第31話 陽の下の露

文字数 3,917文字

秋の終わり、藤原三守は中納言藤原内麻呂の邸に呼ばれた。

内麻呂の次男、冬嗣に嫁いだ姉の美都子(みつこ)がふた月前に無事に男児を出産し、今宵若君お披露目の宴が開かれるからである。

「若君ご誕生!母子ともにお健やかです」と報せを受けるまでの冬嗣は「美津子は?美津子は大丈夫か?美都子に何かあったら俺はもう…」と周りの家人たちが心配するほど狼狽えてしまい、

しまいには「少しは落ち着け冬嗣っ!」と父内麻呂に一喝されてようやく我に返ったという。


宴の席の中心で義兄の冬嗣は幸福この上ないといった様子で赤子を抱いて微笑んでいた。

才気と鋭気が服を着ているような北家の梟雄、と周りの貴族たちから評され、いつも鋭い目つきをなさっていたあの義兄上が。

大判事(司法職)として罪人たちを容赦なく処罰なさっていたあの義兄上が?

と三守があんぐり口を開けて驚く程冬嗣は子煩悩な父親の顔に面変わりしていたのである。

やがて冬嗣が三守に気づくと手招きして隣の席に座らせ、

長良(ながよし)と名付けた。お前の甥だぞ、抱いてみろ」とようやく首が据わったばかりの赤子を三守に抱かせた。

姉のお産の時に大学寮から実家に帰っていた三守は別室で姉のいきむ声や赤子の産声ももちろん聞いたし、生まれてすぐの赤子を見せてもらっていたのだが、

生まれた時はあんなに小さくて皺だらけだったのに、たったふた月で赤子とはかように大きく重くなるのか!

と当たり前の事にいたく驚き、腕の中の赤子が物珍しげにくりくり瞳を動かすのを見つめる内に、

ああ、この子が我が甥なのか。

生まれてくる時は小さく弱くても、こうして父母や一族に囲まれ、愛情を受けて人は「人」として育っていくものなのだな…

という温かい感情が産着ごしに伝わる赤子の体温を受けてじわじわと胸の奥から沸き上がって来る。

腕の中の赤子が急に身を反らせて泣き出したので三守はどうしたらよいか解らず周りの男どもと共に固まっていると、

「きっとお乳を欲しがっているのですわ」

と泣き声を聞いて駆けつけた姉の美都子が弟から我が子を抱き取った。

「生まれてからずっとこうなんです…我が殿はお勤めの時以外は若君から離れないの」

と美都子は夫を見て呆れたように微苦笑してみせた。

「早く父親である我に懐いてほしいのだ」

と冬嗣が名残惜しそうに我が子の髪を撫でるのを見て美都子は

「まずは、母親である私に懐いてもらわないと困ります。育てられません」と微笑みながらきっぱりと抗弁し、我が子に乳を遣りに奥へと連れ去ってしまった。

長良…と名残惜しそうに呟く冬嗣の肩に手を置いて、あはははは!と快活に笑ってから貴族の若者が言った。

「ご妻女の言ってることは正論だよ。乳を遣る時、襁褓(むつき)(おむつ)が濡れた時父親は全くの役立たずだ」

その貴族は三守の知らない若者だったが、はて、誰かに似ているような…

「ああ、二人は初対面でしたな」と冬嗣は三守の肩を引き寄せて「紹介しよう、帝の皇子で俺の同母弟の安世(やすよ)さまだ」

と安世皇子を三守に紹介した。

「さま付けと敬語は止してください、兄上。もうすぐ姓を賜る事が決まってるんだ、これで同列の臣下です」

とちょうど冬嗣を甘くしたような顔立ちをした安世は不敵な笑いを浮かべた。

桓武帝と冬嗣の母の百済永継(くだらのながつぐ)との間に生まれた皇子、安世は秀麗な眉目に加え齢17にして文武両道、歌舞音曲の伎芸にも長けた将来有望な若者、と評判高いが母親の身分が低いために親王になること叶わず、

良岑(よしみね)、という姓を賜り臣籍降下する事が決まった、と安世は言う。

姓を賜る、というのはつまり皇族からただの人になる、という事なのだが…

「その割には嬉しそうなお顔をなさっておいでですね」

と三守が率直に感想を述べると当たり前だ、と安世は言って

「宮中には異母兄弟たちが大勢いて私は結構窮屈な思いをして育ったんだ。これで自由になれて出世しやすくなる」

とそこで言葉を切って急に声を潜めて

(藤原や橘のばか息子たちを何人も出し抜いて実力で出世してやるよ…この3人の中で誰が一番早く大臣になるかな?)

と周りの大人たちに聞かれたら厳しい叱責を受けかねないような大胆なことを安世は言った。

なるほど、安世さまにとって自分はばか息子ではないらしい。と冬嗣と三守はほぼ同時に思った。

(それより、とんでもない話の種があるんだが)と言うと急に安世が激しいしゃっくりをして横向きに倒れ込んだ。

冬嗣と三守はこれは演技だ、とすぐ気づいたが「話の種」の内容が気になり…

「皇子さまは御酒を多く召されたようです。介抱のため中座致します」

と父、内麻呂に神妙な顔を作って見せると内麻呂は結構酔った顔でそうか、丁重に扱うのだぞ。と言って宴の主役代理を引き受けた。


冬嗣と三守は悪酔いしたという風の安世の両肩を担いで離れの部屋まで運び、周りに人が居ない事を確かめてから座らせると、

「この部屋なら安心して何でも話せる」と秘密の話の続きを促した。

「先月のことになる。私が夜明け前、通っている女の所から帰る途中でね」

朝臣(あそん)になる方がまだそのような夜遊びを?」

と冬嗣が兄貴面して説教し、話の腰を折ろうとするのを「まあ義兄上」と三守が止めた。

「途中でなにか面白いことがあったのですね?」

「とんでもない話だと言っただろう?私もここ以外では話さないし、兄上たちにも口外してもらいたくない
…とある貴族の妻のところに、とある勢いのある貴族の男がこっそり通っていた。という話だ」

「人妻の所に通うとは大胆な」

「夫の地方任官中に妻がこっそり浮気するのはよくある話。だが、この人妻は良くない。我が兄と通じた大胆過ぎる女でな」

安世がそう言っただけで人妻の正体が娘婿である皇太子、安殿親王(あてしんのう)と通じて宮中から追放された女、

藤原薬子(ふじわらのくすこ)だと気付いて冬嗣と三守は互いに顔を強張らせた。

「それで…相手の男は?」

「何かの間違いだろう?と私も最初は思った。でも私ははっきり見たんだ…大和守、藤原縄主(ふじわらのただぬし)の家から、今を時めく遣唐大使様がこっそり出て行くのをね!
これが公になったら遣唐大使は罷免、藤原式家は確実に潰れる。いや、父がお潰しなる。
私もいちおうは皇族だから兄の醜聞を貴族たちに蒸し返されたくはない。
だから、口が堅くて信用できそうなあなた達二人にだけこの話をした」

話が終わると、安世、冬嗣、三守の3人は不吉な予感に首元を抑えられたような重苦しい心持ちで黙り込んだ。

なんてことだ、藤原薬子と葛野麻呂が密通しているなんて!


それは、すっかり秋が深まった日の朝のことだった。侍女たちが朝餉の膳を片付けているところに

嘉智子、嘉智子はおるかと夫の神野親王が探している声を聞いて嘉智子が「はい」と振り向いた途端、

体がふわりと浮いて嘉智子は夫に抱きあげられていた。驚きながら前を開ける侍女たち、制止しようとする命婦、黒塗りの蔀戸、渡り廊下、庭に用意されている馬と目まぐるしく風景が変わっていく…

気が付いたら嘉智子は騎乗して神野の首にしがみついて、内裏から外へ馬で疾走していた。

恐い…でも、風が顔に当たってなんて気持ちいいのでしょう!

「親王さま、警護つかまつります!」

と馬で追って来た若者、藤原三守が神野に並走するとこちらに向かって叫ぶと、

神野は巧みに手綱をさばきながら「ああ頼む」と白い歯を見せて笑った。

やがて神野が馬を止めた場所は、秋草に降りた露が朝陽を受けて輝く野原だった。

神野と嘉智子は野に降りて、緑の野に珠が連なるような美しい光景にしばし言葉を忘れた。

「どうだ?」

「美しゅうございます…」

「どうしてもあなたにこの眺めを見せたかったのだ。今しかないと思って」

今しか?と嘉智子が神野にけげんな顔を向けると、神野は嘉智子の手を取って自分の左胸に当てた。

「年が明ければ私は父上のお傍について政務に関わる事になる。こうやって二人で外に出る機会はもうないだろう…

だから、私が最も美しいと思った景色を、あなたに見てもらいたい。

美しいと思った調べを、あなたに聴かせたい。

美しいと思った言葉をあなたに囁きたい。

これが、私の真心だ」

その言葉を聞いた嘉智子は心の中にちょうどいま陽の光に照らされて露を乾かしていくこの野のように温かな幸せが広がっていくのを感じた。

わたくしも、とほとんど泣く寸前の声で嘉智子も神野の手を取って自分の左胸に押し当てた。

若い二人は、輝く野の中でしばらく無言で見つめ合った。

今このひと時は、やがて訪れる試練と困難だらけの人生を送ったこの夫婦に与えられた、束の間の安らぎだったのかもしれない。

その夜、桓武帝は神野親王をきつく叱った後退出させて、

果たしてあの子は本当に戒明の言った通りになるのだろうか?

と常人に視えないものが視える心眼を持った戒明の言葉を思い出していた。


「これは瑞兆でございます。

神野親王さまが肩に留めておられる鳥は

鳳凰と呼ばれる伝説の聖鳥でございましょう。

春秋時代の書籍では聖天子の登場を待って現れる瑞獣の一つとされます。

鳳凰は、霊泉だけを飲み、六十年から百年に一度だけ実を結ぶという竹の実のみを食物とし、梧桐の木にしか止まらないといわれております」

「戒明、お前と朝原の視た鳥がまこと鳳凰ならば」

「はい、神野親王様はこの国に光をもたらすべくお生まれになられた、百年に一度の聖太子。
新都平安京を百年どころか千年の都に栄えさせる名君になるやもしれませぬなあ」

と言って戒明は笑っていたが、本当にあの子が、なあ…


年が明け、神野は17才で三品中務卿(さんぽんなかつかさのきょう)となった。

中務卿とは天皇の補佐や朝廷に関する職務の全般を担う中務省の長官のことであり、後に千年の都となる平安京を拠点としたこの国の政治、文化、思想の礎を築く一歩を、

この若い皇子は今まさに踏み出したのだ。
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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