第119話 朔日の色

文字数 5,724文字

その皇子は
自ら皇族に生まれる事も
長じて親王として遇される事も望んではおらず兄帝に臣籍降下を願い出たけれども

「式家出身の夫人、藤原旅子を母に持つお前を皇族から外すわけにはいかない」

とかなり厳しめに断られ、臣下というただ人になって自由になるという唯一の途も断たれた。

ならばいち親王として静かに暮らしていればいいさ。

と思って与えられた務めをこなして過ごしていたら二人の兄たち、平城上皇と嵯峨天皇の間に諍いが起こった。

敗者となり出家に追い込まれた平城上皇の皇子高岳親王が廃太子にされ、他に相応しい皇子が居なかったので彼が皇太弟になる他無かった。

なので

この台に置かれた剣と勾玉と玉璽の入った箱を受け取れば自分はこの国の天皇になるのか…

と目の前で行われる践祚(せんそ)の儀が近臣たちによって滞り無く行われるのを見て大伴親王は、

本当は天皇になんてなりたく無かったのに。

と心の中の翳りを緊張した面持ちの下に隠しこの人生の一大事を迎えていた。

でも仕方がない、
我が子たちは皇位継承の列に加えぬ。
我が身は甥の正良親王が大人になるまでの繋ぎだと思って務める。
という条件を不遜にも兄嵯峨帝に呑んでもらったのだ。

それに…
ひと目見た瞬間から狂おしいほど焦がれたあの色を手にする為に。

と自分に言い聞かせ大伴は「あの色」を瞼の裏に思い浮かべて心を湧き立たせる。

「践祚の儀、執り行われました」
と近臣の清原夏野が告げた瞬間、大伴は天皇となった。

弘仁十四年四月十六日(823年5月29日)

淳和天皇(じゅんなてんのう)即位。

即位礼の後の朔日(さくじつ)(月1日)、(おほきみ)のお顔はいつになくにこやかであられたな…

と不思議に思ったのは淳和帝即位に伴い天皇の護衛である左近衛少将に任ぜられた藤原吉野。
彼は践祚からずっと浮かない顔をしていた淳和帝が黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)をお召しになられた時は上機嫌になったのでさては、と思い。

「まさか黄櫨染の御袍を着たかったから即位を引き受けた、という訳ではないでしょうね?」

と二人きりになった時思い切って質問をぶつけてみたら「…ここだけの話にしておくれよ」と御年三十六の帝は少女みたいに顔を赤らめたのでやはりか!と吉野は口元に拳を当てて笑いで吹き出しそうになるのを堪えた。

「可笑しいか?笑いたかったら笑うがいいさ」
いやあ…と吉野は首を振りながら「さすがは着道楽の帝らしい、と思ったまでのこと」と言って笑いを収めるとそれ以上この話題には触れなかった。

嵯峨帝が詔により、朔日や聴政、外国からの使節を受ける際や、奉幣、節会に際して天皇の着用する服を「黄櫨染衣」と定めたのは弘仁十一年二月一日のこと。

その二年前、朝議に空海をお呼び出しになられた嵯峨帝は
「空海、お前は唐長安城で皇帝に謁見したそうだがその時の皇帝の服の色は?模様は?」とお聞きになられたので空海は

「は、我が憲宗皇帝に謁見した際の皇帝のお召し物は黄色の衣に青龍の文様をあしらった袞龍袍を着用しておられました」

と自分が思い出したままの皇帝の服装を答えると嵯峨帝は重ねて「唐国では黄色は皇帝しか着てはならぬ絶対禁色なのだな?」とお聞きになる。

「…は、お付きの宦官具文珍どのよりそう教えていただきました」

そうか、と嵯峨帝は御椅子の上で含み笑いをなさり、

「これより絶対禁色(ぜったいきんじき)の天皇の袍を新調することに致す」

との勅をお出しになられた。
その場にいた参議たちはとうとうこの時が来たか、と思った。
実は即位礼や朝賀の正装である冕服(べんぷく)が老朽化し、その作り直しに最低でも二年はかかるので正式な天皇の御袍を新調する必要がある。

と問題視し折に触れて奏上していたのだ。
わざわざ阿闍梨を呼び出しての質疑応答には、決して唐国の真似ではない意匠を凝らした新しい御袍でなくてはならない。という帝の強い意志がこめられている。

こうして長年天皇の衣装係を務めてきた女御で嵯峨帝の妻、百済王貴命(くだらのこにしききみょう)をはじめ天皇の儀式用の装束を作る縫殿寮(ぬひとののつかさ)、文様の考証係に陰陽寮などが加わり、

この世に一つしかない天皇の御袍作りが宮中を挙げて行われた。

まずは
「黄色に土色を混ぜた色がよろしいかと存じ上げます、と。
土は中に居り、以って四季を(つかさど)り、四時を成します」

と陰陽頭が進言し、貴命は太陽の色である黄色と土色を混ぜた色を何度も染色し、夫が満足なさる色見本がなかなか作れず彼女は寝るのも惜しんで染色に腐心し爪先を茶色に染めた。やがて(はじ)の実と蘇芳から染色した色見本をご覧になった夫から

「これだ!このくすんだ朱色なら黄丹袍(おうにのほう)より若々しくなく後の世の年振りし天皇にも似合う色…貴命、よくやった」

とお誉めの言葉を戴いた時、貴命は御子を授かったときより嬉しい、とその場で涙ぐんだ。

生地の色が決まったら次は文様である。
嵯峨帝は迷わず桐竹鳳凰麒麟の文様を生地にを入れる事を決めていた。

あなたさまが肩に乗せていらっしゃる輝く鳥は何なのですか?

と親王だった昔、ある老僧に云われた事がある。
些細な事だがその鳥は鳳凰ではなかろうか、と長年心に引っ掛かっていたのだ。大陸の伝説の瑞獣、鳳凰に関する文献を調べ

鳳凰は霊泉だけを飲み、六十年から百年に一度だけ実を結ぶという竹の実のみを食物とし、梧桐の木にしか止まらない

という記述から鳳凰を呼ぶ桐竹。その根元には太平の世にしか現れないという瑞獣、麒麟の図案を何枚も絵師に描かせ
「うん、これだ」と二本の桐竹の上に二体の鳳凰、根元には二体の麒麟が相対している図案を採用なされた。

初の勅から二年近くかけて完成した弘仁十一年ニ月一日(朔日)。

御自ら黄櫨染御袍をお召しになった嵯峨帝は近臣たちにお披露目なさり、

「これよりこの黄櫨染御袍を天皇の装束とする」という詔を出された。

朔日のお披露目に呼ばれた空海はこれこそ大陸のやり方に倣ったようで実はそうではない日の本独自の天皇の装束や…!とほう、とため息をついて感嘆し、

空海の隣でその御袍を見ていた大納言、藤原冬嗣は昔、夕立ちに濡れて佇んでいらしたこの御方に雨避けの衣を渡した時の事を思い出していた。

そうだ、あれは桓武帝崩御の直後で真っ赤に染まった空から雨が降り、まるで天が血の涙を流しているかのような光景だった。

俺はあの時、

春宮(ひつぎのみこ)さま、どうぞ…」

と初めて神野親王に声を掛け、親王さまは渡された白い(きぬ)(かづ)いてその衣が紅い光に染まってまるで天から与えられた朱の衣を纏っていらっしゃるように見えたのだ。

これこそ、天がこの国の主にお与えなさった朔日の色…

淳和帝に譲位後、嵯峨上皇は主だった妻子を連れて冷泉院にお移りになり、

「退位して残念なのはあの黄櫨染袍に二度と袖を通せなくなった事だよ…私よりも大伴の方が似合ってるのが悔しい!」

とこぼして皇太后になった妻、嘉智子と周りの宮女たちをを呆れさせた。
 
この年の朔日に禁色となった黄櫨の色は、千二百年後の世にも永く受け継がれる。

若葉が雨露に濡れる季節、九条にある泰範の妹の家を訪れたのは嵯峨帝退位に伴って引退を願い出、今は一院に閑居(隠居)している藤原三守。

「自分が年を取ったと思ったらさっさと引退してしっかりした若者に後を任せるがいいのさ」

と長年の宮仕えから開放されてさっぱりした顔の三守は貴人の来訪に畏まる泰範に向かって、
「ところで天台宗からの誘いを断ったそうだね」と穏やかな笑みのまま聞いた。

一年前、比叡山にいた頃の同門の弟子であった光定(こうじょう)が最澄の訃報を知らせにこの家を訪ねて来た。

泰範より二つ年下の光定は小柄でふくよかな体つきと丸っこい目鼻立ちをした愛嬌のある外見と生来の喋り好きで人嫌いの最澄に代わって朝廷や東大寺との交渉役を長年務めてきた。

「とまあ、師匠の最期のお言葉は『一隅を照らして傍にいる者から救え』と…最初の理想とは真逆の結論でしたね」

「和尚なりの悟りを得て逝かれたのではないか。と私なりに思っています」

光定は比叡山にいた頃、泰範と最も心安くしていた僧侶である。新しく天台座主になった円澄が光定を差し向けて来た目的は既に解っている。

やれ戒壇の設立に忙しい、だの義真どのは張り切っている。だの比叡山での近況を語る光定に向かって泰範は

「この際ですが私に天台宗に戻る意志はありませんよ」

ときっぱり告げた。

うん、うん。と得心してうなずいた光定は

「やっぱりそうでっしゃろな」

と自らの剃髪をぺちん、と叩いて笑い、これ以上勧誘の話題には触れなかった。

天台宗に密教を取り入れる事に執心した最澄の遺志を継いだ円澄が阿闍梨号まで得た泰範の引き抜きに動くのは無理からぬ事。

だが我が空海阿闍梨に弟子入りしてもう十年。我の心が動く事などあろうか。

「ほな達者でな」
と爽やかに笑って去る光定を見送った。

「あの人たらしの光定がお前の引き抜きに失敗したとはねえ」
 
話を聞いた三守は腕を組んで思案顔をし、何でこの場末の九条の家に三守どのがいらっしゃったのか?と疑問に思っている泰範に文箱を手渡した。

「東寺での学舎建設が進まないと聞いて居ても立っても居られずに来た」

許可を得て泰範が箱を開けると中には三守所有の左京九条の別荘を寄進する旨の文書が全て揃っていた。

例え庶民でも学ぶ気があれば身分を問わず全ての学問を学べる大学を作る。

それは空海の理想で悲願でもあったが土地も木材も確保できず計画が宙に浮いている
のが現状だった。このような時になんと有り難い救いの手か!

「これは藤の三守による私的な寄進だ。隠居の身である今のうちに済ませといた方がいいと思ってね」

と言って三守はぎゅっと片目を瞑った。

この時三守が寄進した家屋敷を丸ごと使って開かれた学舎がこの国初の私立大学、綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)となる。

ちょうどその頃、妹夫婦に耳寄りな報せを持って阿保親王邸を訪れたのは田辺牟良人(たなべのむらと)

彼は今や八面六臂の美しい仏像を作る仏師として活躍し、東寺の仏像製作の為に都に常駐している。

「つい先月唐商の船でこの国に入ったばかりの胡人の一家が今度西市で店を開くそうだ。俺たちと同じ拝火教徒の仲間かもしれない…是非とも会ってみる価値はあるっ!」

義弟の騒速に興奮気味に語る牟良人の後ろでは妹のシリンが廊下をどたたたっ!と走り回ってすばしこく逃げるみずら頭の童子を追いかけている。

「んもうっ、行平王(ゆきひらおう)さま!観念なさって下さい」

と阿保親王の長男で今年五歳になる行平王の胴体を膝で押さえつけ、

「やだやだ、爪切りやだー!」 

とみずらを振り乱して叫ぶ行平王のお手を掴んで「貴人の身だしなみはまずお手元からですからねっ!」と叱りつけて手早く主のお子様の爪を切り始める妹を見ていた牟良人は…

「いくらシリンが行平王の乳母といっても、あれは皇子さまに対して荒っぽくはないか?」

と真顔で騒速に向き直り、子育ては厳しくが信条の妹だが皇族に無礼を働いていつ責めを負うかわかりゃしない。と本気で心配した。

「よいよい、行平はちと元気が過ぎるからシリンどのに躾けてもらうぐらいが丁度よいのだ」
 
そう牟良人に声を掛けたのはこの邸の主で行平王の父、阿保親王。

三年前、嵯峨帝の鷹戸(たかかいべ)(鷹匠)として都に呼ばれた騒速一家は慌てて紀伊の里から都に出てきたもののなかなか空いた家が見つからず困っていた所を以前仕えていた阿保親王が

「それなら我が邸に住んではくれないか?ちょうど信用出来る用人が欲しいと思っていたところだ」

と声を掛けて下さり、一家は有り難く阿保親王邸の用人として住まわせて頂く事になった。

こうして阿保親王と賀茂騒速は再び主従関係となった。

その頃阿保親王は侍女との間に待望の第一子、行平王を授かっておりまだ二歳で何から何まで手がかかる行平王の乳母役をシリンは仰せつかった。という訳だ。
 
都に来たばかりの頃は頻繁に嵯峨帝が鷹狩りにお出かけになるので目が回るほど忙しかったが、今度の帝は狩りよりも文物を好まれるお方。当分は暇だろうなあ…

と思っていた頃に降って湧いたような胡人一家の来日の報せである。

「その一家に会ってくるが良い。そして彼の者らからの異国の話を聞かせておくれ」

嵯峨朝から淳和朝からへと滞り無く御代替わりし変事のない平穏な世が十四年続いている昨今、阿保親王も刺激を求めていた。というところか。 

当時、平安京の官営の市場は東市と西市に限定されていた。 

毎月一日から十五日まで東市、十六日から月末まで西市が開かれ、日用品や衣類等の買い物は全てそこで調達しなければならない。

市の客は貴族家の使用人がほとんどで主から必要な品を言い付かって買い付けに来るのである。

現在の平安京右京七条二坊四町辺りで西市は開かれそこには干した魚や肉、野菜などの食糧は勿論、中には唐渡りの香辛料や薬草、化粧道具など珍しい品物を売っている店もあった。

騒速とシリン、そして義兄の牟良人は商いをしている渡来人の店何軒かに胡人の商人はいないか?と聞き込み調査したところ、

「そういえばここから三つ先の織物を扱っている店の主は胡人だと聞いた」

と有力な情報を得、件の場所で織物を並べる青みがかった褐色の肌の男女を見つけた。男の方は黒い口髭をたくわえ、女の方は頭部に薄い白絹の衣を被っている。

どちらも顔の細部の造形がはっきりした整った顔立ちをしている。騒速たちが「あのう…」と声をかけると男の方がまずは顔を上げてにこりと笑い、次に牟良人とシリンの容貌に驚いた。

「この国に来て金髪碧眼の人を見るとは!さてはあなたたち胡人か?」 

そうだ、と牟良人が胡語で答えると商人の男は辺りを伺い、着衣の衿をめくって見せたのは…拝火教徒が生涯身に付けるべき肌着と輪の文様をした首飾り、プラヴァシ。
 
─とうとう見つけた!

牟良人と騒速が男の前で衿をめくって同じものを付けているのを見せると彼は胡語で女性を呼び付け「見てみろ、プラヴァシは実は鳥だったんだ!(いにしえ)の拝火教徒は生き残ってたんだ!」
と喜色満面にして騒速と牟良人に抱きつき

「同胞よ…」

と胡語で囁いてからしばし嗚咽した。

昔、この世で最初の祈りの教えを受け継いだ白い肌の子孫と褐色の肌の子孫が遠い異国の島国の道端で出会った。 

シリンも褐色の肌の夫人と抱き合いながら強く祈った。

たとえこの先何があろうとこの世の数多の人々の行く先に、

光あれ。








 








    





































  
 





 
 

 


 












 



































 


















 













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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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