上手く意識を保てない。やっぱり、ろくな武器も持たない一人旅は無謀だったか。いや、街に戻れれば何とかなる。もっとも、雑魚だろうと魔物に遭っちまったら終わり。とにかく、奴らに気付かれ無い様、慎重に歩いていくしかねえ。
痛む体を引き擦り、近くの街へ向かって歩き始めた。だが、その考えは途方も無く甘かった。
一歩踏み出す毎に、肩口から血が噴き出し、鋭い痛みが走る。目が霞んで視界は殆ど真っ白、進むべき道さえ見えやしねえ。おかげで、無様にも小石に躓き、そのまま地面に倒れ込んだ。その上、転んだ衝撃と共に傷口から血が迸る。
なんとか立ち上がろうと、手や足に力を込めた。だが……立ち上がるどころか、指一本まともに動きやしねえ。
本当、情けねえ。これで、魔王を倒そうなんて、俺も馬鹿だな。まあ、予定より早く兄貴ん所に行けるなら、それも……