第17話 明星

文字数 3,959文字

土州(高知県)室戸岬から見える水平線に橙色の夕陽が最後の煌めきを放って沈み、青鈍色の空に一つ、宵の明星が瞬く時、智泉は
 
ああ、またこれで一日が終わるのだな、叔父上は今日も生きながらえました。
と感謝の気持ちいっぱいで明星に手を合わせるのだった。
 
このかぞえで十一になる童子は後に菅原道真を輩出する菅原氏の男を父に、真魚の姉を母に持ち、何の疑問もなく成長したらお前は僧侶になるのだ。
 
と言われ続けて九歳になると大叔父の阿刀大足に手を引かれて大安寺の勤操のところに預けられた。
 
そこで、智泉は叔父の佐伯真魚に引き合わされたのだったが、第一印象はなんて険しい顔つきをした人なのだろう!と恐ろしくなって勤操和尚の背後に隠れたい気持ちを抑えて叔父に正対したのを覚えている。
 
荒行を終えて吉野の山から降りたばかりなのだから勘弁してやってくれ、と勤操和尚は後で泣き出した自分を慰めてくれた。
 
が、七日程経つと叔父の表情から剣呑さが消え、女人のような柔和な顔つきになられた。
 
これが生来の叔父上だったのか、と驚くと同時に人相まで変えてしまう荒行とは何なのか?

どうして叔父上はどこの寺にも属さず、十年近くも自分を痛めつける修行を続けなさるのか?
 
と智泉は夜空の星に背を向け、巨大な巌を波がくり貫いたと言われる二つの洞窟の、右側の奥で真言を唱え続けている叔父の夕餉の支度をせねば、と左側の洞窟に入ってもう慣れた仕草で火を焚き、鍋に水を入れて海藻で出汁を取って塩味を付けた粥をこさえた。
 
もうそろそろ今日の行が終わる頃だ…
 
「智泉」と小柄な体躯がやせ細って髪も髭も伸びきった叔父、佐伯真魚がゆらり、と数珠を片手に入って来た。
 
叔父が粥をすすっている間に智泉にはやるべきつとめがある。
 
叔父が籠もっていた隣の洞窟に入って積み上げられた石がちゃんと百個あるかきちんと数えると智泉は叔父の元に「ありました」と報告する。
 
粥を喉に流し込んだ叔父がうん、とうなずいて木の器に汲まれた水を一気飲みしてから「ご苦労さん」と微笑む。
 
これでやっと、智泉の一日は終わるのだ。

一日一万回、短い真言を唱えそれを百日続けて百万回で満行とする究極の荒行、虚空蔵求聞持法(こくぞうぐもんじほう)どんなに荒行しても答えが見つからなかったらこれをやってみよ。
 
と山の庵に住む老僧に教えられたのだという。

旅立つ時勤操和尚に
 
「お前が真魚の行の見届け人になってやってくれ。血のつながりののあるお前が傍にいればあいつも心強いはずや」
 
と言われ、夜も昼も波音轟くこの岬までやって来た。
 
叔父は、洞窟に入って座るのに丁度よい平たい岩面を見つけると、はじめる、とも何とも言わずにいきなり

「のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか」と真言を唱え出し行を始めてしまったのだ。
 
百回唱えたら石を一個置く。
 
という決め事は聞かされていたので智泉は慌てて外に出て、積むのに手頃の大きさの小石を持参した籠に集めて叔父の傍に籠ごと置いた。
 
こうして佐伯真魚としての最後の荒行が始まったのである。
 
最初のひと月はひどいものだった。行に集中しすぎた叔父は夜も眠れず、神経が高ぶり続けて口にしたものほとんど吐き出してしまう始末だった。
 
中断させないと死んでしまうのではないか?
 
と胃液を吐く叔父の背中をさすりながら智泉は「ご無理をなさってはいけません…」と何度も懇願したが、
 
それでもこの方はやめないのだ。と智泉には分かりきっていた。
 
二か月目に入ってやっと叔父は時々外に出て、陽の光を浴びて青く濃く広がる風景をぼうっと眺めてたり、体を動かしたりして「頭を休め」出してからは夜も熟睡するようになり、
 
食事も戻すことも無くなった。
 
自分の傍で突っ伏したまま眠る叔父の傍で智泉もまた横になって眠ることにした。
 
夜明け前に叔父は起きだし、また行を始めるのだから。
 
きょうで七十日めが終わり、あと三十日でこの長く苦しい行が終わる。

眠りに落ちる直前にいつも智泉は祈る。

明星よ、叔父上をお守りくださいませ…


のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか
 
のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか
 
真魚の意識は、硯の中に墨を何個ほども溶かしいれたような濃縮された闇の中にあった。
 
ただ座って一つの真言を百日間続けて唱え続ける苦行は瞑想という生易しいものではない。
 
胸の息を振り絞って声帯を酷使して真言を唱え続けていると、腰を下ろしている尻の方から脳天まで激痛が走る。
 
轟轟たる波音が自分の籠もる窟に耐えず押し入っては鼓膜を震わせ、せっかく唱えた真言がばらばらに砕け散ってしまうような錯覚に何度も陥った。
 
時折、行の最中に鳩尾のあたりが割れて、すうっと自分の中の奈落に堕ちそうになる精神の危機を感じた時は、
 
わざと唇を噛み、痛みで意識を保つ。
 
それでも足りない時は窟の中の岩壁に拳や額を打ち付けてまで自分を痛めつけ、行を続けた。
 
外に出て、海に向かって咆哮を上げて我を叱咤する自分を見て、
 
叔父は気がふれてしまったのか?と智泉は怯え、泣きじゃくって何度も行を止めるよう懇願した。
 
が、止める訳にはいかない。わしは行を終えた後の、この世の景色を見たいのだから。
 
朝晩の粥と、一日二時(四時間)程の睡眠の時だけ真魚の意識は行から解放されるのだった。
 
眠っている時に真魚は細切れに過去の記憶の夢を見た。
 
故郷から都へ向かう船の舳先にぶつかる波飛沫がきらきら輝いている。
 
平城京の市場で自分を蹴りつけ、罵る東大寺の僧たち。
 
叔父や勤操からの出家の催促を拒み続けたのは、あんな汚らしい者たちが国家鎮護のために仕えている現状に絶望したからや。
 
朝廷のお役に立つのだ、と自分を叱咤する叔父、大足の声。
 
疫病で河原に積み重なる骸、とどめを差すように洪水が家屋を人びとごと流してしまう長岡京の凄惨な光景…。
 
現世とは、人生とはなにか悪意のある巨大な存在が人びとの心に「苦」だけを映し続けている無意味な幻なのかもしれない。
 
そう思い詰めた夜、自分は旅に必要な荷物だけを持って大学寮を出奔した。
 
山中をさすらった果てに出会った老僧と一夜語りをし、そこから仏教の魅力に取りつかれたのだ。
 
戒明さま。
 
不遜な私度僧、佐伯真魚は告白します。
 
あなた様の教えを請い、十年間も荒行の人生を続けてきたのは、
 
仏教がどの学問よりも面白かったからです。

のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか
 
のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか
 
みほとけの教えの中にこの世の人びとから悪意と絶望を取り除く答えがあるかもしれない、とあらゆる行を繰り返しては満足のいく答えを得られませんでした。

のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか
 
しかし、この行を続けてみて気づいた事があります。
 
自分もまた、市井の人間地獄を飛び出して山林に逃げ込んだだけの、臆病な男に過ぎなかったのです。

のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか
 
のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか

自我さえも奪われそうになるこの行で、自分は仏教を舐めていた事に気づきました。
 
あと一回で、百万回。
 
「のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか」
 
最後の石を置いた直後、真魚は自分が具体的に何をしたかはあまり覚えていない。
 
甥の智泉の話によれば、自分は光を求めるように洞窟から外へ飛び出して、
 
何か叫びながら失神してしまったのだという。
 
本当は満行した瞬間、現実も自分の内も、何も変わらなかった。ということに失望しきって錯乱してしまったのだ。
 
気絶している間、闇の中に明星みたいな光がこちらをうかがうように、
 
入ってもいいか?
 
と質問したので自分は
 
「好きにさらせ」と自我さえも投げ出して答えた。
 
その途端、光が口の中に飛び込んだ。そんな夢を見た。
 
智泉に水を何度も掛けられて、自分は意識を取り戻したようである。
 
「わしは満行したか?百万回唱えたか?」と智泉の両肩にかじりついて聞き出そうとし、とっくに石が百個ある積まれていることを確認していた甥っ子の口から、
 
「…はい、叔父上は虚空蔵求聞持法を満行なされました!」
 
波音がざざん!と耳奥まで響いた。
 
とにかく自分は、百日の苦行から解放されたのだ。
 
真魚は丸三日間、飽きるまで空と海の色の移り変わりを見つめ続けた。
 
「相変わらず、空と海しかないなあ」と繰り返し呟きながら。
 
三日目の昼下がり、真魚は自分の足元でうごめく小さな生き物を手のひらですくい上げた。
 
それは、ここ室戸岬に来て初めて見る、指先に乗る程の蟹であった。
 
「山から降りて来た蟹です」
 
と百日居続けてこの地に詳しくなってしまっている智泉が真魚の手のひらを覗き込んで言った。
 
その瞬間、真魚は悟ったのだ。
 
この小さな生き物を救い上げるも、踏みつけて殺すもその人の「こころ」次第。
 
全ての人には「こころ」が宿っており、
 
こころこそ、仏性で、全ての衆生には仏性が宿っているのだと。
 
ふと目を上げると雲ひとつ無い空の青と海の青が光を孕んで真魚の視界に迫って来た。
 
ああ…皆が皆、光を浴びながら存在しているのに、人間だけがそれに気づかずにいる。
 
十年修行してやっと気づいたなんて、自分は阿呆や。
 
こみ上げてくる感謝と可笑しさに耐えきれず、蟹を逃がしてから真魚はひとしきり泣き笑いをし、
やっと荷物をまとめて立ち上がると
 
「智泉、わしはこれから空海と名乗るぞ」
 
と自分で自分に法名を付けて室戸岬を後にした。
 
延暦十九年(800)年の春の終わり、

真魚、空海と成れり。
 
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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