第67話 背徳

文字数 5,538文字

それは延暦4年(785年)の秋の盛り。

野の焚火に炙られた鳥や獣の肉がいよいよ脂を垂らして香ばしい匂いを漂わせはじめ、従者の男たちがごくり、と唾を呑み込んだ時に、

鷹戸(たかかいべ)(鷹匠)が肉の焼け具合を見て「火が通るまでもう少しお待ちくださいませ」と焦らすので随行の従者が暇つぶしに、

「そういえば縄主(ただぬし)どの、式家の姫との結婚生活はどうだ?」

と新婚の藤原縄主(ふじわらのただぬし)に問いかけると皆、一斉に縄主の方を見てこの際とばかりに内に秘めていた言葉を遠慮なくぶつけた。

何でも美しいと評判の姫だそうだな…うらやましいやつめ!

と貴族の若者たちが口々にからかっても縄主は髭を掻いて照れて俯くばかり。

その様子がいかめしい見た目に似合わないのでひとりの貴族がつい、

「よりによって熊と美女が添わねばならぬとは、相手の姫が哀れでならぬのう」

と酒に酔って口を滑らせたので周りの者たちにどっ、と笑いが起きた。

熊と呼ばれた縄主自身も見た目を揶揄されることには慣れきっていたのでそのままにしていたが、それを聞いた宴の主は、険しい顔つきをして声を低めてこう言った。

「縄主の妻は朕が信を置く種継の娘であり、その婿の縄主は朕の息子同然である。

今度公の場で縄主を侮辱する奴が居たら、その者朕に二心あり。と見なすが、よいかな?」

と桓武帝はいま笑った貴族たちを睨み付け、軽薄な彼らの首をすぼませた。が、すぐに、

「まあ今回のことは朕の胸に納めておこうではないか…ちょうど肉が焼けたぞ、大いに飲んで食うが良い!」

とさっきの威圧を打ち消すかのように鷹戸に鷹狩の獲物の肉を切り分けさせて、それを朴葉の上に乗せて味醤(みしょう)(味噌)を添えて皆に配った。

当時の味醤は貴族階級の給料として現物支給される程の高級食材だったので、今回の鷹狩りに参加した貴族や武人たちはやれありがたや!このような馳走を頂けるなんて帝は実に鷹揚なお方であるよ…

と大喜びで肉に味醤を付けてそれを肴に酒を飲んだ。

「若い者たちが喜んでいるので今回は良しとしますが」

と自分も馳走を楽しんでいるくせに桓武帝の従弟(いとこ)弾正伊(だんじょうのい)神王(みわおう)はそこで声をひそめて、

(やれ殺生禁止、と坊さん連中が五月蠅い中でこのように堂々と鷹狩をし、獣肉を喰らうのは仏教勢力への当てつけですかな?)

と笑いながら桓武帝の耳元に囁くと、意外にも「違うよ」というお答えが返ってきた。怪訝な顔をしている神王に、

(朕が当てつけているのは、東宮に住まうもと坊さんだ)

と桓武帝がしてやったり、という笑いを浮かべながら従弟の耳元に囁くと神王はああ、と得心した。

ここで言うもと坊さんとは桓武帝の13才年下の弟で、桓武帝即位時に他に近親者が居なかったために僧侶の身から無理矢理還俗させられた皇太子、早良親王(さわらしんのう)の事である。

桓武帝はこのごろ、

「仏教勢力をないがしろにして急ごしらえの長岡京に遷都するなど以ての外。直ちに奈良への再遷都の勅を出して頂きたいっ!」

と顔を合わせる度に無理なことをわざと大声でどなり散らす弟に辟易していた。

天皇として激務の日々に、頑迷で世間知らずの不仲な弟。ああ気が滅入る…

「鷹狩は軍事教練としての帝王のたしなみぞ」と言い訳しては、
こうして野に出て狩りを愉しむしか天皇である自分には憂さ晴らしの術が無いのだ。

即位してみてはじめて分かるが、内裏とはほとほと息の詰まるところよ。

それに。

火を囲んで肉を喰らい酒をあおる己が欲に正直な若者たちを見ながら桓武帝は、

「なあ神王よ」

と齢48の両の瞳に炎を映してから一番信頼している従弟を振り返り、

「背徳とは、人として生まれた者の最大の快楽じゃないのかね?」

と焼き肉の脂でぬらぬらとした唇に老獪な笑みを浮かべて言い放つのであった。


「…と、いう訳で帝は宴の席で私を息子同然と仰って下さったのだよ」

と妻の薬子に太刀を預ける縄主の話に薬子は、まあ、なんと有難いこと!
と我が夫が帝に認められている事を誇らしく思うのであった。

薬子と縄主は婚儀後すぐに父種継の任に伴い、長岡京の邸に移り住んでいた。
結婚して三月(みつき)、優しくて誠実な夫との暮らしに薬子は満足していた。

「今宵は飲み直したい客人が来てくださっているが」と縄主はちら、と客間のほうに目をやったが、
「無理して出て来て接待しなくてもいいからね」
と懐妊を知らされたばかりの薬子を労って太刀を持たせるのでさえも落ち着かない程の心配ぶり。

薬子はそんな夫を相変わらず優しいお方…と思いながらも、

「でも、殿のご親友なのでしょう?なおさらご挨拶をしなければ」

と使用人に酒肴(しゅこう)の支度をさせて客間の手前で膳を持って失礼致します。と言ってから客の前に膳を置いて瓶子(へいし)を持ったまま客人を見上げた。

「はじめまして、式家の姫君」
と挨拶する客人のあまりにも整った眉目とその笑顔に薬子の眼と心は吸い寄せられた。
このような美しい殿方を見るのは初めて…と薬子は思った。

客人は藤原葛野麻呂(ふじわらのかどのまろ)といい、ことし従五位下に徐爵したばかりの30才の貴族であった。

「これは…なんと美しい奥方だ。おい縄主、お前は果報者だな!」

と葛野麻呂どのは白い歯を見せて快活そうにお笑いになり、時節や風流の事などにに詳しく、人を飽きさせぬ彼の話しぶりに薬子も夫と共に何度も笑った。

「さあさ、邪魔者は新婚夫婦の前から退散するとしますか」と夜が更けない内に葛野麻呂は、爽やかな余韻を残して去って行った。

ああ楽しかった。今夜は気持ちよく眠れそうだこと…それにしても、と薬子は寝床の支度をしながら、

「父上は今夜も帰って来てくださらないのかしら?もう3日めですよ」

と父、種継の多忙ぶりをもうお年なのにお体に障らないかしら?と心配していた。

夜着に着替えた縄主はそんな薬子を親思いの心優しい妻だ。といじらしく思い、

「お父上は造営大夫というこの上ないお役目を与えられたのですよ、薬子どの。
気候も良く、水利整った新都長岡京が完成したら我々式家の栄達も間違いなしだ。大丈夫、これからいい事ばかりですよ」

と年若い妻を励ますように後ろから両肩を抱き、髪飾りを取って垂髪になった薬子の豊かな黒髪を撫でた。

それが夫からの閨事の合図だと薬子には解っていた。

薬子は夫のごつごつとした手を握り、もう一方の手で髭に覆われた唇を探し当ててまずは指で撫でてから夫の唇を吸った。

夫の舌先がおずおずと口中に入って来るのに焦れて、挑むように薬子が自分の舌先を押しつけるとそれが夫の欲情を掻き立たせて舌を絡め合いそのまま縄主が薬子の夜着を脱がすと、そこには身籠って三月になる女の瑞々しい裸体が現れた。

夫の指が妻の背筋をなぞり、首筋から乳房へ夫が唇を這わせると妻はあ…と声を上げてのけ反り、夫の首にしがみついて座りながらの姿勢で夫を受け容れた。しばらく体を揺らすと夜着をかけた広い背中に汗が滲み出す。

貼りつく夜着を片手で脱ぎ、裸体をさらした夫に妻は震える瞼を閉じながら、

「灯りを消してください…ませ…」と懇願した。

初めての閨の時から薬子はそうだった。恥じらいのある女よ。
と縄主は喘ぐ薬子の瞼に口づけしてから灯火を消し、闇の中で26才と18才の夫婦は満足感するまで若い裸身をぶつけ合った。

あの夜に縄主が言ったこととは反対の事件が起こってしまったのは、ちょうど半月後である。

延暦4年9月24日(785年10月31日)、
その夜更け、急いで内裏からお越しになられた葛野麻呂さまの端正なお顔からは血の気というものが失せてまるで蘇った死者のようだ。と思った。

「縄主、薬子どの、落ち着いて聞いてくれ…」
と聞かされたそれは、父種継が視察中に背後から弓で射られ、暗殺された。という凶報であった。


実行犯の大伴竹良(おおとものたけら)その場で捕まり、厳しく尋問した結果、大伴継人(おおとものつぐと)佐伯今毛人(さえきのいまえみし)の命令だと解り両人共に捕縛。詮議を受けている…皆、早良親王さま寄りの春宮坊や貴族ばかりだ。

帝も直ちに平城京からこちらに向かって下さっている。

私も詮議の役人の一人なので直ぐに内裏に戻らねばならぬ、二人はここで報せを待っていて欲しい…

と伝えて下さった葛野麻呂さまの言葉がが頭に入って来ず、

父上が、殺された?

という混乱だけが頭を占め、私は震えながら夫の縄主にしがみついていた。

果たして布にくるまれた父の亡骸が家に着いたのは翌朝だった。

「顔から下は見ない方がいいかと。損傷が激しゅうございますので…」

と言い置いて憔悴した使用人たちが布を外して父のお顔を露わにすると、意外にも眠っているかのような穏やかな死に顔。

私は父のお顔を両手で包み、その冷たさに初めて父の死が現実なのだと思い知ったのだ…

父の弔いから最初のお産までどのように過ごしていたかはっきりとは思い出せない。

「実行犯も首謀者たちもその夜の内に首を刎ね、謀反の首謀者である早良親王も配流の途中で死んだ。お父上の仇は取りましたから、どうかお気を取り戻して下さい…」

と夫に励まされても生きる気力というものが失せてしまって床に臥し、喉が渇けば水を飲み、お腹が空いたら胃の腑を満たすまで食事を摂りながら生きるだけの日々を過ごした。

そう、あの頃の私は魂が抜けて生存しているだけの生ける屍だった。
年が明けて邸の軒先のつららが初春の陽光を受けて光っているのを見て、

ああ、この美しい光を見ていられるのは、生きているからだ…!

と感動し、この時初めてお腹の子が動いたので私の心は(うつつ)に還る事が出来たのであった。

桃の花が開く頃に私は女の子を産んだ。喜んで赤子を抱く夫に私が、

「父種継から名を取って、継子(つぐこ)と名付けてよろしいでしょうか?」とお願いすると夫は

「もちろんだ!あなたに似て美しい赤子で良かった…」と涙ぐみながら快諾してくれた。

私は夫のその言葉を聞いて、容姿に自信のない者の苦悩を垣間見た気がした。

娘の誕生のお祝いに帝から豪勢な調度品を賜ったり、父と懇意だった貴人たちの来訪を受けたりと、
それは父種継の死の悲劇を払拭するような華やかな宴だった。

勿論、あの葛野麻呂さまもお祝いの品と共に

「やあ、薬子どのに似てまことに美しい姫君だ!先が楽しみだな」

と心からの祝福を下さったのだが、この頃この方は何かお悩みでもあるのか?と思うくらい表情に翳りが出ていた。

親友である夫縄主や内裏に勤めるご同僚が気づかないあの方の苦悩が何故私に解ったのかって?

それは、私が初めてお会いした時から葛野麻呂さまに恋をしていたからだ。

父と兄弟と使用人しか男というものを見たことがない貴族家の娘の初恋の相手が、まさか夫の親友だなんて!

いけないことだ。
と私は子を産んでからつとめて葛野麻呂さまのお顔を見ないようにしていたが、恋多き葛野麻呂さまは私の気持ちなぞとうに見抜いていたようだ。

だって、夫の宿直(とのい)を狙ってあの夜我が家を訪れた葛野麻呂さまはお酒に酔った勢いで私を犯してしまったんだもの。

いいえ、実は私もその状況を期待していたのだ。

娘を乳母に預けた私は物憂げな表情も見がいのある葛野麻呂さまのお酌をしていた。あの夜の葛野麻呂さまはいつもの饒舌を何処へやったのか?というくらい無口であった。

お互い無言なまま気まずい時が流れ、「酌はもういい」とあの方が私の手首を取って顎を引き寄せ、唇を押し付けられた時に瞼の裏が白く弾けてもうどうなってもいい、と躰から力が抜けてしまった。

そうして何度か唇を吸われ、衣を脱がされ全身の肌を愛撫されて葛野麻呂と肌を密着させて、生まれて初めて味わう恍惚感に薬子は死ぬのではないか?と思ったが、

好きな殿方に抱かれているのだから、もう死んでもいい!と迫り来る歓びを受け入れ、喉を反らして心も躰もいつ終わるのかも解らない波のように打ち付ける快楽を味わうだけの存在となった。

一体どれほどの時が経ったのだろうか…

薬子が目を覚ますと、隣で寝ていた葛野麻呂は夢でも見ているのだろうか、うなされて何事か呟いている。

お風邪を引きますよ…と薬子が彼の逞しい全裸に衣をかけてあげようとすると、

中納言…謀殺…命令…帝…

というあまりにも不穏過ぎるいくつかの言葉を聞いて薬子は衣を取り落とした。

躰に落ちる衣の重みで目覚めた葛野麻呂は全裸の薬子が青ざめてこちらを見ているのに気付き、

自分が抱えているとんでもない秘密を寝言でばらしてしまった事に気付いた。

「それってどういうことですの…?」

ええい、仕方ない。
と葛野麻呂は、

帝が早良親王と彼を支持する貴族たちを粛清するためにわざと早良親王と敵対していた種継を殺させたのだということ。

夜も明けぬ内に首謀者たちを処刑したのは彼らに冤罪を訴えさせぬため始末したのだ。

という、自分が知っている限りの種継の死の真実を打ち明けた。

「あなたの本当の仇は死に処された大伴一族でも早良親王さまでもない。
中納言種継どののご親友でもあった…今上の帝さっ!
どうする薬子どの、加担していた私を訴えるか?」

と初めて会った時から欲しかった女を手に入れた満足感と疚しいことを白状した清々しさで葛野麻呂はもう完全に居直っていた。

いいえ、と薬子はかぶりを振り、
「今度は貴方のお体を見せて」と灯火で部屋を明るくし、葛野麻呂の顔から肩、胸板、腹、大腿を隅々まで見て触ると、

なるほど、これが殿方の体というものなのですね。

と呟いてから「焦らさないでおくれ」と抱きつく葛野麻呂と明るい中で今度は遠慮なく交わった。

実は薬子が夫との閨で灯りを消すのは恥じらいではなく…

体毛の濃い夫の体と、熊のような男に抱かれている惨めな自分を直視したくなかったからだ。


こうして夜が明ける前に一人貴族の男が目立たないように裏口から抜け、見送る人妻と今度は十日後の、次の夫の宿直の晩に逢う約束をした。

人生は、公明正大でいるよりも隠れて悪事を行って生きている方が数倍愉しい。












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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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