第102話 灌頂

文字数 5,042文字

弘仁三年六月、泰範は二十五年ぶりに近江高島の実家に戻った。

その家は草木が生え随分と汚れていたが骨組みがしっかりしているので手入れをすれば庵として使うのに不便は無い。

背負っていた籠を煤けた床に置いて旅装を解くと泰範は早速たすき掛けで外に出て鎌で庭の草木を苅り始めた。

「和多利は室内を片付けてくれ」
「へい」
と気安く応えた老人、秦和多利(はたのわたり)はまずは(くりや)だな、と竈の中の灰やら鼠の巣やらを取り除いて土を練って竈のひびを塞いで火をくべて竈を乾燥させ、持ってきた新しい釜を上部に据えた。

さすが元木工職人、和多利はこういう仕事が得意なのだな。
と草刈りに疲れて戻った泰範は感心しながら老人の働きぶりを見ていた。

味噌と菜を入れて米を多めに炊いた雑炊を啜るとたちまち疲れが吹き飛んだ。

「…うまい。白粥ばかりの坊さんの食事には辟易していた所だ、ちょうど良い」

はふはふ言わせて泰範は雑炊を平らげ水を飲むと器を置いて、

「さて、今から遅ればせながら庵のおこもり僧になるぞ」

と笑った泰範の顔は、実に晴れ晴れとしていた。

井戸の水で器を濯ぎながら和多利はだけどもねえ、と振り返り「最澄和尚が天台宗をやるって言いなさるなら喜んで貰えばよろしかったのに。勿体ない」
とわざと下唇を付き出して見せる。

老人のふざけ顔が本当に山猿に似ているのでよせよ、と泰範は妙におかしくなって笑い出してしまう。

「国家公認の宗派一つだぞ、この道心の浅い若僧には荷が重すぎて潰れてしまうよ」

そう言ってから周りだけ片付けた部屋の床に薬師如来の小さな像を置いて数珠をかけて合掌瞑目して経を読む。

たとえ泰範さまが密偵だったとしても、十八年も比叡のお山に入って師に仕えていれば本当の坊さんじゃないか。

真剣に読経する泰範の後ろ姿を見て和多利は、最澄和尚の評判だの実像だのは庶民の俺には関係ねえが、
最澄和尚は愛弟子に対して本当に罪なことをなさった。
と最澄に本気で腹を立てていたのである。

そもそも泰範が自ら山を降りるきっかけを作ったのは今年から病がちになり、我が身もこれまで。と思った最澄が講堂に弟子を集め、

「我が死した後、後継者を泰範とする」

という正式な遺言書を作成して読み上げた上での宣言。

堂内は一斉にしん…とした後剣呑な声でどよめき、特に若い弟子たちが唖然とした顔で信じられない…と最澄への失望を隠さずに一人がこう叫んだ。

「よりによって一番弟子の円澄さまや唐留学に同道なさった義真さまではなく、この…」

と青ざめた顔で泰範を指差し、

「この色坊主への情けひとつに最澄さまは血迷って泰範に天台宗を渡そうとなさるのですか!?」

この若い弟子は言ってはならぬ事を言ってしまった。

皆、口には出さずとも最澄と泰範の関係は知っていたのだ。

知っていながら泰範の「働き」で最澄さまは精神の安定を保っていなさるのだから。表面上比叡山寺は滞りなく運営出来ているのだから、と皆黙っていたのだ。

口角泡を飛ばして「この色坊主っ、お前が比叡山をおかしくしたんだ!」と泰範をなじる弟子の胸ぐらを掴んで「…黙れ」と殴り付けたのは、義真だった。

「我が身を挺して刺客から最澄さまを守った泰範はまことの弟子だ。若僧め、黙れ」

なれど…と反駁する弟子に向けて義真はもう一度拳を振り上げようとする。

「静寂なる寺内で争い事をするな!」
と円澄がその手を背後から掴んで止めた。

「円澄さまは悔しくないんですか?」

と問い詰められた円澄は表情ひとつ変えずに「師の決定に従うべきである」と言った。それと宗派の継承は別問題であると騒ぎ立てる若い弟子と古参の弟子で紛糾する堂内。

弟子で情人でもある泰範との関係を皆に知られていたのか…!
と全身から血の気を失って立ち竦む最澄。

泰範にはいま目の前で起こっている出来事が皆、自分に関係の無い芝居のように見えた。

色坊主、ああその通りだ。
泰範はふっ…と己と堂内にいる者全てを嘲笑すると自室に戻って荷物をまとめ、

「此度は私の身の不徳でお山に騒ぎを起こした事をお詫びします」
と師に頭を下げてそのまま比叡山を降りて行った。

行かないでくれ!という最澄の叫びに耳を塞ぎ、決して後ろを振り向かなかった。

まずは都の九条で子を育てている妹に会いに行き、生まれて間もない我が甥を抱かせてもらった。

なんと美しい赤子なのだろう。私のような汚れた者がこのような清らかな存在を抱けるなんて…と目に涙を浮かべてから「近江に戻って庵を結ぶ」と妹に告げ、取り敢えずの従者として和多利を借りる事にした。

日と月の光を頼りに写経し、読経するだけの日々は元興寺で出家して以来か。
若い頃は暇を苦痛と思うていたが、

「年を取ってからの暇というのはやりたいことだけすればいい幸い、というものなのだな」

と笑って和多利に向かって言った。こうして夏が過ぎ、秋になった。
泰範の心になんの波も立たない穏やかで、幸せな日々だった。

空海阿闍梨よ。
私は貴方からの是非お山を降りて会いに来て欲しい。というお願いを幾度も無視し続けてきたのは、

死ぬほど努力しても報われない我が身と比べて密教の正統後継者という輝かしい地位。

若く覇気溢れる今上帝の寵愛。

そして…東大寺別当に任じられ、奈良仏教に認められた貴方に、私は死ぬほど嫉妬していたからだ。

私は貴方より何倍も経典を読み込んできた。

年と共に衰えて来る体に無理してでも写経を続けてきた。貴方の何倍も何倍も。

なのに、どうして私は報われないのだ?

我が悲願である戒壇の許可をどうして帝は下さらないのか?

ああ、遍照金剛(へんじょうこんごう)…老いた我が身には眩しすぎるその法名を耳にするだけでも私は死にたくなるのに。

すぐに新しき教えに飛びつきたがる軽佻浮薄な今どきの衆生に支持されている若き僧よ。

殺してしまいたくなるくらい嫉妬する相手をこの世に居ないものと思うまでに無視することが、

不遇なものの心に安らぎを得るための知恵だということを貴方は解ってくれないのか?

なのに、なのに、このような切実な文を送られてしまっては読まずにはいられないではないか…

空海から送られてきた文を何度も何度も読み返し、筆の走り、墨の浮き濃きから書き手の熱情が迸る文体にため息をつき、広げた文の前で最澄は、

「私は何と傲慢だったのだろうか…」

と床に伏して激しく泣いた。その様子は側にいた円澄と義真が我が師は後継者と目していた泰範に去られ、絶望のあまり自死してしまうんじゃないか?と心配する程のものだった。

被っていた帽子(もうす)で涙を拭い、落ち着きを取り戻した最澄は愛弟子たちも何年かぶりに見たというくらいすっきりした顔つきをしていた。

やがて師の口から発せられたのは、

「決めたぞ、私は空海阿闍梨に会いに行く。自ら頭を下げて密教の弟子になるつもりだからお前らもそのつもりで」

という宗派の開祖が別の宗派の弟子になる。という前代未聞の発言だった。

最澄さまは天台宗と弟子たちの為に何でもなさるおつもりだ…

二人の愛弟子は唖然としたが師の悲壮な決意に誰が逆らえようか。

「それと、疾く使いをやって泰範を呼び戻すのだ!」
最澄はこれだけは厳命した。

弘仁三年十月二十七日、

当時乙訓寺別当としてこの寺に住持していた空海は朝の勤行を終えて白湯を飲んで一息ついたところだった。

最澄に送った文の事はもう考えないようにしている。

文章というのは書き手が自分の思いを文字に乗せ、それが人に読まれた瞬間から自分の手を離れるものなのだ。

読んでくれた最澄さまがどうなさるかは最澄さまの勝手。
後はどうとでもなるがよい、とさえ思っていた。

読み手に最初から期待しないこと。

それが若い頃から思いの丈を文章にぶつけて生きてきた空海が心を平静に保つための、いわば知恵であった。

だから、この日最澄が一人でふらりと訪ねて来て空海に対面するなり帽子を取って膝を折り、
「空海阿闍梨に切に切に密教の教えを請いたい」
と額を床に擦り付けて懇願してくるだなんて、

空海には思いもよらぬことだった。

「よろしいでしょう」

こうして二日後の弘仁三年十月二十九日に空海は乙訓寺から高雄山寺へ移り、帰国してから本格的な灌頂の儀式を行うのは初めてだったので半月かけて準備し、

弘仁三年十一月十五日、高雄山寺にて金剛界結縁灌頂を開壇し、最澄ら金剛界灌頂を受ける。が、この日泰範は来なかった。

庵に比叡山から迎えの僧が来て、
「あなた様に出ていかれてから最澄さまは憔悴しきっております。是非戻っていらして下さい…」
と泣きながら説得されたので渋々比叡山寺には戻っていた。

が、その本音は…

全ての衆生を救うと天台一乗の教えを掲げてきた最澄さまご自身がわざわざ密教の弟子になりに行くだなんて、
それでは密教に敗北した事を認めるようなものではないのか?
と年を取ってなりふり構わぬ行動に走った師を軽蔑すらした。

本当は孤独で可哀想な人だから、と情ひとつで繋がっていた師弟の絆が泰範の最澄への思いが今は歳月を経ては擦りきれてしまい、まるで左右の襤褸を繋ぐ細い最後の一本の糸みたいな情しか残っていなかった。

最澄は泰範に灌頂を受けようではないかと再三勧誘したが、泰範は断っていた。

そんな泰範のもとに届いた急ぎの文は、珍しく心が動く内容のものだった。

我とご同道なさっていた和気真綱(わけのまつな)氏がその場で金剛界灌頂の意向を空海阿闍梨に伝え、入檀なされたのだ。

これは予定には無かった急なことなのでさらに逗留が長引くことになる。
至急、高雄山寺に米を送って欲しい。

我が愛弟子泰範へ

最澄

最澄、円澄、義真が灌頂を受けた直後にそれは起こった。

兄の広世亡き後、内心天台宗と縁を切りたいと思って支援を断つ。とまで宣言していた和気真綱は一族に反対されて絶縁を諦め、表面上は天台宗の檀乙として最低限の支援を続けていた。

最澄の灌頂に立ち会うのも嫌々だった。

だから、今ここで空海の密教に乗り換えなくてどうする!?

と思い立ち、最澄たちが灌頂を終えたその場で「我も儀式を受けるぞ」と空海に告げて灌頂を受けたせいで当初の予定が大幅に狂い、
その後の空海、最澄、そして泰範三人の僧の運命を決定付ける事になる。

密教なんて怪しい教えだ、と呪術を毛嫌いなさっていた真綱さまを心酔させた空海阿闍梨とはどういうお方なのか?

文を読み終えた泰範はこの時初めて、空海に会ってみたいと思った。その為には…

「私も高雄山寺にお供し、灌頂を受けてみたいと思います」と愛弟子に告げられた最澄は、

「そうか…いや、お前なら解ってくれると思っていた」と泰範の両手を取って涙ぐんだ。

その先に何があるかも予想せずに。

弘仁三年十二月十四日、

泰範は最澄と兄弟子たちと共に胎蔵界灌頂を受けに高雄山寺に入った。

一歩堂内に入った瞬間、闇の中で無数の金色の星がまたたく世界に入ったような錯覚を泰範は覚えた。

よく目を凝らして見ると灌頂を受ける希望者たちの前に立つ柿色の衣を纏った小柄な僧侶のからだから小さな光の粒が立ち上っているではないか。

あの人が…空海阿闍梨。私以外には見えないのだろうか?
「人は生まれながらにして皆仏であり、己の心の中の仏性に従って現世で働き、衆生を救う事が出来るのです」と在家の者の心を惹き付ける説法をなさるではないか。

さらに目を凝らして見ると空海の背後にしつらえてある檀の両側の壁に掛けられている仏が縦横に並んだ曼陀羅と、蓮の紋様をした曼陀羅の中の小さな仏たちが自ら光を発して、

(いきなり大勢の前で説法をするから緊張をしているのね)

(息を整えて落ち着いて話すのよ)

(もっと自信を持て!遍照金剛よ)

と語りかけて空海を励ましているではないか!

私が見ているのは一体何なのだ?

空海阿闍梨は本当に人間なのか、いや、この御方こそが仏に選ばれた器なのではないのか?

空海の説教が終わると案内役の若い智泉阿闍梨に促されるまま泰範は師と兄弟子の後に続いて空海が両手に持つ棒の先の水を頭頂に付けられた瞬間、

現世の汚泥の中で育ち、元より神も仏も信じていなかった泰範の暗い心に光が点った。

それは実際のどんな愛撫よりも優れた心地のよい温かい慈しみであり、その恩恵を受けた泰範の心は懐かしさと喜びで満ち溢れた。

「泰範…なんで泣いているのだ?」

師と兄弟子に怪訝な顔をされた泰範は両目から滂沱(ぼうだ)の涙を流し、空海の足元に額付(ぬかづ)きながら、

「空海さま、今より私をあなたの弟子にしていただきたいのです!」

と口から臓腑が出ん程の叫びでそう訴えた。

師匠と弟子であり情人でもあった最澄と泰範の縁の糸はこの時…

音も立てずに切れた。







































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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