第36話 葛野麻呂謁見

文字数 3,731文字

何度も襲い来る嵐と波に揉まれながら葛野麻呂(かどのまろ)は何度も気を失い、その間切れ切れに夢を見た。

我が袖からするりと抜けた小鳥が晴れた蒼海の向こうに飛び去っていくのを「明鏡!」と手を伸ばして追いかけようとするが、船の舳先から自分は降りる事が出来ないのだ。

何度叫んでも声が出ず、小鳥が視界から消えてそこで夢から醒めた。

明鏡。私が最も愛した女、明慶との間に生まれた愛しい姫よ…父は一時たりともお前を忘れた事が無いぞ。

尚侍明信(ないしのかみみょうしん)(はかりごと)によってお前が宮中に連れ去られたと知った時、私が愛した女は皇女だったのか!と初めて気付いたのだ。

父は何度もお前を返して欲しい、と明信どのに嘆願したがあの女は地に伏す私に向かってにべもなく言い放ったのだ。

「この際はっきり言っておきますけど、母の無いあの子があなたに引き取られても何人もの継母と大勢の異母兄弟たちの中で肩身の狭い思いをするだけ。
藤原家などに可愛いあの子を渡したくはないのが本音よ。
安心なさい、明鏡は私が後見となって立派な宮女に育てます。娘のことは忘れるのよ」

その時、私の中で初めて権門への憎しみが生まれたのだ。下肚から突き上げる赤黒い焔が喉元にせりあげ、私に本音を吐かせた。

「愛する者を忘れるなんて無理に決まっているではないか。明信どの、それはあなたも同じことだ!…何位にまで上がれば娘を返してくれますか?三位の公卿か、それ以上か?」

といきなり問われたあの女は一瞬怯んだ顔をした。可哀想に。帰化して歴史の浅い渡来人家の女は藤原家の男の本質、

欲しいものの為なら誰の血を流してでも手に入れる。という事を知らなかったのだ。

「人妻ながらに帝の寵姫になりおおせた権高き女官よ、今の地位がいつまでも続くわけではないぞ」

「く、口を控えなさい…ここは宮中ですよ。将来あるあなたのために言っているのよ!」

と声をひそめながらあの女は逃げるように立ち去って行った。それから間もなく二十数年ぶりの遣唐使の話が持ち上がり、私を大使にして欲しいと真っ先に名乗りを上げた。

明鏡、私の小鳥。父はお前を取り戻すために海を越えたぞ!

しかし私の心は、大陸に着いて50日を越えてもう挫けそうであるよ…


「大使どのは相当落ち込んでいらっしゃるな」

「無理もないよ、やっと陸に着いたと思ったら赤岸鎮は僻地も僻地、異国の船の対応は出来ない、とお役人に追い返され海岸沿いに福州まで船をやったら海賊の疑いをかけられて
しまいには船ごと監禁されている状態だもんなあ」

「国書と印符があればすぐに下船出来たのに…二の船の副使どのに持たせたから証を持ってないだと!?どれだけ我々は不運なんだよ!」

と留学生たちが爪でぼりぼりと体の垢を掻きながら大使どのを段々冷ややかな目で見るようになった。それもそのはず、大使どのは何度も福州の役人に嘆願書を出していらっしゃるが、

その文章が「悪文悪筆である」という理由で却下され続けていたからだ。

唐ではその人の書いた文章によって相手の人となりを判断する習慣が当然の如くあり、少しでも不備があれば相手にさえしてくれなかった。

もう水も食糧も尽きかけている乗員たちの我慢は限界であったし、船内には剣呑とした空気が流れていた。

「あのう」と身分違いながらものんびりした口調で貴族の子弟である留学生たちに声を掛ける僧侶がいた。

すっかり船上での生活に飽き飽きした留学僧空海である。

「何だ?」と気軽に返事した留学生、名を橘逸勢(たちばなのはやなり)という。血筋をさかのぼれば皇族という名族橘氏の息子で、従妹に神野親王の寵愛を受けている橘嘉智子がいる。

ことし22才の逸勢は人と話す時は身分の上下を考えない気さくな人柄で、漂流時から気になっていた空海に話しかけられて内心嬉しかったのである。

「失礼ながら修行時代のわが師が申しておりました。大唐帝国は文書の仕上がりに大層厳しく、お役人によっては文字の大小、行の高さが少しでも違っていれば不可とされてしまう。読めればいいというものではないのだ、と」

「お前の師は唐帰りか?」

「へえ…で、僭越ながらあなた様を通して大使さまの文書を拝見させていただきたいんですが」

私が!?と逸勢はあの矜持の高そうな葛野麻呂さまに今話しかけて胸ぐらを掴まれでもしないか、と顔を引き攣らせたが、

その心を読んだかのように空海が「大丈夫です、いま大使さまは何度も文書を突き返されてその矜持が砕けている。好機です」

と逸勢の背中を押した。言われるままに逸勢がうなだれている大使さまにおずおずと話しかけると急に生気を取り戻した葛野麻呂が手招きして空海を傍に寄せた。

「恥を忍んで頼む!私の文章のどこが悪かったか教えてくれないか?」

と手に握りしめていた10枚近くの紙を広げて見せた。

「…なるほど、つまりは私の筆の拙速さが原因ということか」

「文章の内容は伝わっている筈です、が、大使様の心の焦りで筆が乱れているのです。唐のお役人は杓子定規を使って字や行間まで添削する、と聞いております」

所詮、田舎の小国の使節だからと今まで舐められていたのか…なんて意地悪な役人どもだ!と葛野麻呂は紙をぶちまけて叫びたくなったが今ここで落ち着かなければ…と葛野麻呂は深呼吸して怒りを鎮めた。

「そこで、わが師戒明和尚から教わった唐の文書の書き方で書いてみました」と空海は背後に持っていた自筆の文書を恭しく葛野麻呂に差し出した。


う、美しい…。と葛野麻呂と逸勢はその文書の完璧さに思わず見とれてしまった。

「決めたぞ、この文書をそのまま提出するがよいか?空海和尚」

「よしなに」

その後の福州のお役人たちが空海の文書を目にし、手のひらを返したように好意的になったのは言うまでもない。



福州から首都長安に派遣された使者が「藤原葛野麻呂の一行を国賓として礼遇するように」という勅を持ち帰り、やっと海賊から国賓に格上げされた遣唐使団一行が福州を出発し、

約50日かけて首都長安入りし、割り当てられた宿舎に入って旅装を解いてやっと一息ついていた。

「あーあ、死ぬ思いで航海して陸に着いても相手にされず。困難な旅だった…なあ?空海」

となぜか食卓で隣に座っている逸勢が晴れ晴れとした顔で空海に声を掛けた。

「へえ、二の船はさらに都に近い明州に漂着して、たやすく下船を許可されたそうな」

遣唐副使、石川道益(いしかわのみちます)と最澄、義真の乗った二の船は一の船よりもさらに20日多く漂流したが、漂着した明州での受けが良かったのか役人の審査もすんなり通り、

幸い最澄が目指す天台山も近くにあったため、二の船の一行はとうに宿舎に入っていた。補足すると三の船の乗員たちはは途中大破した船を放棄して脱出し、壊れた舟板を筏がわりにして太宰府まで帰りつく。四の船、消息不明。

「道益どのは完璧主義と言われているほどしっかりしたお方だ。国書と印符を肌身離さず付けていたんだろうよ…しかし、明州で病に伏しておられるとはな」

と逸勢は目の前の茶碗に注がれた琥珀色の液体に目を落とした。

「この薬湯は味がさっぱりして美味いな」

「それ、茶というもんでっせ。食事の時に飲むと胃の腑がさっぱりする、とさっき(くりや)の料理人から聞いて来ました」

「ほれ見なさい、空海どのは何処へ行っても順応が早い」

と少し掠れた声で言って笑ったのは45才の留学僧、霊仙(りょうせん)。この時代、もう老境に差し掛かってる霊仙が留学を志願した理由が

「随分前から大日如来さまが夢に出てきてましてなあ、でも何も話しかけてくれんし、日の本では大日如来を調べようにも資料が少ないからええい!なら唐まで行ったろか思いましてなあ」

という随分思い切ったものであった。

「今頃大使さまは唐の宮中で私らより旨いもの召し上がってるんだろうなあ…」

と宿舎で遣唐使たちがぼやいている頃、


貞元20年冬(804年12月23日)

長安城に入った藤原葛野麻呂は大唐帝国12代皇帝、徳宗(とくそう)への謁見を果たした。

もうすぐ60半ばだが、覇気に満ちた皇帝は大使葛野麻呂一行がここにたどり着くまでの経緯を聞くと大層同情し、

「随分辛い旅程だったんだな…海路で半分は命を落とし、陸路ではいちいち地方役人の検閲を受けて心身疲れたであろう。
許して遣わす故気の済むまで城内でゆっくりと休むがよい」
と労いの言葉を掛けた。

「私どものような小国の使節に対しての厚遇いたみいります」
と葛野麻呂は拝礼しながら、徳宗皇帝の堂々とした振る舞いや懐の深さにいたく感じ入るところがあった。

やはり国の頂点に立つ御方は健康である方が良い。それに比べて我が国では70前の年寄りが帝位にしがみつき、その跡継ぎは決して暗愚ではないが感情の抑制が効かない性質(たち)だ。

帰国したらしたで心配の種が尽きないな…とじんわりこめかみが痛くなったが、やがて宮中で歓迎の宴が始まり、豊かな髪を結い上げた美しい宮女の酌で杯に注がれた葡萄酒を飲み干すと、

まあいい、やるべき事はやったのだ。故国の心配は帰ってからの話、と体の力を抜いて堂々と接待を受けることに決めた。

明鏡、父は無事につとめを果たしたぞ…

砂糖と酒に付け込んで焼いた豚肉の塊を両手で持ってかぶりつく葛野麻呂を見て、

「まあ、見事なご健啖ぶり!」と傍らの宮女が艶っぽい笑みを浮かべて美丈夫の遣唐大使にしなだれかかった。

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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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