第111話 時鳥

文字数 4,446文字

昔、とある貴人の家に長年の友人が別れの挨拶に来た。

それは弘仁六年(815年)春の、庭の桃の花も散り桜の蕾が膨らみ始める頃であった。

この年三十一歳の式部大輔、藤原三守は客を迎える身支度を整えながら、

「共に学び詩文を交わし合い、時には納得いくまで議論をたたかわせた大学寮の先輩と別れるのは辛いものだ」

と寂しそうな顔をするので妻の橘安子は、

「でも、初めての地方任官で東国行きだなんて栄転ではないですか。優秀なお方なのですから勤めを果たされ二、三年後には宮中で再会出来ますわよ」

と夫を励まし、こころもち腰の帯をきつめに締めた。

臍下丹田に圧をかけられうっ、と唸って思わず背筋を伸ばす夫に「気付けが効いたようですわね」と安子が笑う。
「効いた、効いたから!もう少し緩めてくれないか」と三守が振り返った時である。

廊下に面した中庭に、貴人の男がこちらに背を向けて立っていたのが御簾ごしに見えた。

きっと旅立つ友人の護衛が待っている間に庭でも見ているのだろう。

護衛、と三守が思ったのは彼が成年男子より頭一つぶん背が高く立派な体格をしていたからである。

彼は顔を巡らせて最初庭を見、次に木の枝ぶりを見、…いきなり(くつ)を脱いで幹にしがみついて庭木に登り出したのだ。
それは安子が毎年夏に成る実を楽しみにしている楊梅(山桃)の木である。

安子は止めてください!と言わんばかりに夫の袖を強く引いたが三守はしばし様子を見る事にした。

幹が二股に別れた部分に男はまたがり両手を振り回して樹上で威嚇している相手は羽根を広げてかあかあ、と攻撃的に鳴く大きな(からす)であった。

退け、退け!と叫ぶ人間相手に烏も負けじと上空で旋回して様子を見、相手が手を下ろした隙に急降下したところを片手でむんずと捕らえられた。

「ばかめ」
男は捕まえた烏の両脚を握ったまま五、六回大きく振り回して遥か上空へと投げ飛ばしてしまった。

烏が目を回してよろよろと飛び去るのを見て安心した彼がはー…と息を付いて背後の枝に寄りかかったその時、彼の重みで枝がめりめりと折れて枝ごと六尺(約180センチ)下の地面に背中から落ちた。

ここでやっと三守は庭に降りる事にした。

「いっ、て~…」と顔を上げた相手がまだ幼い顔つきである事に三守は結構驚いたが、受け身を取らずに彼が帽子の中に入れて抱いている雀の巣とぴいぴいと鳴いている雛を見て「成る程、お前が守りたいのはそれであったか」と笑顔で得心した。

「親鳥が守ろうとしているにも関わらず烏が襲ったのです。おれ…いや我は弱いものいじめを見過ごす事が出来ないたちで」

「その心意気気に入った。私はこの家の主藤原三守。若者、名は?」

そう言われて痛む背中を起こして頭を垂れていた若者は

いきなり人の家の庭木に上る。
鳥を捕まえてなぶる。
露頭をさらす。

という三つの失礼を笑って許してくれるおおらかな貴人に大きな体を縮めて顔を上げ、

小野篁(おののたかむら)と申します」

と巣を抱き締めながら恥ずかしげに答えた。

客人、小野岑守(おののみねもり)は先程息子が起こした騒ぎの顛末を聞かされて恥ずかしさと怒りを抑え込んだ強張った表情。
その隣で袍に黒い羽根を付けたまま平然と座る篁。

「まさか、名高い文人である岑守どのにこのようなご子息がおられたとはな」

は、と岑守は顔から脂汗を流して恐縮し、

「此度はこの愚息がお庭の木を傷つけ大変な失礼を…元服をすませたもう十三の大人だと言うのに中身は気の向くままに動くのを止められない童なのです!篁、お前からも謝るのだ!」
と自分より一回り体の大きい息子の後頭部を強く押さえて頭を下げさせた。

申し訳ありません…と父の掌の下で謝罪の声を上げる篁を不憫に思った三守はまあまあ、と岑守を宥めてから
「篁どのには菓子を用意してあるから大人の長話を待っていてくれ」
と篁を別室にやり、そこでやっと小野岑守陸奥守任官のお祝いと同時に遠い任地へ行く友と酒を汲み交わし、詩文を詠んで別れを惜しむに至った。

都からの出立を明日に控えているので小野親子は長居をせず日が暮れる前に三守邸を辞去した。

帰り際、

「ねえ三守どの、雀の子ははいったん枝から離れたら親が子育てをしなくなるって言うけど大丈夫かなああの雛たち」

と既に元の木に戻してある雀の子を心配していたので元服時から出世ばかり目指して競争心むき出しの貴族の子弟たちの中で珍しく心根の優しい子だ。

と思い、「烏をあれだけおどかせば外敵は当分寄って来ないし、その内親鳥も帰って来るよ」と言って送り出した。

騎乗したまま後ろを振り返り「ごきげんよう三守どの!」と言ってぶんぶん手を振る篁の姿は、まるで世俗の垢に染まらずに山中で真っ直ぐ伸びた産毛の付いた若竹のような…

親子が去ってからもその場でいたく感じ入った三守は数年後、帰京した篁を娘婿に迎えるのである。


きょっきょっ、きょきょきょきょきょ

時鳥(ほととぎす)の鳴き声が内裏の庭から聞こえると桓武帝皇女、大宅内親王は…

ああ、また夏が来るのね。

と思いながら廊下を渡り、宮中の奥まった部屋で静養している異母姉の朝原内親王を見舞い、

「お姉さま、きょうは時鳥の初音ですよ」

と季節や時候の変化、今日あったことなどを六年前から寝たきりになっている朝原に話し掛けて日が沈むまで過ごす事が日課になっていた。

「そういえばずいぶん暑くなって来たこと」

閉じていた目を急に開けて朝原が瞳だけを動かして妹に答えた時、あ、今朝は起きていらしたのだ。と大宅は驚いた。

この頃の朝原は一日のほとんどを眠って過ごし、たまに目を覚ますと見舞いに来た母の酒人内親王や大宅に自分の見た不思議な夢の話をするのだった。

ある時は
「夢の中では私は青い海を泳ぐ大きな亀で珊瑚の林の中で色鮮やかな魚たちと共に悠々と泳いでいるの。後に捕まって私を斎王に、と卜定(ぼくじょう)する亀甲にされるとも知らずに」

また、ある時は
「夢の中で私は大きな烏になって筑紫から飛び立ち、逞しい大柄の男と銀色の髪をした女という変わった夫婦を東へと導いてるの。その先に何があるのかも知らずに」

そして
「夢の中で蓮の形をした山々の中の犬となって親犬や主と共に野を駆けていたの。主のことは大好きだったんだけどある日、旅の武人に贈られて故郷を離れて都に来たの。最初は寂しかったんだけど今では新しい主も大好きになって一緒に野を駆けているの」
とまるで魂が体を離れて人間以外の生き物になっていくつもの生を生きる仏教思想の

輪廻転生。

を思わせるような話をいくつもし、看病してくれる母と妹を宮中での現実から幽玄の世界に誘った。

「まるでお姉さまは彼岸と此岸を渡る時鳥みたいね」

と大宅が言うと朝原は、

「そうよ、私の人生は人に見える世界と見えない世界を行き来する時鳥のようなもの」

と冗談なのか本気なのか解らない事を言ってわざと片目を瞑って見せた。その時ばかりはほほ…と酒人も大宅も口を覆って笑うのだが二十年前、当時皇太子であった異母兄の安殿親王(平城上皇)の元に揃って嫁した時からずっと一緒に過ごしてきた大宅には解るのだ。

もう姉の魂は半分以上体から遊離していてその命数も残り少ないことを。

十四年間を伊勢斎王として務め、退下なさってからもその高い霊力で父帝と国のために夜は賢所に通って祈り続けて来た姉は六年前の夜明け、御鏡の前で倒れていた。

祈りに持てる力の全てを注ぎ、一時は命も危ぶまれたが酒人と大宅の看病により上半身が動く位には回復した。

だが、数日前より姉の息が止まるようになり薬師に危篤を告げられてから

弟の嵯峨帝が高僧を集めて病気平癒の読経をさせてはいるが…そんなことをしても無駄だ。

肉体が衰弱し人が逝こうとするのは自然の(ことわり)であり、帝の都合で姉の魂を強引に現世に縛り付けようとするのは酷なことではないのか?

と大宅は思うようになってきた。

「いいの、神野は神野なりに私を思ってくれているし僧侶たちも彼らのやり方で私を思ってくれている。それでいいの」

この日ばかりは朝原の言葉と意識が明瞭だったので酒人と大宅は数日間の読経が仏に届いたか!と一瞬奇跡を信じた。

「違います、お別れを言うため」

まるで二人の心を読んだかのように朝原が白くなった顔で微笑むとまずは大宅の顔を両手で包み、

「巫女である私の人生に付き合わせて本当にごめんなさい」

異母兄平城帝に婚儀の夜、「妹と交わる気は無いし指一本触れない」と約束させ生娘のまま二十年間宮中で過ごさせた妹に心から詫びた。

いいえ、お姉さま。と大宅は首を振り、

「確かに夫である上皇さまを深く愛した事も無い人生でしたけれど、その代わり他の女御に激しく嫉妬する事も無く穏やかな心でいられる幸せを知りました」

と姉の手を握り返した。

ありがとう…と朝原は涙目でうなずき次に「お母様、抱き起こして下さいませ」と初めて母に甘えた。

いつもなら侍女を読んで抱き起こさせるところを酒人は娘の枕元に座ってぎこちない手付きながらも朝原の体を背後から抱きすくめた。

娘の体は思っていた以上に軽かった。その軽さが悲しかった。
「ねえお母様」
「なあに?」

「お母様にとっての私は皇女で斎王で上皇妃かもしれない、だけど私にとってお母様は最初からお母様のままなのですよ」

そう言われて酒人は心の一番深い処を衝かれた気がした。この子が斎王に選ばれて四歳の時に引き離されて別々の場所で生き、斎王退下で再会した時にはもう十八の大人の女性だった。

私には授からなかった清庭(さにわ)の力を持ち、自分には理解し難い事をいきなり言い出す、何を考えているのか解らない娘。

娘ではなく巫女、と思って距離を取らないと朝原とまともに付き合えなかった。

元斎王の自分は朝原に嫉妬していたのだ。
歪んだ目で我が子を見ていたのは自分であり、朝原はずっと母の愛を求めていたのだ。

そんな事を我が子の死の間際に気づくだなんて!

「確かに私は愚かな母でした。ちゃんとあなたに向き合っていれば良かった…」

いいのです、弱々しく首を振り朝原は

「ありがとう、お母様」

と深く目を閉じて四歳の時以来ちゃんと抱き締めてくれた母の手を握り、母はさらに強く娘を抱いた。
母娘はしばらくそうしていたがやがて娘の手がだらり、と床に付いた。

酒人の肩にもたれて甘えるような微笑みを浮かべて朝原は息絶えていた。

すぐに誰かを呼ばなければとは思う大宅だが娘を抱き締めたまま全身震わせて慟哭する酒人を前に動けずにいた。

朝原さま。

これで…これで全ての肩書きが取れて私たちはやっと普通の親子に戻れたのね。

今のあなたは私のたった一人の娘。

神仏よ、刻を止めて私たちををしばしこのままでいさせてくださいませ…

やがて泣き声に気付いて誰かが駆けつけるまで。

酒人は朝原の体を抱いて生まれて初めて己が感情を解放させ泣きたいだけ泣いた。

弘仁八年四月二十五日(817年5月14日)

朝原内親王薨去。享年三十八歳。

桓武帝皇女で元伊勢斎王で平城上皇妃。という人生でら三つの尊き役目を果たした稀有な女人だった。

こうして現世での役目を終えた時鳥が枝から離れて今、輝く初夏の空に飛び立つ。































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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