第39話 崩御と即位

文字数 4,194文字

甘く粉っぽい香りのする女の乳房の間で葛野麻呂は目覚めた。

む…と顔を上げて辺りを見回すと天蓋付きの寝台に絹の寝具。賓客に与えられた部屋の豪華な装飾を視界に認めて、
ああ、ここは唐の王城の中なんだな、と50歳ながらも引き締まった裸体を半身起こしてまず帽子を被り、それから衣を身に付け始めた。

徳宗皇帝のご厚意でここ長安城で美酒、美食、美女という太古の昔からある三大接待を受けて2か月近く。もう帰りたい、と思うくらい賓客ぐらしに倦んでいた。

我が傍で眠るこの芸妓もいい女だが、やはり肌は故国の女の方が良い。と思う葛野麻呂であった。正妻の広子(和気清麻呂の娘)や側室たちも良いが、とくに、薬子。

出航前の薬子との最後の逢瀬を、葛野麻呂は思い出した。

あの夜は外で強い雨が降り、薬子は背を反らせて激しく声を上げて達した。

同じ屋根の下で眠る薬子の子たちに聞こえやしないか?と葛野麻呂が心配するのを余韻で蕩けた声で薬子は言ったのだ。

「大丈夫でございます…子らは朝まで目ざめませんから」
「薬の調合が上手くなったようだな」
と葛野麻呂は薬子の顎を引き寄せて口を吸い合い、そのまま二合目に及んだ。

自らの快楽(けらく)のために我が子に薬を盛るか。
春宮という高級な肉を()んでから明らかに薬子は変わった。それは情事の最中の昂ぶり方を肌で感じれば解る。

面白いぞ、薬子がそろそろ己が中に流れる藤原の血に目覚めつつあるのか?

夫の何倍も巧みな葛野麻呂の愛撫ですっかり躰をほぐした薬子はいよいよ交接、という時、葛野麻呂の上にまたがる形にさせられているのに気づいて「あれ!」と恥ずかしさで顔を覆った。

何を今更、と葛野麻呂は思うのだが

「ご病弱な安殿さまにはこの形がいいと思うぞ。男が疲れない。…それに、自ら動くと歓びが高まるぞ」と髪を掴んで薬子の顔を自分の目の前に近づけ、耳朶を優しく噛んでから囁いた。

葛野麻呂の動きに合わせて上下に揺すぶられ、立て続けに昇りくる快楽で頭の中で何かが弾け飛び、ついには自ら腰を揺すって相手と手を握り合い、天井に顔を向けて何十回も頂に達した。

「いいぞ!もっと昂れ薬子!」

私が手入れして咲かせてやった華よ、おのれの本性に目覚め、次代の帝の傍でもっと美しく咲くが良い…
薬子がもう、もう…とすすり泣いて昂ぶりきると同時に葛野麻呂も昇りつめ、精を放った。

これで終わりではないわ、絶対ご無事に帰っていらしてね…と言ってあの女は出て行く私を見送ったが、私よりも安殿の坊やのほうに心が傾いているのは体を重ねたら解る。

それでいいのだ、と帰国後の己が計画を思いめぐらせている内に、部屋の外で甲高い声で何かを告げ、廊下を走り回る宦官(かんがん)が通り過ぎた後で、

文官たちが一斉に大声を上げて泣き出す、という事態が起こった。さっきまで同衾していた芸妓が跳ね起きて呆然とした顔をしている。

何かただならぬことがあったに違いない。

葛野麻呂が隣室の通訳の男の所に行くと彼も芸妓とお楽しみだったらしく、慌てて衣服を整えて天蓋から飛び出して来た。

「皇帝陛下崩御、と告げているのです…」と通訳は青い顔をしていきなり床に伏して泣くふりをした。

「大使様、ここは私を真似してふりでもいいから悲しんで下さい。宦官が私たちをつぶさに観察している」

と言われるままに葛野麻呂も徳宗皇帝の突然の崩御に悲しむ振りをしてみせたが、

あんなにご壮健そうだった皇帝陛下が何故いきなり?

と頭の中は疑念で一杯であった。やがて、廊下の奥からきゃああっ…!と宮女の悲鳴が聞こえ、皇帝崩御を触れ回っている宦官を見つけると何か興奮して訴えていたが、

宦官は糸のように細い目をわずかに開いただけで何か低く脅すような口調で宮女に告げると、宮女は慌ててきた道を引き返してしまった。

「皇帝お気に入りの宮女が後追い自殺したようです」

「死因は?」

「高所から飛び降りたと」

嘘の涙を流しながら葛野麻呂と通訳は丸々と太った宦官の一挙手一投足をつぶさに観察した。

「一緒に寝た女が話してくれましてねえ…宮中を支配しているのは皇帝陛下でも王族でもなく、あの宦官という連中だと」

宦官。その原義は「神に仕える奴隷」、後宮に仕えるため、あるいは困窮した者が勤めにありつくため、あるいは宮刑(男性器を切り取る刑罰)に処された文官などがその任に着く去勢された官吏。

髭も無く艶々と太り、卑屈さの中に肥大した自我が垣間見える冷たい目をした者たち。

葛野麻呂は宮女の投身自殺にますますきな臭いものを感じた。

「なあ、首が繋がったままこの城から出るためにしばらく大人しくしておこう」

同感です。と通訳は肯いて目の前の宦官が去るまで嘘泣きを続けた。

遣唐大使はいつ何があってもおかしくないように晴れの日と忌事に着る服を両方用意している。

貞元21年1月23日(805年2月25日)、徳宗皇帝崩御、その3日後の徳宗の長男である順宗皇帝の即位に立ち会った大使は後にも先にも葛野麻呂しかいない。

仰々しくあるが、どこかあっさりとした帝位の移り変わりを見た葛野麻呂の胸中には一抹の虚しさと故国の桓武帝と皇太子安殿親王のいびつな親子関係への危惧があった。

長年の近親憎悪で最早修復不可能なお二人の間で滞りなく皇位継承が行われるであろうか?

そう思うと急に葛野麻呂は安殿の将来が心配になり、即位後の宴が終わると早々に、順宗皇帝に「務めを果たしたことを故国の主に報せ、安堵させとうございます」と退去を願い出て通訳と共に長安城を後にしたのだった。

城を出て、やっと目を光らせる役人が居ない所まで辿り着くと葛野麻呂と通訳は

「おい、私に首はあるか?」
「ありますとも!私にも首はありますか?」

と冗談を交わしてひとしきり笑い合っていたのだが、やがて無表情で黙り込んでから

「故国の宮中も闇だが、唐の宮中はもっと闇だったな」

とつぶやいた。全くでございます、と答えるように通訳も重々しく肯いた。


長安で学ぶ留学生たちは大使どの出立の宴に参加すること。

と半月以上前に所定の宿舎、西明寺に入っていた空海は使者からの文を受け取ると最後の一行、

前回の遣唐使から長安に住んでいる学生や僧、できるだけ多くの倭人を集めるのだ。

という文面に何か引っかかるものがあり、首をかしげていると在唐30年になる大先輩の僧、永忠(えいちゅう)に文をかっさらわれた。

「なになに…大使様を送る宴となれば大がかりになるだろう。わしみたいなもう唐人だか倭人だか分からない僧も招待してくださるのは有難いから行こう!」

と今年62になる永忠は可可、とほとんど歯の抜けた口を広げて笑いながら指定された日と刻限に空海を引っ張って長安入りして最初にあてがわれた宿舎、宣陽坊の広間に意気揚々と入った

なるほど広場には一の船、二の船に乗っていた留学生たち、前々回からの遣唐使で結構年老いた留学生たちが広間に集められていた。

「おい空海」とお気楽に声を掛けてきたのはやはり橘逸勢であった。

「逸勢さまの学び舎はいかがで?」

そこで逸勢はふふん、と得意そうに笑い「聞いて驚け、書の大家であらせられる柳宗元(りゅうそうげん)さまの弟子に認められたのだ!」と上気した顔で答えた。

ほう、柳宗元さまの!?と驚いた声を上げたのは空海の隣の席にいた霊仙(りょうせん)で「逸勢さまは強い運をお持ちだ」とお世辞ではなく本気で褒め称えると、

よ、よせよ…と急に面映ゆくなり逸勢は赤くなって下を向いた。


やがて、宴の主役である遣唐大使、藤原葛野麻呂が入場すると留学生たちはひた、とお喋りをやめた。

(ちょっと空海)

と葛野麻呂が袖の下で手招きしたので空海は「は」と畏まりながら大使どのの傍に寄ると、

(ここは官舎ゆえ日の本の言葉が分かる唐人がいるかも解らぬ。これから私が話すことは極秘だ。聞き耳を立てる唐人を見つけてなんとか遠ざけてくれないか?)

神経質そうにこめかみを引きつらせる大使どのの表情を読み取った空海は、

これは、宴のふりした重要会議やな。と事の大事さを察した。

早速行動に移した空海は広間の近くに居る唐人にまず「もし」と日の本の言葉で話し掛け、

「はい?」言って振り返った唐人の首元にとん、と軽く手刀を入れて気絶させた。

結果、15人の唐人に声掛けし、その内3人がこの集まりに聞き耳を立てていた密偵だと解った。

いまのわしの一撃で一時(二時間)は起きぬであろう。

空海は気絶させた密偵たちの体を倉庫に寝かせて戸を閉め、あたかも作業中にうたた寝をしてた。と起きた時に思わせるよう書物や衣類を持たせる「細工」までした。

(3人の密偵には眠ってもらいました)と空海が報告すると葛野麻呂はあからさまにちっ!と音を立てて舌打ちし、今広場に集っている故国の民全員に聞こえる声で演説を始めた。

「いまここに集う日の本の留学生たちよ、宴の膳が案外質素で済まない」

と言うと会場でどっと笑いが起こる。

「この長安は先月崩御なされた徳宗皇帝の喪に服している。私も謁見の折ご尊顔を拝したが、覇気に満ちたお優しい方であったよ…突然のご崩御、私は不思議でならぬのだ。
新帝、順宗皇帝もご聡明そうな御方だったが、いつまでもつか…」

大使どのの話の内容がかなり不穏なので会場の留学生たちは急に不安になり、皆、一様に口をつぐんだ。

「特に今回の遣唐使たちよ、唐朝廷から支給された金子の少なさに驚いているのではないのかね?それが、この大唐帝国の現実だ」

とそこで葛野麻呂は懐から取り出した算盤(そろばん)を膝の上に置いて留学生一人一人に故国から持って来た留学費用を尋ねた。

「差支えの無いものから言え。長安での1日の食費は?宿舎の宿賃は?学舎に払う費用はいくらか?」

正直に言える者たちは「物価高で食い物の値が上がりました」「正規の学費だけではなく賄賂を役人に払わないと何事も通らぬのが現状です」と正直に金額を告げる。

なるほど、これが留学生たちの実情か…

とぱちぱち音を立てて算盤を弾きながら葛野麻呂は留学期間が最低でも10年20年なんて無理だ。と故国と唐との認識のずれを痛感していた。

「残念ながら、お前たちが唐で暮らしていける費用は一人平均2年分だ」

と葛野麻呂は留学生たちに絶望的な現実を告げた。だから、とそこで言葉を切り、

「そこでお前たちに告げる。2年後に帰りの船を出してやるからそれまでに各々(おのおの)が課題を済ませ、とっととこの国から逃げて日の本に帰れ!」

と完全に無茶過ぎる指令を留学生たちに与えた。





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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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