第110話 高野

文字数 6,105文字

師、空海から託された文書と図面を丁寧に櫃に詰めながらもうすぐ高野山へ向けて旅立つ泰範(たいはん)の脳裏に浮かぶのは…かつての恩人、和気広世(わけのひろよ)との最後の会話。

「私は(がい)(肺結核)だ、もう長くはない」

と広世に言われて泰範は顔を上げ、そういえ元々細かった広世さまの体つきと面差しがお会いする度に細くなっていくように思えたのは間違いではなかっのだ!と今まで主の体の変化に気づけなかった自分を悔いた。

「ゆえに、お前の密偵の役目を解く。これからは好きに生きろ」

一言一言発するのも大儀そうな広世の姿が視界の中でみるみる曇っていく。

「そんな…そんな…何処へも行く当ての無い私に今さら好きにしろだなんて」

はらはらと床に涙を落とす泰範の肩に手を置き、

「なれど、このままここに居続けるのはお前にとって苦しみなのではないのか?」

と広世が放った言葉に泰範ははっと顔を上げた。

師、最澄と情を交わした事までは広世には報告していないが我が主は既に察してらっしゃったのだ。

あ、そうそう!と広世はわざと何かを思い出したという素振りをして、

「高雄山寺に面白い男がる。

この間そいつの講義を受けて曼陀羅という図面を見て、
『言葉にしてしまったら全てが嘘になるな』

とつい思ったことを言ってしまったが、そいつは

『そうでございます、言葉は一度使ってしまったら瓦礫と化してしまいます』

とあっさり認めたのだ!
仏の言葉にしがみつくのが僧侶だと思っていたのに、

あの男の考えは僧侶の範疇を越えている」

と頬を上気させて高雄山寺にいる僧侶、空海の話題を一度だけ口にした。

「なあ泰範、最澄のもとにいるのが辛くなったら一度私の墓参り(高雄山寺に和気氏霊廟がある)と思って高雄山寺に参詣してみないか?」

亡き主の広世が言ってくれた事を最近やっと思い出した泰範は、

最澄の元を去り、空海阿闍梨に興味を持って濯上を受けた直後に弟子入りを志願したのは全て自分の意思でやったことだと思ってきたが…

もしかしたら全ては我が身を心配して下さった広世さまの御霊(みたま)のはからいだったかもしれない。

と思うようになり出発の前に師、空海に挨拶をし、それから和気清麻呂と広世が眠る和気氏霊廟に参って、

私を苦界から救いだして下さった上にこうして面白き師と人生を与えて下さった広世さま。
これから未知の領域、高野山へ行って参ります。見ていてください。

与えられた使命に燃えてそう心で語りかけた泰範の脳裏に突如浮かんだのは、

「行っておいで」
という広世の声と優しい笑顔だった。


「しかし気になりますなあ」

旅の道中、握り飯をかじりながら実慧がそう呟いたのはもう五度め。
「やっぱり気になりますか」そう返した泰範も高雄山寺を出る直前に空海から言われた言葉、

「奈良で仏師が一人、紀伊国(和歌山県)境目で護衛の者が一人加わる。
まあ無理だとは思うが随行者たちに『いちいち』驚かないようにな」

が二人とも気になって気になってしょうがないのである。

弘仁七年の春から梅雨に入る前の雨の少ない季節。

大和国(奈良県)に入る直前の旅の一行は乗っていた馬を木に繋いで草花が芽吹き放題に芽吹いた野原に敷物を敷いて大豆入りの握り飯と漬物という簡素な中食(昼食)を食べながらの長閑(のどか)な休憩のひと時。

「しかしその者たちは高野山への案内人なのでございましょう?出会うまでくよくよなさいますな!」

と同行の清野は指に付いた飯粒を舐めてから二十代半ばの若者らしい明るさでそう言った。

巨勢清野(こせのきよの)は桓武朝では歴戦の武官で今は中納言の巨勢野足(こせののたり)の長男で、彼自身も武術の達人なので嵯峨帝に選ばれた。

従五位上、右衛門佐(えもんのすけ)という宮中武官が実慧と泰範の護衛役として同道している事が既に驚きなのである。

休憩を終えて奈良に入った一行はまずは指定通り興福寺へ立ち寄った。

この寺には椿井氏(つばいし)という在家の仏師たちが起居しており、主に奈良仏教の壇乙である藤原氏の依頼を受けて仏像を作成するいわゆる職業仏師集団である。

頭である椿井双(つばいのならぶ)に空海からの使いの文を渡すと、「とうとうこの時が来たか!おい」と色白の顔に笑いをひらめかせて双が呼んだ仏師が、金髪碧眼の胡人である事に大いに驚いた。

「我、田辺牟良人(たなべのむらと)は生まれも育ちも高野山の頂。迷うこと無くご案内させて頂きます」

と金色の睫毛を伏せて牟良人は感じのよい笑みを浮かべた。

「それにこいつにはご本尊の阿閦如来(あしゅくにょらい)を彫れる程の腕がある。牟良人の彫る仏像は皆美しい」

「ところで牟良人どのはおいくつで?」
と実慧が聞くと牟良人は恥ずかしげに「今年で二十七になります」と答えた。

その若さでご本尊を任せられるとは!

と清野たちは口をあんぐりと開けて驚いた。

既に荷物をまとめていた牟良人を旅の案内役に加えてさらに大和国から隣の紀伊国に入る。

青々とした木々の枝が天蓋のように伸びきった古道の上で清野は突然馬を止めた。

何事ですか?と訝しがる一行に清野はしっ、とすぼめた唇に指先を当てて止まるように指示する。

梢をわたる風の中に「何か」の気配を感じたのだ。

「文字通り木の上から高見の見物か?出てこい曲者!」

わざと相手を圧倒する為の清野の胴間声がこだまとなって古道を駆け抜ける。…風に吹かれてざわめく梢の影が旅人たちを押し包むようでなんとも不気味だ。

(へええ、俺の気配に気付いた武官に初めて会ったぜ)

若い男の声が古道じゅうに響いた。相手は明らかに自分を見聞している。日に焼けた清野の浅黒い顔が険しくなり凛々しい眉が跳ね上がる。

「国の宝である方々を警護しているのだ。これ以上我をからかうな」

(からかうと?)

「斬る」

と清野が刀に手を掛けた時、彼の頭上から大猿のごとき人影が飛び降りて来て、それは直垂に烏帽子を被った小柄な青年の姿をして清野の馬の前でひざまずいた。

彫りの深い顔はとてもにこやかで彼は笑いながら背中に差した長刀と両腰の蕨手刀を自分の前に置いて、

我に敵意無し。という証を見せた。

「我は高野山の麓、天野の里に住まう賀茂騒速(かものそはや)と申す。ここから高野山までの護衛をつかまつります」

「我は右衛門佐、巨勢清野。面を上げよ」

は、と顔を上げた青年は実に澄んだ眼をしていた。清野は柄から手を離し、

「賀茂、という事は葛城(かつらぎ)の育ちだな」

「はい、久方ぶりに強いお方に巡り会えて嬉しくなりつい…許されたし」

それだけで騒速が元は葛城山の修験者で通りかかった清野を見て本能的に「試して」みたくなったのだな。

と武を極めた者同士の阿吽の呼吸で清野と素速は互いを理解した。

「よい、赦す」

清野は笑って素速を赦した。

武人には武人同士しか解らぬ世界が在るものだな…

およそ戦いからは縁遠い世界にいる僧侶と仏師たちは会話だけでにこやかに斬り結んでいる二人を見て背筋が冷たくなったが、この二人が居れば道中何があっても安心だ。とさえ思った。

素速の先導で途中休みながら天野の里に着いたのはそれから丸一日後の夕方。

そこで清野が見た光景は…

「ムラート、ソハヤ、お帰り!」

と一行を笑顔で取り囲む秦一族と金髪に青い目の胡人たち。住人たちの輪の中からずば抜けて長身の筋骨隆々の胡人の男と上半身逞しい色白の男。

「私たちはこの里を取り仕切る田辺の長の波瑠玖(はるく)、鋳造師です」と胡人の長が、
「そして秦の長の真比人、木工職人です。空海阿闍梨のお弟子と護衛のお方、よくいらっしゃいました」と秦一族の長が、

とても野育ちとは思えない礼儀正しさで迎えてくれた。

高野山先住の丹生一族と胡人の田辺氏、そして麓の秦一族が共生して暮らす場所。それが天野の里だった。

「いやはや、うらやましいくらいのんびりした暮らしですなあ」

歓迎の宴で里の人たちと焚き火を囲んで濁り酒の杯を傾ける清野は、都での謹厳実直な武人の暮らしと比較して正直な気持ちを述べた。

二日後、役目を果たした清野はよほど気に入ったのか騒速に向かって「縁があったらお前と手合わせしたいものだな」と悪戯っぽく笑って都に帰って行った。

二人ともそれが数年後に実現するとも知らずに。

さて、「まずは我と弟子が住むのに足る草庵を二つ建てて欲しい」という空海からの依頼の文を真比人に見せた泰範は、

「最初は小さな草庵から初め、高野山に拠点を移したら最終的にはこれを建立なさるのが我が師の目標」

と拠点となる金堂、そして仏界を現す須弥山を模した壇上加覧の図面を真比人をはじめとする秦の木工職人たちの前に広げて見せた。

「金堂はともかくこの壇上伽藍というのはこ、これは何というか見たこともない異な建物だ…珠の上に屋根が乗ってるぞ!」

「高野の頂にこんな大きな建物を作るのは初めてだ。材木と瓦と大量の丹が要るし、このような精密な設計を実行するには腕の立つ職人も要るぞ」

「ですから師はあなた方に依頼なさったのだと思います」

そう泰範に言われて
かつては奈良での寺社作りに活躍した秦一族の頭は「だな」と得意気な笑みを浮かべて

「よーし、皆の者。今から道具の手入れと材木を運ぶ手筈を整えるぞ!」

二十数年ぶりに本来の役目を与えられた秦一族の男たちは張り切って準備に取り掛かり、実慧と泰範は牟良人の案内で荒れた山道を進み、途中、濃霧の中で杖を握り合いながら二時(四時間)かけて高野山の頂に辿り着いた。

「俺たち胡人の一族がなんとか暮らしていけた所だけど…高野山は他のお山とは違う。ここの厳しさを舐めちゃいけない。真魚さんの理想どおりに行くとは限らないよ」

早速開けた土地の計測にかかった二人の僧に対して牟良人が突き放すように言ったのが気に掛かった。

後から付いてきた木工職人二人も加わり、整地を終えて最初の草庵の建築に取りかかって半月後、なんとか外郭が整って安心して元は鋳造の工房だった石造りの建物の中で眠っていた真夜中の事である。

頭上でばりばりばり…と音を立てて空が光り、しばらくして地を揺るがすような轟音と共に雷が高野の頂の大樹に落ちた。

「な、なんやなんやぁ!?」と飛び起きた僧侶二人はあまりにも大きな落雷に身を震わせる。

「光ってから四つ数えて落ちたからだいたい半里(約二キロ)先だ。こんな夜は慌てて外に出ないほうがいいよ」

高野山によく起こる自然現象、それは落雷。

「ああ…また始まったわ」

雷の夜は決まって眠れない。騒速の妻で丹生一族の姫、シリンは外に出て麓の里から高野の頂の落雷を胸が締め付けられる思いで見ていた。

そんなシリンを心配した夫の騒速が家から出てきて背後から「また思い出しているのかい?」と声をかけると優しく抱きすくめた。

「お父様とお母様が雷に打たれて死んだのを私、遠目から見てしまったの。翌朝見に行くと二人は手を繋ぎ合ってた。兄妹だけど仲のいい夫婦だったのね…」

「怖いことは今は忘れた方がいい、お腹の子が心配するよ」

夫のその言葉でシリンはうなずき、息子たちが眠る家に戻った。

騒速とシリンが結婚して五年、二人の間に男児ふたりが産まれ、シリンは第三子を身籠っている。

頂に住んでいた胡人の一族は「わざと大きな建物を作らない」事で落雷を避けて生き延びた。

なのに、わざわざ寺を建てようだなんて真魚さんの計画は遠謀どころか無謀なんじゃないのかねえ?
と心配する騒速であった。

その夜は何度も落雷が続いた。

翌早朝、落雷現場を見に行った実慧と泰範は雷の直撃を受けた大木が縦に真っ二つに裂けて焦げているのを見て…

このような所で果たして寺の建築が出来るのか?途中で落雷に遭って火事で燃え尽きてしまったら?

と胃の腑に大きな石を詰めたような不安に襲われた。

「周りに木の無いところに建てて正解やったな」と泰範はその時は胸を撫で下ろした。
が、
建築中の草庵は小さいから大丈夫、と完全にたかをくくっていた実慧と泰範が高野山の洗礼を受けたのは草庵完成間近の夏。

草庵に雷が落ちて半焼の憂き目に遭った。

もうすぐ終わりって時になんて目に遭うんだい…と肩を落とす木工職人たちに向かって実慧は「我の計算では材木はあと庵が四つ出来るぶん残っている。燃えていない部分は残して修繕するのだ、諦めるな!」

といつにない厳しい顔つきで大声で檄を飛ばした。

途端に職人たちの背筋がしゃんと伸びて「は、はい!」と二人は中腹に置いてある材木を取りに行き、残り二人は燃えた部分を取り外しにかかった。

いつもはお喋りで少し軽薄な人だと思っていたのに…いざとなった時の実慧どのの胆力と指導力は、凄い!

「あの癖の強い麓の住人をまとめられるのは実慧しかいない。若い智泉じゃ舐められそうだから」

と仰っていた師、空海に「実慧阿闍梨…ですか?」と不遜にも聞き返した事がある。その時の空海の弟子評、

「二十年以上奈良仏教の坊さんの中で揉まれて一人も敵を作らずに来た実慧の世渡りの術と現実的な打算力はわし以上や。それに」

「それに?」

「逆境に遭う程張り切る。という海の豪族、讃岐佐伯氏のどうしようもない血がわしとあいつに流れている。まあ、くそ度胸という奴やな」

とにやり、と笑う師の顔を泰範は思い出した。
それから2年の間に実慧と泰範は自らの足で高野山周辺を視察して全体の地図を作成し、何度も都にいる空海の元へ送った。

やがて高野の頂に花も咲かない程の厳しい冬が来た。

「俺たち先住の者は毛皮を纏って過ごすけど坊さんたちのそんな薄着でひと冬過ごすのは無理だ。麓に降りてください」

という牟良人の薦めに実慧が「もし留まったら?」と寒さで歯を震わせながら問うと

「凍え死にます」
と真顔の答えが返ってきたのでここは従って麓に降り、作業を中断せざるを得なくなった。

途中、二度落雷で火災があり一回全焼、一回半焼したが滅多に出さない本気を出した実慧の、

「お前らは東大寺、古くは伊勢神宮建設に関わった誇り高き一族やろ?ええか、秋には完成させるんや!」

という叱咤と、

「もうすぐです、仏に守られているあなた達なら必ず出来ます」

というある意味人たらしの泰範の励ましによって秦一族は奮起し、

弘仁九年(818年)十一月には、空海自身が勅許後初めて高野山に登り完成した草庵の中で法灯が灯り、空海、智泉、実慧、泰範による真言の声明が響き渡った。

この時は麓の住人ほとんどが草庵に参詣し、拝火教徒である筈の胡人たちも合掌して真言に耳を傾けるので秦一族は、

坊さん達の努力に心酔して彼らも密教に宗旨替えしたかと思った。が、

空海自身が灯した法灯、実は拝火教徒が守る不滅の火から分けて貰ったものである事は…

天野の拝火教徒と空海だけの秘密。

儀式が終わった後、
牟良人が彫ったご本尊の阿閦如来(あしゅくにょらい)座像を前に実慧と泰範と牟良人は
車座になり、

「わし…なんだか涙が止まりませんのや」
「泰範はん、わしもや」
「俺も何度かめげそうになったけどさ、彫って彫って無我夢中でここまで来た」

と肩を抱き合って男泣きに泣いた。

「その通りや、あんたはんらは本当によくやってくれた!」

と本堂に入ってきた空海の力強い抱擁と

「帝がなかなか離してくれんかったけど、今日から一年はここにいるから。よくぞ大役を果たしてくれたな」

という心強い言葉に二人の阿闍梨と一人の仏師はさらに泣いて「よしよし」と空海が彼らをまとめて抱き締めた。

この夜から千二百年の聖地、高野山の伝説が始まる。


























































































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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