第7話 仏への道

文字数 5,607文字

「わしの名は戒明(かいみょう)、この庵のあるじじゃよ」

と老僧は名乗り、沸かした湯で干飯をもどした湯漬けの椀と箸を真魚に手渡した。

都を出て以来の温かい食事にありつき、真魚ははふはふ言いながら箸で飯をかっ込み、すぐに椀を空にしてしまった。

その様子を戒明はにこにこ見ながら
「その様子じゃお前さん、崖に身を投げに来た訳じゃなさそうだね」と安心したように言った。

え、あの崖は自殺の名所だったのか?真魚は驚いて顔を上げる。
「さっき月を眺めたあの崖にはね…よく来るんだよ。食い詰めた庶民たち、何かの諍いに敗れ、都から落ちのびる元貴人、
そして、大学寮での厳しすぎる勉学で精神錯乱を起こした学生」
と言葉を切って真魚を見る。戒明のひとみが、灯火の中で光ったように見えた。

「わしの役目は、崖から身を投げようとする人びとを説得し、或いはその後の生計を立ててやったりもする。いわば崖の庵の説教坊主じゃ」

「お見立ての通り私は大学寮から逃げて来ました。でも、学問に疲れた訳じゃなくて…」
と真魚は自分がここまで来るようになったいきさつを語り出した…

満月は次第に西に傾いて、真魚が話し終えたときにはすっかり真夜中になっていた。

「そうか…長岡京の惨状は噂に聞いていたがそんなに酷いものだったのか。
おまえさん、お上の限界を自分のまなこで見てしまったんだねえ。
政では人は救えない、か。それも一つの真実だ…おまえさん年は?」

「年が明けたら十九になります」

「どうせ行く当ても無くここまで来たんだろう?」

「はい…」

真魚は自分のこれからと現実を考えて、うなだれてしまった。
何をしようか一向に思い浮かばない…

「お若いんだから、ゆっくりと自分の身の振り方を考えるがいいさ。
わしも年で体が思うようにいかなくてね、冬越えするまえに誰か使用人を雇おうと思っていたところだ。
ひと冬、身の回りの世話をしてくれないか?出家の身ゆえあまり給金は出せないが…」

と戒明は(くりや)(台所)と座敷と、書棚には経典の巻物しかない自分の庵を見回して、真魚に提案した。

「いいえ、置いてくれるだけでも有難い!給金は要りませんが、その代わりに」
「何だね?」

真魚は久しぶりに目を輝かせて、言った。
「漢詩を、唐語を教えていただけませんか!?面白いし、もっと知りたい!」

「よろしい。唐語も話し相手がいなくては忘れてしまうでな」
と戒明は快諾した。

やがて、山に冬が訪れ、明け方と晩には体も動かしたくない程の寒さになった。

庵の戒明と真魚も、厠と水汲み以外には火鉢を二人で囲んで衣を着込み、漢詩、史記、論語などを唐語で暗唱して寒さをしのいだ。

戒明は、真魚の学習能力に驚嘆しながらこう洩らした。
「李白をはじめ、王維、孟浩然、さらには聖武朝の懐風藻(かいふうそう)まで覚えるとはな…真魚よ、お前さん明経科ではなくて文章科に入った方が良かったかもな」
「しかし、文章では出世できないと叔父に言われました」
「で、こうして出世とは真逆の道にある坊主の話し相手になってる顛末かい?」
と戒明は笑って皮肉を言った。

もう他には仏教の経典しか読ませるものが無いぞ、と老僧が呟いて経典を取ろうとした時、
「私は仏教は嫌いではありませんが、東大寺の僧たちは大嫌いです」
と真魚は平城京での失望と屈辱を思いだして顔を怒らせて言った。

あんな醜い坊さんたちの仲間になど、なるもんか!

「訳は最初に聞いたよ、奈良の僧侶たちにいじめられたそうだね…
わしも今の東大寺の有り様が嫌でこうして山に引っ込んでいる身だ。

しかし、僧たちの全てがならず者ではないし、仏教を否定されるのは、わしが一生かけて学んだことを否定されるようで、
正直、心が傷つく」
と本気で戒明は傷ついた顔をした。

「申し訳ありません、悪気はないんですが」
と真魚は首をすくめた。

「じゃあ、これから話す事は年寄りの独り言と思って聞いてくれ。むかし、天竺(インド)の釈迦族に生まれた王子の話だ」

仏教の祖、釈迦の一生なんて何度も故郷の寺で聞かされた話じゃないか、と思って真魚は老僧の話を形だけ聞き始めた。

「…豪華な宮殿と王子という身分、美しい妃と可愛い子に恵まれながらも、王子の心は虚無に満ちていた。
一日一日を生きていくのさえも、苦しいと思っていた」

「なぜですか!?」
とつい聞き返したくなるくらい、戒明の語り方は魅力的だった。

「人生の最初から、全てを持っていたからだよ。
いいかい?真魚。人は、地位、家財、家族を多く持とうと出世を目指して人生を送る者がほとんどだ。だが、持ちすぎた瞬間から…

人生さえもつまらなくなってきて死にたくなるくらい絶望するものなんだよ。

王子だけではない、これは、都の貴人から海の漁夫(いさりお)まですべての人が抱えている心の問題だ。

真魚、仏教とはな、生きるため、人を生かすための道なのだ。ここから釈迦の出家ばなしをするが、覚悟はいいかい?」

「はい!」と真魚は改まって姿勢を正した。

佐伯真魚十九歳。唐帰りの僧、戒明によって本格的に「仏への道」が開かれた。


釈迦二十九歳で出家から八十歳で入滅するまでの物語は、なんと華厳、法相の経典を教材にして真魚に読ませながら語られた。

戒明も、人が変わったように厳しくなり、真魚も大海のような釈迦の教えの言葉たちの中に溺れそうになりながらも、
必死で老僧の講義に喰らいついていった。

或る王子の一生の中で伝えられた言の葉の…なんと膨大なことか!


庵のきびしい冬が終わり、やがて、山笑う春が来た。

荷車を驢馬に引かせて歩く、ひとりの僧が崖の上の庵に向かっていた。
今年四十になる中年ながらも、僧の体つきはしなやかな筋肉で引き締まっている。

庵の入り口に着くなり僧は戸をばんばん叩いて
「おーい、じいさん生きとるかー?わーしやわしや、勤操(ごんぞう)やー!」
と銅鑼を鳴らすよりもけたたましい声をわざと張り上げた。

「はいはい、あるじはいらっしゃいますよ…なんと騒がしいお客なんですか!?」
と戸を開けて応対してくれたのが小柄な若者だったことに、勤操はけっこう驚いた。

「なんや、じいさん使用人雇ったんかい」
と勤操は真魚を押しのけるように庵の中に入り、文机に向かっていた老僧が自分を見つけて元気そうに手を挙げるのを見てほっとした。

「じいさん生きとったんか!毎年この時期になると、独りで冷たくなって庵の隅に転がってないかと心配でたまらなくなるんだが、
使用人雇ったんなら一安心や」

どうやら戒明さまは来訪した僧と昵懇らしいが…来るなり滅茶苦茶口悪いな!と真魚は呆れて勤操の精悍な横顔を見た。
「真魚。この行儀の悪い僧は勤操というてな、こうやって定期的に食糧などを運んでくれるのだよ。弟子の一人のつもりだ」

つもりって…と勤操は絶句した。

「じいさん四か月ぶりに会う弟子に何ちゅう言いようや!せっかく食いもん持ってきてやったのに。ほら、若者。荷車から食料をとっとと運べ!」

と真魚に用事を言い付けて、勤操はごろり、と戒明の傍で横になる。

「じいさんが好きな『あれ』も持ってきましたで」
と寝たまま顔を上げ、勤操はにいっと笑った。

「ご苦労」
米や野菜や干した海藻を厨に運ぶまでは良かったが、最後に一抱えもある大きな壺が二つあり、さすがにこれは真魚の腕力では無理だった。
「あーあ、若いのに情けないな」と勤操も手伝ってやり、荷物を全部所定の位置に運び終えた。

「ええと、勤操さまでしたっけ?この壺の中のものってまさか」
と壺の口から真魚が苦手な「あの液体」の匂いがぷんぷんする。

「酒だよ」
と勤操はそれが何か?としれっとした顔で答えた。

ああ!それよりな、と僧衣のふところから紙を出して読み始める。

「都から捜索の願いが出ている若者がおるんや。なんでも偉い学者の親族で、大学寮から逃げ出した将来有望な若者らしい。
ええと、特徴は、年は十九から二十だが、体格は小柄、色白で、女人のような(つら)をしていて、顎の中央にある黒子(ほくろ)が一つ…」

とそこまで読み上げてから、真魚の顔をまじまじと見た…勘の良い真魚はさっと転がるように走り出す。

「待たんかい!」勤操と真魚は庵の中をぐるぐる回って追っかけっこをしていたが、「ばかめ、脚じゃわしに敵うもんおらへんのや!」

とたちまち勤操は真魚を押さえ付け、その小さな背中を片脚で踏みつけてしまった。

「さて勤操、真魚をどうするつもりかね?」
戒明は届いた壺の口を開けて、早速中の酒を杯でぐびり、と一口飲んで「いい酒だ」と満足そうに肯いてから尋ねる。

「もちろん金や。その偉い学者さんにこいつ引き渡してたんまり褒美貰うに決まっとるやんけ」

ぐっふっふ…と勤操は両手の指でなにかを揉みしだくような動作をした。

「相変わらず金銭欲と物欲のかたまりだねえ…お前、それでも大安寺の僧か?」

「昼間から飲んどる坊さんに言われたくないわ!じいさん縄はあるか?」

中年僧に組み敷かれながら真魚は、
ああ…私はどうして、会う僧会う僧みんな、破戒僧ばっかりなんだろう!?と泣きたい気分になった。

「わしに免じて真魚を許してやってくれないか?」と戒明は文机に杯を伏せて、しばらく考え事をした。
「叔父の大足どのと大学寮にいつまでも心配をかけるのはいけないし、消息は知らせておかないと…
そうだ勤操、大安寺のお前預かりということで、近く正僧(東大寺で出家した正式な僧。僧尼令では国家公務員待遇)に
するべきだ、と文を送れば阿刀大足も納得するじゃろうて」

「阿刀大足ぃ!?皇族の侍講(家庭教師)やってる大学者やないか!お前、その甥か」

と勤操はまだ踏みつけている真魚を見下ろして、本気で驚いた。

「わしの大事な『弟子』じゃからな」

戒明が真魚を弟子、と認めたことに、勤操はぴくり、と眉を跳ね上げた。

「まさかじいさん、一冬かくまっている間に仏道を教えたんじゃ」

「ああ、唐語、漢詩文、華厳と法華の教え。暇じゃから全部教えた…恐ろしい子じゃよ。この庵にある巻物は全部真魚の頭の中にある」

「何だと!」
とやっと背中から脚を離してくれた勤操に真魚は多少の怒りを抑えながらも、どうも、と首をすくめた。

「じいさん、この青年を本格的に仏教の道に?」

「わしはそう思っとる。で、ひとつお願いなんじゃが」

「じいさんの頼みなら何なりと」

と初めて勤操は戒明の前で畏まった。

「真魚に一通りの仏道修行をさせてから、本格的に僧侶になるか、大学寮に戻るか考えさせたい。
真魚の勉学し過ぎで血が上った頭を冷やしてやってくれないか?体を鍛える目的でね」

そう言って戒明はぐすり、と笑った。

な・る・ほ・どね、と勤操は口元に怪しい笑みを浮かべてから、

「拙僧のやり方なので、少々きつく揉んでやってもよろしいですか?」

「思いっきり揉んでやりなさい」

真魚は、嫌な予感がした。

髪を束ねて丸く結った(もとどり)を剃刀で躊躇なく落とし、勤操は慣れた手つきでばっさばっさと真魚の髪を梳いた。

そして戒明の衣と袈裟を着せてやり、
「よし、これで形だけはいっぱしの私度僧や」
と断髪して簡素な僧衣を着た真魚の姿に勤操は満足そうに肯いた。

「さて、外に出るで。付いてこい」と勤操は真魚の手を引っ張って杖を持たせて「十日間ほど真魚を借りますわ」と言い置いて庵を後にした。

「いまからどこに?」

寒気がすっかりゆるんできた山中を歩きながら、真魚は勤操の広い背中に声を掛けた。
「今から山二つ越えて、あんたの頭冷やすのにちょうどええ打たれ甲斐のある滝へ向かう」

山二つ!?と真魚は聞き返した。

「冬ごもりで鈍った足腰を鍛えるんに無理ない行程やろ?」
振り向きもせず早足で歩きながら勤操は言った。真魚は、ついていくだけでも息が上がるほどだった。

一時(二時間)も経たぬ内に、目的地の滝に着いた。そこは、緩い勾配の崖から青々とした滝壺が見下ろせる絶景であった。

「勤操さま」と崖の淵から滝壺を見下ろしながら真魚が聞いた。

「どこに、打たれる平地があるというのですか?」

滝の下の水深はかなり深そうだが…

「まあ…人間も風景も、見た目だけでは分からないということもある。四の五の言わずに飛び込め!」

真魚が振り返ろうとする時、勤操が片方の足を見事に垂直に上げ、真魚を崖から蹴り落とした。

悲鳴を上げるゆとりも無かった。
真魚の視界で、風景がぐるぐると回ってやがて、冷たい水の中にどぼん!と体が落とされた。

自分の五体が碧い水の中に沈み込み、溶け込ていくような錯覚を覚える…

ああ…水の中から見る日の光は、なんと美しく優しいのだろう!

ふと目の前を、一匹の(うお)が通り過ぎた。真魚はそれを捕まえようとしたが、たやすく魚は逃げて行った。

このまま冷たく清浄とした水の世界にずっと浸っていたかったが、やはり…息が続かない!

真魚は水面に向かって泳ぎ、やっと顔を水から出してぶはあっ!と息を吸い込んだ。

「はっはっはあ、こっちまで泳いで来ーい!」と滝の真下で勤操が白衣に着替えて笑って真魚を待っている。

どうやら滝の真下はくるぶしが浸かるまでの深さしかないようだった。

「な?上から見ただけではわからん山のかたちが、こうやって飛び込んでみて初めて分かるのだ。

山を這うて山の(ことわり)を知る。それが、山岳修行というものだ」

真魚も勤操の隣に並んでしばらくの間滝の水に打たれた。

頭頂にかかる水が、学問の疲れや、都に置いてきたもの、叔父の期待やお上への絶望などを洗い流してくれる。

「少し休もか?」と勤操に言われて滝の下で両の目を開けた時…

真魚の周りの風景が滝に打たれる前とは一変していた。

伸びゆく木々、芽吹く若草、水に洗われる石、空を横切る鳥。手から逃げた魚と同じだ。

皆、自然の理の中でそれぞれの生を自由に生きているではないか!

「勤操さま、人も、草木のように自由に生きることができるのでしょうか…?」

真魚の両目からはいつの間にか涙が溢れだしていた。

「それを自分なりに追及するのが仏の道っちゅーもんや」

こうして南都六宗の一つ、三論宗の僧である勤操の指導の元、真魚の厳しい山岳修行が始まった。






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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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