第2話 親王様の恋

文字数 6,159文字

「して、その娘は美しいのか?」

と父から婚姻の話を受けて数日もせぬ内に、神野は自分より一歳年上の学友であり悪友の、藤原三守(ふじわらのみもり)を呼び出していた。

「はあ…確かに我が妻はその娘の姉ですが、義理の兄とはいえ私も顔を見た事がないのです」

と温和な人柄だけが取り柄の藤原南家の五男坊は、馬鹿正直に答えた。

「何しろその娘は父親の遺言で

『成長したら必ず宮中にお仕えさせるのだ、貧しくともみだりに他の家の妻にさせるな』

と言われて実家の橘家の中で隠されるように育って来たのですから」

父親、と言うのは橘奈良麻呂の遺児で美丈夫さでは他に引けを取らなかった橘清友(たちばなのきよとも)のことである。

清友は背が高く美丈夫だったゆえ渤海使(ぼっかいし)の接待に任ぜられたと聞く。

渤海とは、満洲から朝鮮半島北部、現ロシアの沿海地方にかけて、7世紀末から10世紀初めまで存在した国家である。

渤海人は身の丈大きく顔の彫りが深いためその大使の相手をするのに、倭人、倭人(小さい人という意)と舐められない為に、わざと体格立派な清友を就けたのだろう。


「清友の娘ならば父に似て美しいのだろうか?」

と、神野はまだ見ぬその侍女の容貌に思いを馳せた…

「はあ、舅どのは若くして亡くなったので、お会いした事はありませんが」

とそこで三守は言葉を切って

「確かに我が妻は美人です」

と伏せていた顔をそっと上げて、片目をつぶってみせた。

「うらやましい奴め!」

神野は傍に控えていた三守の肩を掴んで引き寄せて笑った。

三守は、神野が信用できる数少ない人間の一人である。が、官位が低く、従六位下で宮中に出仕できる身分ではない。こうやって学友として呼び寄せるしか会う方法が無いのだ。

まあその娘が入侍して契りを交わせば三守とは姻戚関係になるではないか!

「とにかく楽しみだな」

と神野はひと月後の娘の入侍まで割と機嫌よく過ごした。


そして、娘が宮中に入った夜…

あいにく月の障りがございまして。と遣いの侍女が申し訳なさそうに報告した。

神野は新枕(初夜)をすっぽかされたのである。

ま、まあ急にそういうことも女人にはあるしな…と神野はその夜は珍しく一人寝をした。

平安京の烈しい夏の暑さも和らいできた季節なので、15才の少年神野は深く眠った。

翌日、神野は何とかしてその娘の顔を見ようと新入りの侍女たちが働いている部屋を覗いた。

指導役の侍女から教育を受けてはい…はい、と肯いている侍女を見つけた。あのひとだ!

しかし、娘はわざと髪で顔を隠して自分から見えないようにしているじゃないか。

周りの侍女たちが早速娘を遠巻きに見て「変わり者よね…」と噂している。

「あのですね、親王様がのこのこ覗きにいらっしゃるから目立ちますって!」

と神野の背を叩いたのが、女童の明鏡であった。

明鏡は、口は悪いが機転が利いて、その小ささ愛くるしさから誰の懐にでも小鳥のように飛び込むことが出来る。

神野は密偵役にと、娘の所に明鏡を遣わすことにした。

その日の夕方に、明鏡は少し硬い表情で神野の所に報告に来た。

「あたし、化粧しなくともあんなに美しいお方は初めて見ましたわ…」

と女童はしばらくぼうっと視線を泳がせた。

やはり、期待以上だったか!と神野は両手の拳を顔の前でぎゅっと握った。

そんな神野を前に明鏡はきりっと表情を変えて、主人に釘を刺す。

「でも、あの女人は『難物』ですわよ。いつも新参の侍女にやるように、急に押し倒さないで下さいね」

「人聞きの悪いことを言うな!」

でも本当のことなので、神野はぐうっと黙って報告の続きを促した。

「お名前は嘉智子さまと言うのですけれど…
自分は父の遺言ひとつで嫌々宮中に来た。本音を言うと出家して尼になりたかった。と仰るのです!」

平安初期は徒に増えた僧や尼僧を統率するための僧尼令が厳しかったので、貴人の娘が簡単に我が髪を切って出家するのは困難な事であった。

尼になるだと?まだ花の盛りの十五の娘に出家願望があるなんて…

やれやれ、相当の世間知らずか、宮中に来た身を儚んでか。

「いつも通りに手を付けたらいけないひとなんだな」

こうなれば様子を見て機を探るか…と我慢してひと月半後、神野は父帝の鷹狩に随行した折、

一本の菊の花を見つけて…ある作戦を思いついた。いま自分は鷹狩の装束に「変装」してるではないか!

こうして神野は随員の男に化けて丁度外で衣を干していた嘉智子に花を渡し、正攻法で名を問うて顔を見ることに成功した。

「…名は?」と問われて自分を見上げた娘の顔は…なんて鼻梁涼やかで美しいのだろう。


「まるで万葉の時代の名乗り(プロポーズ)ではないか!」

と近くの樹の陰に隠れた三守と明鏡は、笑いをこらえるのに必死だった。

「これで相問歌でも交わせば完璧なのでしょうけど…ああっ!親王様が振られてしまいましたわ」

信じられない、と三守は両手で頭を抑えた。親王様は今まで誰にも振られたことがないのに。

我が義妹がこんなに強情な女人とは!このままの状態を長引かせている訳にはいかないな。

三守は温厚篤実な表面の内に、果敢な決断力と行動力を隠し持っている男だった。

「明鏡、ひとつ相談があるんだがね」と義妹がいちばん無心になっているときはいつか?と尋ねた。

「はい、毎夕ご実家から持ち込まれた小さな仏像に拝んでいらっしゃるときでございます」

「そうか」

とひとつうなずくと三守は「外から侍女部屋を覗けるところはあるか?」と明鏡に聞くと「三守さまも悪いひと」と言い返された。

そして、振られたばかりで落ち込む神野を明鏡に手引きさせて、橙色の夕陽に照らされて仏に拝む嘉智子の横顔を窓ごしに覗かせた。


う、美しい…このようなひとをむざむざ尼にしてたまるか!と神野の心に生まれて初めて強い恋情が起こったのである。

それから神野は陰陽師を呼んでいちばん近い吉日を選ばせ、その吉日の夜、今日手折った野菊の花を持って嘉智子の寝所の近くにひそんでいた。

待てよ、自分は親王の身であるぞ。このように下々の男みたいに夜這いをかけるとは…

菊の花を眺めながら、神野は自分のやっていることや今までの三か月間の執心が急におかしくなった。

(寝付きました…お入りになるなら今です)と背後で明鏡の声がした。

だが、どうしようもなく私はあのひとが欲しいのだ。

神野は音を立てずに嘉智子の寝所に入り、新枕を「決行」した。


それから数日経ってからの昼おそく、

ずいぶん風が冷たくなって来たこと。と思いながら庭に面する御所の廊下を歩いていると、

「嘉智子さん、お入りなさいな」と侍女の控室の戸がからり、と開いて、先輩の侍女のひとりが中に招き入れてくれた。

室内では火鉢を囲んだ侍女四、五人が干した果物や木の実をつまみながら暖を取って休憩している。

中には鏡を前に髪を垂らして結い直している侍女もいた。

侍女たちは今は薄化粧をして眉間に紅の花模様、口紅の両側に緑点を入れた嘉智子の顔を見て、一様にほっとした。

「宮中のつとめには慣れましたか?」

空いた場所に座らせてもらって指導役の侍女にはい、と返事をすると、

「実は私達、とても心配していましたのよ。入りたての頃のあなたはとても内気というか、暗かったから…」

こほん、と空咳をしながら指導係は思い切って本音を切り出した。

「橘清友の娘。まずは、親王様とのご結婚おめでとうございます。私たち侍女も本当は胸を撫でおろしている次第なのよ」

「さあ、温まりなさいな」と他の侍女が白湯を入れた椀と干しなつめを持って嘉智子に勧めた。

「不本意ながら宮中に来た女人は、あなただけではありません。
貴人の妻女までが宮中に入っておつとめしなければならないこの御時世です。
私たちも実家の暮らしのために宮仕えに入った女たちばかりですわ」

指導係の言葉が終わるのを待って、嘉智子はなつめをかじって白湯を口に含んだ。

宮中に来てから気づいたことがある。子供の頃からずっと抱えていた、お腹が空いた、という感覚が無くなったのだ。

「うちの親王さまは特に女人にはお優しいかたなのよ、嘉智子さんは運が良かったのよ」

「ほーんと、実家の父や兄たちとは大違い。ここに来るまでは殴るか蹴るのが男だと思っていたわ」

「お相手した翌日は必ず文や贈り物を届けて下さるし、ご正妻の内親王さまもしっと深い方ではないし、ねー」

え…?もしかしてここの侍女のかたがたって…

と嘉智子の心中に疑念が生じてきた時、高津内親王づきの侍女から「橘清友の娘、付いてくるように」と呼び出しがかかった。


初めて会う神野親王の正妻、高津内親王は、やはり高貴の御生まれだけあって凛とした美少女であった。

「そんなに畏まらないで」

と優しく声をかけて嘉智子を傍ににじり寄らせる。

高津様の母のご実家は武官の坂上家なので、内親王さまは気取ったところが無い。
と前もって侍女たちが教えてくれた。

「親王様と晴れて夫婦になったようで…私たちは同じ夫を持つ身、これからも仲良くしましょう」

14歳ながらも皇女としての「余裕」さえ感じさせる発言に嘉智子はいたく感じ入るところがあった。

でも、と勝気そうな眉間を寄せる高津の顔を嘉智子は見上げる。

「あなたが新枕を拒んでいる間に、お兄さまはお手付きの女人を二人増やしてしまいました…

橘嘉智子、ここの侍女たちはね、人妻以外ほとんどお兄さまのお手付きなのです。


私が把握している限り、お手付きはあなたで十人目よ…

お兄さまは、高僧の読経でも治らない『御病気』なのです!」

と高津は吐き棄てるように言った。

「まったくもう、いちいち悋気(嫉妬心)起こしていたら神野親王の正妻なんてやってられないわ!」

と呟いて高津は偏頭痛でも起こしたのだろうか、こめかみを抑えて脇息に身をもたれてしまった。

「もう下がっていい」と言われて嘉智子は高津の居室を辞し、さっきの侍女たちの会話を思いだしていた。

おそらくあそこにいたほとんどの侍女たちが親王さまお手付きなのだろう。

わたくしは…なんという御方と夫婦になってしまったんでしょう!

橘嘉智子もこの時、親王さまのお手付きの侍女の一人に過ぎなかった…。


帳張の外で夫が侍女に服を着せられている衣擦れの音で、高津はせっかくの眠りから覚めた。

額と裸の上半身には大粒の汗が浮いていて、朝まで続いた房事の余韻でまだ息切れしている。

「なあ高津よ」

と夫、神野がこちらを振り返って「たまには一緒に朝餉しないか?」

と声を掛けてくるのを「今は…寝かせて下さい」と突っぱねた。

自分の寝乱れた姿を見られて、また朝から事に及ばれてはたまらない!

「また来る」

「…三日置いてから来てください」

このやり取りが、二年前に父桓武帝の言い付けで結婚した夫婦の慣例になっていた。

そうか、と少し残念そうに声を落として神野が部屋を出て行くのを帳の隙間から確かめると、侍女に

「お水と、替えの衣を持ってきて頂戴…」とだけ言い付けるとそのまま強烈な眠気と疲労感に襲われ、まったく、お兄さまの「お相手」をいつもつとめては体が持たないわ!

とまどろみの中で毒づき、昼まで眠ってしまった。

心身健やかに育てるよう。

という父帝の教育方針で神野は文武とも英才教育を受け、平安初期の貴人の男は滅多に食べない強飯(こわいい)(米を蒸したもの)をがつがつ食べる。

「強くなるためにはよく噛むことです」と幼少期からの武道の師匠、坂上田村麻呂が言い付けた食習慣だった。

おかげで、兄弟のどの皇子よりも健康優良児に育ったが…

狩りの季節が終わり、冬が近くなってもうすぐ16歳になる少年が宮中に閉じ込められがちになると、

その「健康さ」が女人に向かうのは、まあ無理もない話。

「ねえ、最近親王さまは夜いらっしゃる?」

と神野お気に入りの侍女、貴命(きみょう)がもう一人のお気に入り侍女、高子に夕餉の前の休憩中尋ねた。

いつもなら三日も開けず共寝していた親王さまが、ここ七日間音沙汰もない。

さては、多治比高子(たじひたかこ)のもとに通っているな、とも思ったが、

「いえ、全然。お蔭で休めてますけどね」と高子は細い目をさらに細めて笑って正直に答えた。

二人とも、将来神野が即位した時の后候補として貴命は実家の百済王家(くだらのこにしきけ)から、

高子は多治比家から宮中に送り込まれた娘である。実家の出世のために神野のお手付きになった、嘉智子と似たような境遇だった。

「あの親王さまが女人なしで寝られる訳がない!」と二人は他のお手付き侍女に問いただしてみたが、

誰も「最近いらっしゃっていません」と首を振るばかり。

あの、と古参で人妻なので神野の手に掛かってない侍女がひとり、不吉な秘事を明かすように口を開いた。

「数日前からのことでございます…最近親王さまお気に入りの、橘家の娘の床から房事の時の声が」

とそこで言葉を切り「しかも、昼日中からでございます…恥ずかしい!」と袖で口を覆ってしまった。

まさか…まさか、と侍女たちは嘉智子が連日「あの」親王さまのお相手をつとめてらっしゃるのか!?

こ、殺されてしまうわ!!

自分の身に置き換えて想像し、侍女たちが背筋を凍らせたのは言うまでもない。

貴命と高子は早速事の仔細を、高津内親王に報告した。

「政略結婚したばかりの娘になんてことを…嘉智子を休ませないと」

とじんわり痛むこめかみを抑えて、高津は「そうだ、あの娘なら止められるかも」と明鏡を呼ぶよう命じた。

間もなく、嘉智子の寝所を見に行っていた侍女がやって来て、

「すでに明鏡と親王さまが押し問答しております」と神妙な顔で報告した。

「行動の早い子」と言って高津は頬にえくぼを浮かべもし明鏡が失敗したら、貴命と高子が「体を張って」止めるように命じた。


さて、嘉智子の寝所。帳張の中で衣を頭から被って、奥歯をかちかち言わせて本気で震えているのは、

もう四連日、昼も夜も神野の「お相手」をつとめてあまり寝かせてもらえず疲労困憊の嘉智子である。

意識も朦朧として口の中で読経を唱えている。

「どうして入れてもらえないのだ!?」と駄々をこねる神野と、

「もう休ませてあげて下さい!御寵愛のひとを、殺す気ですか?」

と小さい体に両手を広げて嘉智子をかばう明鏡が、本気で怒っていた。

なれど、なれど…と帳に手を掛けようとする神野に「そんなに女体をお求めなら、あたしがお相手しましょうか?」

と明鏡が低い声でぼそっと言った。

「馬鹿いえ…!おまえみたいな子供に何もできる訳ないじゃないかっ」

「だったら、お下がりください」

明鏡の迫力に気圧された神野にとどめをさしたのは、帳の間から出て来た嘉智子の白い手から「どうぞ…親王様に」と渡された文だった。


言繁(ことしげ)ししばしは立てれ宵の間におけらむ露はいでてはらはむ

(人の噂が煩わしく存じます。しばらく曹司に入らず外でお立ちになってお待ち下さい。宵の間に御衣に置いた露は、私が後ほど出てお払い致しましょう)

嘉智子の和歌を読んだ神野はしばらく黙り込んで、

「数日は、来ぬ。安心せよ」と言い残して両手に文を握り締めて去って行った。

(嘉智子さま、嘉智子さま、ご安心ください)と明鏡が帳の外から手を入れて嘉智子の背中を撫でる。しばらくしてから嘉智子はやっと帳張から顔を出して、

床に多数の水滴が落ちているのを見つけた。

「子供のように泣きじゃくっておいででしたよ…まさか本当に『露』を落とすとはね」

嘉智子は微苦笑みたいなものを浮かべて「すこし、休みます」と言ったきりそのまま熟睡した。
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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