第61話 伊予の名前

文字数 5,353文字

たとえ貴族家に生まれたとしても、
文武に秀でていなければ家督も継げず父や兄弟たちに無視されて育つ男も結構いるものです。

かく言う私、藤原宗成(ふじわらのむねなり)も文才が無く、偉い方々に媚びへつらいながら軽蔑されて、犬と呼ばれて生きて参りました。

二十四の働き盛りなのに、邸を構える事も、妻子を持つことも出来ない情けない身の上です…

「そんな事はない、わが父桓武帝も40過ぎまで無位無冠だったと聞く。人生は何処でどうなるか解らないものだ。私はそう思う…」

ぼそぼそと低い声で話す宗成の身の上話を聞いた伊予は父、桓武帝が若い頃「犬」と呼ばれて蔑まれていた頃の苦労話を思い出してながら励ますように宗成に言った。

あぶれ者の貴族が我が家に援助を請いに来たのは何度かあったし、
そういう時はとりあえず酒や肴を馳走して身の上話を聞いてやりながら相手の人品骨格を確かめ、その上で金や職をあてがってやった。

しかし、これ以上彼に何もしてはいけない。と思うのは何故だろうか?

部屋で二人きりになり、灯火に照らされた彼のやせこけた頬や乾いた皮膚、それでいて眼を異様にぎらつかせながら話す宗成を見ていると、妙な胸騒ぎを伊予は覚えるのだった。

何というか、まるでこいつは…

「…欲しいのは、金か?職か?」
「どちらも要りませぬ」

なに?と伊予が聞き返すと宗成はそこで前のめりになって伊予の袖を掴み、

「式家の兄妹を皆で討ちませんか?親王さま。貴方の一声でほとんどの貴族が動きます」

と謀反を(そそのか)す決定的な一言を放った。
じじ…と灯火の芯が燃えて炎が揺らめき、宗成の影が背後の壁に歪んで映る。

「成程…これが媚びへつらう才か。お前の弁舌は危険だ」

伊予は力一杯宗成の手を振りほどいて、軽蔑しきった眼で相手を見下ろした。

「親王さま…いま目が泳いでましたよ。ふふ、一瞬そうしようとお考えになったんでしょう?」

卑屈な笑みを浮かべて、ああ、もひとつ。と宗成は喋り続ける。

「本当は、ご自分の方が神野さまよりも春宮に相応しいとお思いなのでは?」

「この話は聞かなかったことにしよう、誰かある!」

と伊予はぱんぱん!と強く手を叩いて家人を呼び、用意させていた金の包みを宗成に投げ渡してから、
「これで半月は暮らせよう」
と言い捨てて家人たちに命じ、不吉極まりない不埒者を追い出した。

この夜のことは無位無冠の貴族が親王さまに金をせびり、不興を買って投げ銭で追い出された。

それだけで済む話の筈だった。

「申し上げます」
と大納言、藤原雄友(ふじわらのおとも)の邸の庭に平服する下人に雄友は「続けよ」と報告を促した。

「先月、伊予親王様の邸に藤原宗成が入った、という噂はまことでございます」

そうか。と雄友はうなずき、また親王様の親切心が働いたか、困ったものよ。と思って詰碁を続けた。
「そこで話されていた内容は?」
「…」
下人はとても言いにくそうに顔を突っ伏したままである。
「話せ」
と雄友が威圧すると慌てて下人は顔を上げて

「宗成が親王さまに謀反を持ちかけた、と。そこで親王さま激怒なさり、宗成を追い出した。というのが事実のようです」

どうもこの頃伊予さまの様子がおかしい。

何かに警戒しているような。と思って様子を探らせていたらそういうことであったか…

あの式家の兄妹め。
小賢しい流言ひとつで我が甥を陥れようとは!
雄友は白い碁石を鷲掴みにして怒りのままに碁盤の上に投げつけた。

見ておれ、今度こそ仲成とあの女官を潰してやるぞ…

あまりの事の重要さに逸る気持ちを抑えつつ雄友は身支度し、お忍びで右大臣藤原内麻呂を訪ねて事の仔細を内麻呂に報告した。

「よくぞ報告してくれた。不穏の芽は今のうちに摘まねばな」
と受理した内麻呂の動きは早く、その夜の内に宗成は捕縛され厳しく詮議にかけられたが、

「違います、謀反を持ちかけたのは伊予親王さまからでございます。口止めとして金子も頂きました」

と宗成は唇から血を流して雄友の報告とは全く逆の答えを申し述べたのであった。

「さて、伊予と宗成…どちらの話がまことか全く解らぬ。伊予は『謀反を唆したのは宗成』と堂々と言い切ったが、大納言」
「は」
「いくつかの証言を詮議し、確実に嘘と解った方を朕は処罰する。それでよいか」
「は、仰せの通りに」

「ではここにいる大納言を捕縛しろっ!」
と金切り声で叫んだ平城帝の指示もと、目の前で棍棒が交差し、
武官たちに縄打たれる我が身が雄友には信じられなかった。

どうしてこんな事に?

「雄友、お前の『仲成が宗成を唆した』という証言だが、検証するためにそれとは解らぬよう二人に面通しをさせた。

しかし、仲成も宗成もお互い誰か解らず仲成は『あいつは誰だ?』と武官に尋ねたそうだ。とても嘘を吐いているようには見えなかったと…」

つまりはこうだ、と平城帝は蒼ざめた顔でわなわな震えて、
「仲成と宗成は面識が無かった。
お前の嘘が証明されたな、藤原雄友…
ええい、謀反を企んだ南家の臣ども、南家腹の弟ともども始末してくれるっ!今更申し開きは聞かぬわ!!」
と、親指の先を血が出るほど噛み千切ってから宣言した。


全身の骨が軋むほど棍棒で叩かれた安倍鷹野は無言で拷問に耐え続けた。

獄吏とは人を痛め付ける事を愉しみに生きているような、最低の部類の人間どもである。

このような輩は政変が起きる度に

やった、日頃俺たちを見下している偉い連中をぶっ叩けるぜ!

と有罪無罪構わず与えられた獲物を棍棒や鞭や、焼けた鉄の棒で責め立て、己が心の澱をぶちまけるのだった。

「そんなに頑張らなくていいんだぜえ…貴族のだんな。
俺たち獄吏の仕事は吐かせるために痛め付けるんだ。うわ言でもここで吐けば楽になる言えよぉ…謀反を企んだってな!」

と獄吏は悦に入った顔で鷹野の胸ぐらを掴んで自白を迫ったが鷹野は血の混じった唾を相手の目に向けて吐きかけた。

このやろぉ!と激昂した獄吏が棍棒を振り上げると「その方はそこまでにしとけ」と上役が制止した。
「解放するよう命令が下った。縄を解いて差し上げろ」

中臣王よ、帰れるぞ。
と鷹野は共に拷問に掛けられていた侍従、中臣王の方に目をやったが、うつ伏せに倒れている彼の焼け爛れた皮膚や折れた背中、奇妙にねじれた首を見て、声を失った。

「ああ、そいつは侍従だから殺してもいいって話だった。愉しませてもらったぜ」

と言う獄吏どもの哄笑の中で鷹野は中臣…中臣…と冤罪で戯れに殺された彼の体に被さり、哭いた。

左近衛中将、安倍兄雄(あべのおにお)と左兵衛督、巨勢野足(こせのたり)率いる歩兵150人に邸を取り囲まれ、捕縛された時も伊予親王母子は神妙にしていたが、

やがて3人の子供たちが兵たちに抱きあげられ「いやだー!父上ー!」と泣き叫ぶ声を聞くと苦悶の表情を浮かべ、
「子らに罪はないから頼む…」と臣下である野足たちに頭を下げて助命嘆願した。

長年武官として仕え、政変が起こる度にこうして貴人の方々を捕縛、護送してきたが…
今回が一番つらい。と老境に達した武官二人は胸を痛めた。

後に伊予の変と呼ばれる大同2年の冬に起こった政変は、

大納言、藤原雄友 伊予国に流罪。

中納言、藤原乙叡(ふじわらのたかとし) 解職。

従五位下、藤原友人 左遷。

と南家の臣たちを処罰し、朝廷から南家の派閥を政治の中枢から外す意図が明らかな御沙汰が下った。

一度に重臣2名を罷免した朝廷は混乱し、この年の大嘗祭は中止という異常事態になった。

事の元凶、藤原宗成流罪。

伊予親王家人の皇族、雄宗王流罪。伊予親王の子供たち継枝王、高枝王、皇女1人流罪。と伊予に近しい人ほど重罪に処され、

そして伊予親王と母、藤原吉子は…

もう、幾日経ったであろうか?

食は絶たれ、水は最小限という幽閉の身の母子は格子戸に隔たれ意識も絶え絶えでいた。

格子戸の前には毒の丸薬が詰まった壺が一つと、水の入った器。

この時代、臣下が皇族を直接手に掛けるというのは畏れ多く、紐を与えて自剄(縊死)か、毒を与えて自殺を促すのが皇族に体する極刑の不文律であった。

つまり伊予母子が置かれた苦境は、毒だけ口にして死ね。という平城帝が下した極刑である。

(もう五日も頑張っていなさる。早く飲めば楽になるというのに)

(ああ、高貴な方々は柔弱ですぐ絶望すると思っていたが、感心するくらい剛毅な方々よ…)
と見張りの獄吏たちのしゃがれた声が聞こえる。
あの南家の母子め、しぶといな。
と報告を聞いた平城帝は伊予幽閉六日め、伊予親王の親王号剥奪を宣言した。

「とうとうただ人になってしまいました…母上、不孝をお許し下さい」

と伊予は牢の壁にもたれて凍えて歌いながらなんとか正気を保っている母、吉子に呼び掛けた。
痩せこけて水気が失せた顔で吉子はふふ、と笑い、
「私はあの桓武帝の妃ですよ。いつでも死ぬ覚悟は出来ています。
でも、死に時と死に方を『かたち』にして敵に返す矢にしなければ、駄目。伊予さま、今がその時」

と落ち窪んだ目に燃えるような光を宿した。

「では、手筈通りに」と伊予がうなずくと、

「お先に失礼致します」
と吉子は少し泣き、茶褐色の丸薬を十数粒口に含んで少量の水で流し込むとうつ伏せになり、二、三回痙攣してから間もなく動かなくなった。

母上…と伊予は母の遺体に合掌して涙を流し、私はもうしばらく耐えますと心の中で告げた。

夜が明けて七日めの朝が来た。

神野。
私は人生の最後に於て、2つの過ちを犯した。

一つは同情心で迂闊にも邪な考えの者を近付け、覚えもない謀反の疑いをかけられた身の不徳。

藤原宗成。
あいつは自分の惨めさにも向き合えずに我が人生を全て呪い、

虚言を弄して自分より豊かな者を陥れる事を愉しむ、この世に生きる怨霊なのだ。

もう一つは正気と狂気が入れ替わる兄帝に振り回され、疲弊している貴族たちを代弁して兄をお諌めしてきたつもりだが…

どうやら過剰な憎悪を買ってしまったようだ。
いや、私も兄を相手に疲れ果て、宴の席での「誰を粛清すべきか解っている」という言葉の意を誤解してしまった。

兄上が粛清したかったのは式家ではなく私と南家だったのだ。

兄上はただ機会があったからそれを実行したに過ぎない。後がどうなるかも考えずに、な。

神野。
次の天皇になるお前は、私みたいにはなるな。

人に優し過ぎてはいけない。
人を信じ過ぎてはいけない。
人を近付け過ぎてもいけない。

お前の真の敵は、案外近くにいるぞ。

だから神野。私は自分の死をかたちにして最期の一息まで刻み付けるつもりだ。

「おい!上から命が出たぞ、もう殺してもいい身分だからすぐやれ、と」

吉子の遺体を脇にのけて牢に入ってきた男たち二人がかりで伊予を押さえつけ、無理やり口をこじ開けて毒の丸薬を一気に詰め込もうとする。
「いてっ!」と抵抗する伊予に深く噛みつかれた一人が怒りに任せ、相手の口を長い間押さえ続けた。

「事は済んだ、もう死んでいる」

ともう一人が止めてやっと男は我に還り、
「馬鹿野郎、このお二人は『毒を飲んで自殺』だ。乱暴して変な痕付けんじゃねえ」ときつく叱られた。

「さあ、引き渡しまでに骸をきれいにしとこうぜ」

大同2年11月12日(807年12月14日)、

飛鳥(奈良県高市郡明日香村)にある川原寺に幽閉されていた伊予親王と桓武天皇夫人、藤原吉子の死亡が確認された。

「そんな、伊予のお兄さまが…帝はなんという酷い真似を!」

と神野に泣きつくのは高志内親王(こしないしんのう)。19才の彼女は桓武帝と皇后乙牟漏との間に生まれた平城帝と神野の同母妹で、今は異母兄大伴親王の妻である。

「取り乱すのはおよし。お腹の子に障るよ」

と妹を抱き寄せ慰める神野も、正直今ここで泣き叫びたい。だが、春宮として人前で取り乱すことはできない。

ああ帝、あなたは決してやってはならない弟殺しをしてしまったのですね…伊予の兄上がどんなに無念か。
胸が破れそうだ!!

数日を置いて大宰府に次々と送られてくる詳細な報せに藤原縄主はどんどん顔から血の気を失い、
死因が服毒自殺と告げられた時には広げた手紙の中で前のめりに手を付いた。

「あってはならないことが起こってしまった…これでは早良さまの時と同じではないか、何をやっているのか帝は!何をやっているのか我が妻は!…空海」

「はい」

「都では突然このような恐ろしい事が起こるからすぐにはお前を行かせたくはなかった。許せ」

朝廷が突然密教の後継者となった空海を扱いかねて彼の処遇を棚上げにしているのをいいことに、僧網所に圧力をかけて空海の謹慎を伸ばし伸ばしにしているのは自分だ、と縄主は白状した。

「何となく察してはおりました」
と空海も憔悴しきった顔を上げた。

「伊予親王さまにには本当に良くして頂きました…あの方の支援があってこそ受戒して正僧になり、唐行きの費用を集める事も出来たのです、空海阿闍梨としてここにいることも…
すんまへん、泣いてもええですか?」

「赦す」

と縄主が言った途端空海は身を激しく震わせ、床に突っ伏して咽び泣いた。それは幾日も抑え込んでいた絶望が奔流となって放出され、その深い嘆きの声は、大宰府の官人たちを再び泣かせた。

伊予さま。
初めてお会いした時のあなたの言葉、この空海忘れませぬぞ…。

私の名前の伊予は、古事記にある伊予之二名島(いよのふたなのしま)からつけられたそうだ。

だから私の名は四つの国からなる島そのもの。

後年、空海が四国じゅうに己が足跡を刻み付けたのは伊予親王への深い感謝と哀悼の表れだったのかもしれない。




















































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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