第86話 弘仁元年

文字数 5,200文字

平城上皇出家から5日後の大同5年9月19日(810年10月20日)

嵯峨帝は元号を「大同」から「弘仁」へと改元した。

嵯峨帝御自ら揮毫(きごう)なさった

弘仁

と書かれた紙を朝議の場で掲げて見せたのは蔵人頭兼式部大輔、藤原冬嗣。

居並ぶ参議たちは帝の美しいお筆蹟()におお…と感嘆の声を上げ、新しき御世の到来に老いた我が身に新しい魂を吹き込まれた感動すら覚えた。

「帝の御世の弥栄(いやさか)を御願いつかまつり申し上げます」
と参議たちが杓を掲げて退出すると冬嗣は揮毫の紙を箱に入れて嵯峨帝にお返しし、

「手筈通りに、順序だてて執り行うように」
という帝の命を受けては…と杓を掲げて退出し、中務卿佐味親王から手渡された勅書の入った箱を受けとると太政官へと向かう。

これから帝の命を遺漏なく役人たちに実行させるために冬嗣はしばらく政務に忙殺されることとなる。

嵯峨帝ご自身も平城宮から呼び寄せた臣下の人事や上皇側についた臣たちの処分、それに…

3年前に獄死した兄、伊予親王の子供たち継枝王(つぐえおう)高枝王(たかえおう)と姫君を流刑先から呼び戻し、既に出家した子供たちの母と伊予親王の家人であった雄宗王(おむねおう)に面通しさせる必要があり、
嵯峨帝自身も面通しの場に立ち会った。

流刑先での困窮した暮らしを強いられていた子供たちは哀れな位痩せ細っており、立ち会った者全ての涙を誘ったが、

嵯峨帝は継枝王の細った手の付け根にある疣に近い大きな黒子(ほくろ)を確認して…
間違いない。この黒子は3年前の東宮朝賀の宴の折、伊予の兄上自ら見せて下さった黒子と同じだ。

この子らはまさしく兄上のお子。


と同じく継枝王と姫君の手の付け根を確認した雄宗王とうなずき合った。

「お前たち…さぞひもじい思いをして暮らしてきたのだね。ささ、膳を用意させてあるから好きなだけ食べておいで」

と子供らを雄宗王と母である尼君に託して別室に案内させた。

…さて、これで伊予親王の遺児を送り届けた我の役目も終わりだ。と使いの用人が胸撫で下ろして退出しようとしたところで、

でん!と目の前の貴族が出口に脚を掛けて行く先を阻んだ。

ま、まさか宮中に仕える貴族がこんな乱暴な真似を!?

と驚きと怒りの混じった目で見上げた先には
「悪い、我も一応皇子ではあるが身分低い者として育てられたので素行が悪くてな」

と嵯峨帝の兄で権右少弁、良岑安世のへらっとした笑顔。

「あの子らがもし偽物であったなら…お前の首はとうに無かったぞ。命拾いしたな」

と凄みのある声でわざと手刀で用人の首根っこをぽん、と軽く叩いてもういい、とばかりに脚を退けた。

手刀を食らってから安世の腰の刀に気付いた用人はひえっ!と喉から悲鳴を上げ、退出した。というよりとっとと逃げ出した。

「安世は相変わらず荒っぽいな」

と苦笑いする嵯峨帝に向かって安世は

下司(げす)(当時は従五位下以下の意味)には下司(げす)なりの接し方があるってもんですよ、帝。あのような輩は多少荒っぽくしないと本性を出しませんからね」

と優美な仕草で一礼し、

「あの用人が伊予の兄上のお子をどんなに粗略に扱ったか皇子さまがたから聞き出し、本人に吐かせて…『それなりに』思い知らせてやります」

一瞬凄絶な笑みを見せてからそれでは、と帝の御前から下がった。

さすがは少年の頃より下々の者に混じって
飲む、打つ、買う。
と悪い遊びをひととおり嗜まれた安世兄上。
人間の心の機微を熟知していることよ…

と安世の言動に息を呑んだ嵯峨帝は隣室に控えていた藤原三守に、
「疲れたので後宮に行く」と告げた。

改元の9日前に伊予国に流されていた(なんという皮肉か)伊予親王の母方の伯父、藤原雄友罪を許され正三位に復権。弾正伊に任ぜられる。

その他藤原安人、橘安麻呂、橘永嗣、橘百枝等見に覚えもない罪で左遷されていた者たちも都に呼び戻され復権した。

そして…

京の九条の外れ、無人の家の裏手に三つ菰包(こもつつ)みが転がされた。

それを見つけた老人が早速中を開くと、損傷の激しい男の遺体が苦悶を顔に浮かべたままでいる。

「おい、じいさん…殺された奴の骸に触れでもしたら祟りがあるかもだぜ」

と制止する若者の手を振り払って老人が遺体の衣を剥いで腹のあたりを探ると、切り開かれた腹の中から金の入った革袋が見つかった。

「ほうれ!やっぱり獄吏の入れ替わりがあったな。こいつら罪に問われた貴人をいたぶるのを愉しみにしている虫けら以下の奴らさ。
入れ替わりがある度にこうして仕返しされて殺され、ここに棄てられるのさ。
若いの、暮らしに困ったら覚えておけ」

おれは今のところ暮らしに困ってないけどさ…と九条で身を売る女たちの鏡磨きをしている若者は遺体の有り様を見てうへえ!と声を上げ、

「全身焼きごてを付けられて首が捻れている。なんてむごいことを…!」

と身震いして手を合わせるが老人は

「こいつらそれだけの事をしたんだろうさ」
と言い捨てた。

老人と若者は借りた荷車で骸を運び、寺に運んで金を払って弔ってもらい、余った金を骸を見つけた者たちで分け合って別れた。
これが九条の暗がりに住む者たちの決まりだった。

三体の骸は老人の推察通り、拷問で中臣王をなぶり殺し、安倍鷹野を責め立てた獄吏たちであり、都に戻った鷹野自身の報復によるものであった。

屈辱を受けた、貴人の根は深い。

改元。
それはわざと歴史という膨大な時の流れに名前を付けて刻むことによって過去の禍事をなかったことのようにして暮らす、

この狭き小さき国の人々の、生きている間に何も成し得ないだろうという諦めを慶事に立ち合えたという喜びにすり替えさせるための、生きる知恵なのかもしれない。

それから二月後、智泉が普賢菩薩像に最後の一刀を入れた直後、

「橘の夫人、皇子さまご出産!」
という橘家の使者から吉報が入った。
「母子共にご無事であらせられます…ありがたや智泉どの」

と使者の少年は智泉自身に手を合わせて臥し拝んだ。

「とうとう結願(けちがん)なりましたな」

と菩薩像の細かい装飾を彫って手伝っていた仏師、椿井双(つばいのならぶ)は鑿を持ったまま初めてこちらを振り返った智泉の顔を見て、

うむ、覚悟を決めて自らの仏と向き合う、一人前の僧侶になったな。

と満足げにうなずいた。

弘仁元年冬、橘嘉智子は第二子である皇子を出産した。

白い布に包まれた産屋の中でほぁぁ、ほぁぁ!と泣く皇子と枕を並べた嘉智子は、

ああこれで、
跡取りの皇子を産むという入侍以来の務めを果たした…
という長年の重責から解放された安堵とお産の疲れで新生児に初めてお乳を含ませる乳付けの儀を終えるとそのまま深く眠った。

七日後、嵯峨帝は皇子に

正良(まさら)

と名付けた。後の第54代仁明天皇(にんみょうてんのう)の誕生である。

「早く正良に会いたい、正子(まさこ)にも会いたい何よりも嘉智子に会いたい!」
と目の前を忙しく歩き回る夫に明鏡は、

「嘉智子さまのお体が回復なさるまでのご辛抱でございます」

と我が子の信皇子に薄いお粥を与えながらこの騒がしい夫をやんわりとお諌めする。

ふた月前、お産のために嘉智子さまがご実家にお帰りになってから愛妻に会えない嵯峨帝はもう我慢も限界なのだろう。

その代わりに、といってはなんだが明鏡が残った嘉智子の部屋に入り浸って長く明鏡と過ごしたり、妃の高津はじめ他の妻の部屋に通う回数が増えた。

帝と信さまとこうして親子水入らずで過ごせる。というのが普通の夫を持った人妻の幸せなのだろうが…

我が夫は一国の父たる天皇なのだ。

あまり多くを求めない、というより最初から何もあてにしてはいけない。

常に心を穏やかに保つことが宮女としての自分の幸せなのだ。

と明鏡は上手く粥をすすってきゃっきゃとはしゃぐ信皇子を抱きしめ、
「ところで信に粥をやるのはまだ早すぎるのではないか?」
と心配する夫にほら、と我が子の唇を開いて下顎に四本生え揃った真珠のようなものを見せた。

「おお、歯が生えたのか!」
と嵯峨帝はいたくお喜びになり、信を抱き上げて頬ずりをした。

いつの間にか大きくなったものだ。待つのも父親のつとめ、か…とようやく観念した嵯峨帝は床に寝転んで、
「こうしておまえと夫婦らしくしていられるのは初めてだな」と膝枕をしてくれる明鏡と見つめ合った。

その頃、高雄山寺ではようやく叔父の元に帰った智泉と空海が橘家をはじめとする貴族家から次々と贈られる品物の山に囲まれて辟易していた。

「もう置くとこあらしまへん」

「いいから受け取ってくれよ、これは橘家の総意だ」

と皇子誕生と一族の内三人が都に帰って来た上に昇進したものだから橘家の家ではお祝い続きだ。と橘逸勢が従者にそれはそこに置け、と指示して勝手に贈り物を堂内に置いた。

「都では皇子を生ませた神僧、智泉阿闍梨と評判だぞ」

と逸勢が智泉をからかうと、
「それ、言わんといて下さい。私はそのつもりは無いのに…」

と恥ずかしさと重圧で震える智泉に空海は、

「若い内はその反応でええんや、偉ぶって面の皮厚うするのは年取ってからやで」

と諭した。そんな師弟を目の前に逸勢は
「政のごたごたも済んでようやく坊さんとして過ごせるんだなあ…」
としみじみと言うのであった。

「へえ、国家鎮護のために今後6年は籠っていたい、という申し出が通って胸撫で下ろしております。
ところで真雅はどないしてます?」

「真雅なら行儀も良くて賢いので内道場の坊さんに可愛がられているぞ。それにしてもお前にあんなに年の離れた弟がいるとはなあ」

四月前のことである。都に住む空海の兄で書博士、佐伯酒麻呂が10になったばかりの童を連れてここ高雄山寺にやって来た。
空海多忙で都に住み、寺を留守にしていた時である。

「この子は佐伯真雅…我と真魚の弟です。と父からの文に書いてあります」

と酒麻呂と空海の父、善通の直筆による真雅の出自、善通と粟島に住む愛妾のハヤメとの間に生まれた子で誕生後、母子共に佐伯家に引き取られた。

最初、善通は真雅を酒麻呂に預けて大学寮を受験させようと思っていたのだが真雅の母、ハヤメが三人目の子を産んだ後病で寝付いてしまったので、

「やはり真雅を真魚に預けて仏門に入れたい、と文には書いてあるけれど我はこの子を学者に育てたい。
なれど…真魚の働きを噂で聞いていると、これからは仏教だ。と強く思えてならないのです。だから連れてきました」

いくら努力して大学寮の博士になっても地方豪族の子では官吏のままで終わってしまう。

だったら空海の弟子にした方が真雅のためなのではないか?

という本音を吐露した酒麻呂に叔父の阿刀大足は
「当寺は弟子不足で困っているから引き取ろう」と即決した。

前にこの子と会うたのは確か母親のお腹にいた頃だった。大きゅうなったな。

といきなり現れた弟を前に空海は11年前に帰郷した折、粟島で紹介されたハヤメの屈託のない笑顔を思い出した。
真雅の顔をじっと見ながらくっきりとしたまぶたが母親似や。と空海は思った。

それにしても、父上はハヤメどのにあと二人も子を生ませていただなんて。

一体母上との夫婦仲はどうなっとるんや!?

ハヤメどのの快癒のためにこの子を出家させるというのは…

我が父ながらあまりにも身勝手ではないか?

「まだ10の子をいきなり坊さんにするのは無体なことやと思います。真雅にはあと5年は考えさせて学者なり役人なり行きたい道を選ばせたいのです」

と父に反駁するように空海が相談した相手が、嵯峨帝だった。

「それなら行儀見習いの稚児にして宮中で学ばせるがよい」

と真雅の顔を見るなり「賢そうな子だ」と一目で気に入りになった帝はすぐに真雅を内道場の稚児に任じた。

さすがは帝、宮中で学んだ事は将来必ずこの子の役に立つ。と安心して空海は宮中に弟を預けた。

「いまは国家祈祷の準備で忙しく、真雅を預かって下さった帝には感謝し尽くしてもし足りません」

この時期空海は「国家の為に修法し奉らんことを請ふ表」を朝廷に上表し、

向う6年間、高雄山寺の山門を閉じて聖朝安穏・天下泰平を祈祷する旨の許可を申し出ていた。
帝はすぐに快諾し、自作の詩をつけて綿100屯を贈った。

「そう帝に伝えておく」
と言って逸勢は山を降り、政変で心疲れた貴族と僧侶たちはそれぞれの暮らしに戻っていった。

間もなく空海は高雄山寺にて鎮護国家の修法を行った。
この七日間の修法が空海によって行われた鎮護国家の修法の最初である。

お産からひと月後に嘉智子は正良を抱いて後宮に戻り、白いおくるみに包まれた皇子を夫に抱かせた。

父嵯峨帝に抱かれて目を覚ました正良はいきなり自分を抱く手つきが変わったので驚いて両目をぱちりと開けて相手を見つめた。

「やあ、私がお前の父だよ正良」
と嵯峨帝が正良に話しかけると正良はわずかに頬を動かしそれが微笑んだように見えたので、

「見ろ正良が笑った!父が解るとは利口な子だ」

と喜ぶ嵯峨帝に
「まあ帝ったら…」と嘉智子は口元を袖で隠してほほ、と困り笑いをした。

こうしてたった三月余りの弘仁元年は、
愛する嘉智子との間に待望の皇子誕生。という嵯峨帝最大の慶事で過ぎ去って行った。



































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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