第104話 信源氏

文字数 5,776文字

そいつが後ろによろけて事もあろうに天皇しか座ることのできぬ御椅子の肘掛けに己が尻をわざと乗せて壊した時、

陽成帝侍従で元服したばかりの皇子、定省(さだみ)の中で突発的に怒りが沸いてこいつ…!と自分より42も年上の老貴族に馬乗りになって三、四度相手の顔に殴り付けた。

だが相手の業平中将(なりひらのちゅうじょう)は老いても端正な顔に小馬鹿にした薄ら笑いを浮かべて、

「いいですねえ!お互い酔った上の戯れの相撲節会の真似事ではないですか」

と大声で叫んだのだ。

在原業平。
大后さまの男妾で伊勢斎王様と密通したあげく子を儲けた汚らわしき男。

漢学の才が無い癖に小賢しい和歌を書き散らかしながら皇家の妻や娘に次々と手を出して政争の負け組である己が人生に復讐しつづける事でしか自分を満たせない情けない男。

殿上人の恥め。皇家に捨てられたのがそんなに悔しいか?

御簾の向こうからお越しになるのは主の陽成帝かはたまたその母で大后(おおきさい)藤原高子(ふじわらのたかいこ)さまか。
気配を感じた定視は素早く業平の両頬に強烈な平手打ちをくれてようやく相手から離れて立ち上がり、乱れる息を整えてから

「座興とはいえ御椅子を壊すなど、許されぬ行いをしてしまいました…」

と遅れて起き上がり身だしなみを整えた業平と並んで平伏し、御簾の向こうの人影に謝罪すると、

「よい、定省」
と今年12歳の陽成帝の幼いお声がかかり定視は心から安堵した。
もしこれが大后の高子さまだったら自分は宮中から追放されていたかもしれない。

何しろ自分から業平中将を相撲に誘い、体格差をいいことに一方的に痛め付けたのだから…

それは宴に呼ばれた周りの貴族たちと示し合わせてやった、不祥事ばかり起こしている業平への報復だった。

御簾を上げさせて陽成帝は御椅子の損壊状況をご覧になり、「元々華奢な造りだから致し方ない。修理すればいいだけの事だ」とこともなげに仰った。
さらに陽成帝は

(在原なんて所詮野に捨てた石。石の行いにいちいち腹を立てるな)

と母の愛人である男に一瞥をくれてから定省の耳元に囁き、その場で騒ぎを収めて下さった。

あの騒ぎから一年も経たぬ内に業平が死に、陽成帝のお父上清和上皇も崩御なさり、
その三年後に陽成帝が宮中で侍従を撲殺した。として廃帝にされ、

定省の父の時康親王が光孝天皇として即位した時、時の関白、藤原基経(ふじわらのもとつね)の圧力を恐れた光孝帝は我が子全てに「源」の姓を与え定省も臣籍降下した。

太政大臣藤原基経が使者を引き連れ、定省の邸に来訪したのは源氏になって三年後。

ちょうど可愛がっている黒猫に乳粥を与えている時だった。

「朝議の結果、源定省朝臣に皇族に戻っていただく事と相成りました」

といつもは傲然としている基経がこの時ばかりは畏まっているのが定省には可笑しくてたまらなかった。

仁和3年(887年)8月25日。
源定省(みなもとのさだみ)、臣下から皇籍に戻り立太子。その日のうちに父光孝天皇崩御、践祚を受ける。

この源定省こそが後の第58代宇多天皇。

一旦臣籍降下されたただ人から返り咲いた唯一の天皇なのである。

こうして朕が即位出来たのも天皇の嫡流である「源氏」だからだ。

業平よ。
あの時の相撲では決着が付かなかったが、人生ではお前に勝ったぞ!

内裏に引っ越して間もない宇多帝は父から下賜された唐渡りの黒猫を抱き上げ、誇らしげに「朕は勝ったぞ、墨麻呂よ」と語り掛けた。

嵯峨天皇の曾孫、宇多天皇と平城天皇の孫、在原業平の起こした騒ぎは後の歴史物語「大鏡」に書き記されている。

その66年前の弘仁5年(814年)5月8日。

「朕、詔す。我が皇子信に『源』の姓を与える」

嵯峨帝は広井弟名娘、明鏡との間に生まれた今年四歳の信皇子に、

(みなもと)

の姓を賜り異母弟の(ひろむ)(つねむ)、共に三歳と共に左京に家付きの土地を与えられてそこに移ることとなった。

私はこの日をどんなに待ちわびていていただろうか…

と信はじめ他二人の皇子たちの後見人を買って出た中納言、藤原葛野麻呂は三人の皇子が御車から降りてその中に一人だけやっと伸びた髪を角髪(みずら)に結い上げたばかりの皇子に歩み寄るとその顔つきをしげしげと見て、

生き別れた我が娘、明鏡に酷似しているのを確認すると「信さまでございますか?」と優しく声を掛け、初対面の保護者を前にぎこちなくうなずいた信を葛野麻呂はためらいもなく抱き上げ、

「ご安心なさいませ、この葛野麻呂あなた様方を人生賭けてお守りいたしまするぞ」と言ってから頬ずりした。

我が娘明鏡よ。故あって娘と名乗れぬお前が身が千切れる思いをしてまで手離した我が子をこうして実の祖父である我に託してくれたこと、感謝している。

見ているか?明慶。いま私たちの孫が戻って来たぞ!

と最も愛した亡き恋人に向かって葛野麻呂は叫びたかったが、それは口が裂けても言えぬこと。

「さあさ、この(じじ)と何をして遊びまするか?」と幼い皇子たちを膝に抱く葛野麻呂を父上もすっかり老いぼれてしまわれたな…と苦々しく見ているのは葛野麻呂の七男、藤原常嗣(ふじわらのつねつぐ)

天皇のお子の後見人を務めるのは貴族として名誉なこと。と年寄りたちは言うが、要は子が生まれすぎた天皇が経費削減の為に姓を与えて皇族から外し、周りの貴族に養育を押しつけているだけじゃないか!

わざわざ天皇の直流である、という意味の「(みなもと)」姓まで付けて我が家に押しつけるなんて、帝も食えないお方であるよ…

という息子の気持ちなぞとうにお見通しの葛野麻呂は常皇子をを抱っこしたまま常嗣を見据え、

「いずれも帝の御寵愛の深いお子らを賜ったのは有難き幸せ、と思わねばならぬぞ常嗣。十年後に元服なさった時、お血筋からいって藤原より早く出世なさる方々だ」

父に窘められて常嗣は、は!とこの時は託された三人の幼子の前で居住いを正した。

が、わざと藤原より格上の氏族の一派、源氏を作ってこの先長きに渡って藤原を牽制し続けるという嵯峨帝の深謀遠慮など、この若くて短慮なところのある貴公子は考えもしなかった…

政務がひと段落すると嵯峨帝は後宮にお戻りになり、この日は真っ先に正妻の高津内親王の部屋にそっとお入りになられた。

業子(なりこ)は眠っているか?」
と部屋の隅で赤子と添い寝する高津に話し掛けると高津はにっこりと笑って「さっきからお目覚めでございますよ」と半身起こして長い髪をかき上げる。

床の中で父帝のほうをきょろり、と見て寝返りをしようとするのは昨年生まれた皇女、業子(なりこ)
結婚して10年以上になるこの異母兄弟夫婦にやっと授かった子は高津に似て色が白く顔立ちが美しく、今嵯峨帝は正妻との間に生まれた業子に一番夢中になっておられた。

抱き上げると生後8か月の業子はにっ、と笑って父帝の頬を遠慮なくぶつがそれでも笑って受け止めてしまう程の可愛さである。

正子(まさこ)正良(まさら)も嘉智子に似て顔立ちが美しいが、業子のこの溢れ出るような気品は皇族としての血の濃さ故だろうか…と我が娘に見惚れている横で高津が無理に起き上がろうとしたので、

「そのままでよいから」と既に二人目の子をを身籠っている高津の体を気遣った。

こうして足繁く通って下さるのは嬉しいのですけれど…と高津は膨らんだお腹も構わず床の上で端座し、

「今日だけは源氏の母たちに会ってあげて下さい」
と哀切な声で夫にお願いをした。

「私も母になったればこそ解ります、明鏡たちの子を手離した辛さが…だから」
「妃の意見、もっともである」
業子を乳母に託した嵯峨帝はそのまま高津に背を向け、妃の部屋を後にした。

常の母、弘の母、と順に妻たちを慰めた嵯峨帝は最後に信の母、明鏡が仕えている橘嘉智子の部屋に入った。

父帝のお越しに正子と正良が「父上!」と嬉しそうに駆け出そうとするのを嘉智子が無言で制した。

わざと後ろを向いた嘉智子の視線の先には明鏡がいて、信と別れた朝から何度も部屋の掃除と道具の手入れを繰り返し、(せわ)しなく働いている。

「明鏡」
「さっき片付けをしていたら筆を見つけてしまいました」

明鏡はぼんやりした声で新しい筆を手に取って眺めている。

「信さまはそろそろ手習いを始めるお年ですから準備していたのに…私ったら持たせるのを忘れるなんてうっかり者ですわね」

「明鏡」

「今流行りの狸毛筆を持たせようかとも思ったのですが、固くて幼子は手を痛めてしまうから兎毛の筆にしたのに私ったら…」

嵯峨帝は何も言わず明鏡を強く抱き寄せた。
明鏡は帝の衣が濡れる無礼も構わず夫の胸に強く顔を押し付けて堰を切ったように嗚咽した。

夫に甘えたのは宮中に入ってこれが初めてだった…とかなり後になって明鏡は思い返したものである。

遡る事この年の正月。
平城上皇の第三皇子、高岳親王(たかおかしんのう)の元服式が東大寺内で執り行われた。元は古代の人の髪型を真似た幼児の髪型である角髪(みずら)を解いて長い髪を削ぎ、(もとどり)を結って冠を被せる冠親を務めたのは兄の阿保親王。

立会人は大僧正、永忠と高岳の後見人である空海。この日ばかりは息子の晴れ姿を見ようと母の伊勢継子が寺内に入る事を特別に許された。

それにしても、皇族男子の元服というまことに晴れがましい儀式が僧侶立会いのもと寺内で行われ、
祝ってくれるのは兄である我と尼姿のお母上だけとはなんとも寂しいものである。

それもこれも、自分たち兄弟は先の政変の敗者側の皇子であり、父平城上皇でさえも高岳の晴れ姿を見る事は許されない。

という酷薄な現実を阿保親王は廃太子にされた弟の元服式で思い知らされるのであった。

「せっかくの正月なのになぜ空海は辛気臭い顔をしておるのだ?」

ささやかな祝いの席で空海一人だけがずっと涙ぐんでいるのを高岳が指摘すると同行の弟子、杲燐が「勘弁したって下さい、阿闍梨はここに来る前にご自分の弟君の剃髪をなさったのですから」
とつとめて柔らかい口調で説明した。

仔細はこうである。
父、佐伯善通が「都の兄たちに養育してもらいたい」と送り込んだのが愛妾ハヤメとの間に生まれた9才の童子、佐伯真雅。

最初は次男で書博士の酒麻呂に養育されていたのだが弟、真魚こと空海の出世ぶりと父善通からの「真雅の母が病になったから僧侶にさせたい」という文で、

真魚の弟子にした方がこの子の将来のためではないか?
と思った酒麻呂が高雄山寺に連れて来て空海に預けて三年。

最初は…
「母上との夫婦仲はどうなっとるんや!?父上の身勝手な都合で弟を簡単に坊さんにさせるもんかい!」

と子供じみた反抗をしていた空海だが、業を煮やした真雅自身が「いい加減早う我を出家させて下さいませ!」と26年上の兄に強くせがんで出家剃髪の儀式を執り行ったその足で東大寺に来た、と言うのだ。

「あの真雅がようやく出家か…めでたい」

と高岳がかつて宮中で一緒に遊んだ真雅の出家を喜んだのに対して空海はというと…

「まだ柔らかくて細い髪の毛でした。この手で幼い弟の剃髪をしたと思うと」
と言ってまた泣き出すので高岳はすかさず「坊さんにあるまじき執着ではないか、しっかりしろ!空海」
と自分の後見人を叱咤した。

「これはなんと頼もしき親王さまか!」

周りの期待を集める高岳親王がこの日は誇らしかったが持って生まれた闊達さは負け組の皇族としてはどうか…と阿保は危惧した。

まあいい、こうして命助かり成人の祝いが出来るのは叔父である嵯峨帝がいい治世をなさっているという証拠だ。

と祝いの酒を口に含んですぐに心配を打ち消した。

こうして

高岳親王元服。
真雅出家。
最初の源氏、嵯峨源氏の臣籍降下。

と次世代が人生の始まりを迎えたこの年の夏、葛城山の麓の集落で男の赤子が誕生した。

「生まれましたよ、元気な男子(おのこ)です!」
と産婆に言われるまで産屋の外で待たされていた父親の名は素軽(すがる)。葛城山の修験者たちを束ねる若き頭領である。

都での任期を終えて里に帰った素軽はその夜に許嫁であるタツミの娘と結婚し、舅のタツミの跡を継いで若輩ながらも遠行者から六代伝わる山の一族を束ねて来た。

産屋に入る事を許された素軽は湯浴みを済ませ産着を着せられた我が子と初めて対面し、「小さくて赤くてくしゃくしゃだな」と見たままの感想を述べてから「よく頑張ったな、スセリ」と長い銀髪を枕元に垂らして横たわる妻を労った。

「んもう…可愛い。とか他に言いようはないのですか?」

前の頭タツミとトウメの一人娘であるスセリはむっとして産褥で文句を言ったがそれでも我が子に初乳を与える時の顔は満足げであった。

このスセリ、先祖代々隠されて来た名を持つ古い一族の姫である。という事をタツミから聞かされたのは婚儀の夜。

邇芸速日(ニギハヤヒ)

という天皇家以前のこの国の王家の名を(いにしえ)から隠し続けて血を繋いできたのだ。

邇芸速日命は物部氏、穂積氏、尾張氏、海部氏、熊野国造らの祖神であり、複数の豪族を束ねて巨大な一国を中つ国に形成していたが、初代神武天皇との戦に敗れ臣従させられた。

「と、まあ俺の六代先祖の遠行者さまの母方の物部氏から伝わる血が俺にもお前にも、スセリにも流れている。我々がニギハヤヒ王家の子孫である事は頭領しか知ってはいけない決まりだ…」

「それでは血を繋げるのが我々の務めなんですか?何のために」

「来るべき時のためにさ」

にいっと笑ったタツミの顔が獲物の隙を窺う獣のように見えたのは決して気のせいではない。と素軽は思ったのだった。

「それにしても、父上も母上も今頃は何処にいらっしゃるんでしょうねえ…」

赤子を抱くスセリはふいに遠い目をして婚儀の翌朝、娘夫婦に全てを譲って行き先も告げずに旅立った両親、タツミとトウメに思いを馳せた。

「さあなあ、でもあのお二人なら何処へ行っても大丈夫だよ」

殺しても死なない位お強いんだものな。と余計な忌み言葉を我が子の前では言わない素軽であった。

その頃、
四十がらみの逞しい男と銀髪の渤海人の血をひく女人。という目立つ組み合わせの夫婦が宗像の頭領に挨拶を済ませて筑紫から出立しようとした時、

見たこともない位大きな黒い(からす)が上空を横切った。
「タツミ見て!なんて大きな烏」
妻の呼びかけにタツミは空を見上げ、日輪を横切る烏を見ると…

これは果たして瑞兆なのかどうか。と笑顔をひらめかせると妻の手を取り、

「あの烏の跡を追うか」

と告げた。
今上帝神野とその末裔たちよ。おまえらが民の真の敬意を受け続ける為に、必死の努力をしろよ。

俺たち山の民はこの先ずっと見続けているぜ…

昔、隠された名を持つ夫婦が日輪を横切る烏の導きの(もと)、東へと旅立った。

第四章「秘密」終わり

「凌雲」へと続く








































































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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