第46話 大日の幻

文字数 4,489文字

密教とは何か?

それは「秘密の教え」の略語で
金剛頂経と大日経(大日経を取り入れたのは恵果)を教本とする、

「実は大日如来が釈迦に教えを授けたのであって、釈迦の悟りも元からあった宇宙の摂理に気づいたからだ」という内容の天竺生まれの仏教である。

その伝え方は師が教えを受ける準備が出来た弟子を選んで秘伝を授けるため、秘密の教えと言われた。

何故秘密にするのか?
それは、真言や手印、加持祈祷の修法一つ一つが強い効力を持つが故にきちんと修行をしていない者がそれを受けとるのは、非常に危うい。とされたからである。

しかし秘密主義の一方で在家の信者たちには加持祈祷という形で行者が仏に向かって祈り、信者の願いを叶えてきた側面もあるため、

神秘性が強いが、現世利益をもたらすなんだか妖しい呪術を使う宗派。と

密教は長年誤解されてきた。

「今より、この空海をわが後継者とし、密の教えを授ける」

と青龍寺の門をくぐった時からにこにこ笑って空海の手を握って離さない恵果は、本堂に集まった弟子たち全てにそう告げるとすぐに

伝授のための道場の支度、
画家を集めて金剛界、胎蔵界両曼荼羅の書写、
仏師を集めて仏像の設計図の複写、
法具職人を集めて新たな密教法具の作成、を弟子に命じて使いに出させると、

最後に書の達人柳宗元にできるだけ書学生を集めて経典の書写に当たらせたい。これは恵果の一命をかけた頼みである。という内容の文を送った。

たった一言で、都じゅうの職人と芸術家を動かせるこの恵果さまとは…一体何者なのか!?

と初めて密教の寺を訪れたばかりの空海は自分の手を握って楽しそうに青龍寺の内を案内して回る老僧の権力行使を目の当たりにして戸惑いながら、やがて一つの像の前で急に立ち止まった。

「なんて激しい仏なんや…!」

両目を見開き、上唇で下唇を噛む憤怒の形相。右手に剣、左手に羂索(けんさく)(悪人を縛る縄)を持ち燃え盛る炎を背負う異形の像に空海はすっかり吸い寄せられるように一歩近づき、手を伸ばした。

「そのお方は仏ではなくて明王だよ。不動明王。梵語でヴァチャラナータ、人々の悪心を調服する役割を持つ」

と説明しながら恵果が不動明王像を見上げると突如、美しい紅い焔が明王像の全身から発せられ、空海を包む蒼い焔も伸ばした手の辺りから明王像に向かって二色の焔は中空で溶け合った。

それはまるで空海と不動明王が互いに探していた己が半身とめぐり逢い、歓喜の握手をしているような光景のように恵果には見えた。
「なんや…自分の心の姿に出会ったような気がします」と言って空海は涙ぐみさえした。

不動明王と呼応し合っている…!つくづく面白い子だよ。と恵果はほくそ笑み、早速自室に招待してから
「今日から道場に入って伝授の行に入るから今のうちに食べておきなさい」と一緒に食事を摂りながら

「25年前に一人の遣唐使僧がこの青龍寺を訪ねた。
そのお方は体力も気力も知識も我が密を受けるに相応しい器を持っておいでだった…が、私は『あなたではないのです』と追い返してしまい、きょう貴方に会うまでそのことを後悔しつづけた、その僧、名を戒明という」

と戒明和尚とのことを打ち明けた。

「なんと!戒明さまはわしを仏道へ導いてくれた師です。が、青龍寺でのことはいっこもお話にならずに逝かれました」

と口中の飯を呑み込んでから空海は驚き、大学寮を出奔して山中をさすらっていた時の出会いから唐語、漢詩、あらゆる経典を読ませてもらったこと、さらに自分を遣唐使に押し上げるために力を尽くし、

空海の受戒と遣唐使決定を見届けたその日に世を去った戒明和尚のその後の人生を恵果に伝えると、恵果は

「そうであったか」と溢れて来る涙を巾で押さえた。

帰国後はさぞご出世なさっているだろうと思っていたが、

まさか、持ち帰った経典が原因で失脚なされて山中に籠っていらっしゃったとは…!

さぞかしご無念だったことでしょう、しかし、あなた様はご自分の全てを注ぎ込んで育てた弟子をこうして私の元に送って下さった…感謝します。

「実はあの時、足りなかったのは戒明和尚ではなく私の方だった。

私の大日経の解釈を絵画に表した胎蔵界曼荼羅…まだそれが完成していなかったのだ。
与えるものを持っていなかったのは、私だ。

金剛界と胎蔵界の両部曼荼羅が完成し、時が満ちて空海、貴方が来た。そういうことだ」

食事が終わると恵果は道場を担当する僧たちに空海を託して着替えさせて伝授の支度をさせるよう命じると、

「さて…いい加減聞き耳を立ててないで出ておいで。我が優秀な弟子たちよ」

とぽんと手を打つと扉の外側から両部灌頂を授けた義明(ぎみょう)をはじめとする5人の阿闍梨たちが皆、何か言いたげな顔つきをしながら入室してきた。

「言いたい事は解っている。青龍寺の僧ならともかく、なぜわざわざ異国に帰る予定の僧を後継者に選んだのか?であろう」

畏れながら、と前に進み出て合掌した義明は

「私は病身ゆえ、選ばれないであろうことは解っておりました…恵日(けいじつ)に命じて留学僧空海を探らせたのは私です。どうかお許しを」

と血の気の薄い顔で詫びた。合間合間で空咳をする義明に恵果は

「秘法伝授は与える方も授かる方も命懸け。義明よ、私はお前が可愛いから無理をさせたくないのだ」と慈しむ口調で説いて聞かせた。

はい、はい…と大きな目からはらはらと涙をこぼす義明のうしろで特に不服そうな表情を浮かべているのは金剛一界を伝授した義円と胎蔵一界を伝授した辨弘(べんこう)

どちらも今日いきなり寺に来た異国の僧に追い抜かれるなんて、努力して阿闍梨にまで上り詰めたその矜持が挫かれているだろうな。と恵果は苦笑いしながら5人の阿闍梨たちとそれぞれ目を合わせると、

「先程の話を聞いていたお前たちなら解ってくれるだろうが、私と空海とは並々ならぬ縁を感じるし、わが師不空様の遺言どおり一目会って不空様の生まれ変わり、と判断して後継者に選んだのだ。
しかし、この国での密の教えの行く末を心配するお前たちの気持ちもわかる。故に、もう一人ここで後継者を指名する。私の従者、義操を空海と共に両部灌頂させる!」

五人の阿闍梨たちは一斉に恵果の後ろに控えている褐色の肌をした青年僧に注目した。彼の名は義操(ぎそう)

天竺人と唐人の混血で4才の頃、「この子、醴泉寺に捨てられていたんだがお前の弟子にどうか?」と牟尼室利三蔵(むにしりさんぞう)によって連れて来られ、青龍寺で仏門に入って25年恵果の従者を務めて来た若者である。

ことし29才になる義操は尊敬する師にいきなり後継者にに選ばれて顔中に脂汗を浮かべて、とととととんでもないっ!とぶんぶん首を振り、

「尊敬する阿闍梨様がたをいきなり追い越すなんて…拙僧はまだまだ修行が足らぬ身ゆえ」と固辞しようとしたが、

「25年私の傍に仕えていつもそばに居て、私の説く教えを肌から吸収するように聞いてきたお前こそ今後の青龍寺を背負うに相応しい、と私は思うのだが、どうかね?」と恵果は5人の阿闍梨たちに問うた。

確かに、自分たちよりも長い期間恵果和尚に仕え、若く健康な義操なら。

と阿闍梨たちはそれぞれの顔を見合わせ目顔でうなずき合った。それでも、と声を上げて己が疑念を口にする僧が居た。
阿闍梨たちの中でも一番若く、探りを入れている内に嫉心に近い感情で空海を意識するようになった恵日である。

「それでもあの空海に教えを授けるつもりになられたのは、何か特別な意図がおありではないのですか?」

叱責を覚悟で口に出さずにはいられないのは若さゆえだろう。

「私はもう長くは生きられない。生き物は死ぬし、建物も朽ちる。そして、国だっていつかは滅ぶ。この青龍寺も100年先まで安泰と思うか?」

いきなりの恵果の不穏な発言に、阿闍梨たちは一斉にどよめいた。

お聞きなさい、私の優秀な弟子たち。

この長安での密教は戦乱と壊滅状態の都の灰塵の中から生まれたようなものなのだ。

50年前、一人の密教僧が子連れで長安入りした。

密教僧は褐色の肌に緑色の瞳。彫りの深い顔に顎ひげをたくわえた異相の50男で煤けた僧衣を纏ったその姿は、どこぞの荒くれ坊主そのものだった。

そのお方は安録山(あんろくさん)の乱によって廃墟だらけとなった都の風景を眺めるなりこう仰ったものだよ。

「まあったく、朝廷軍も惰弱で敗北し、玄宗皇帝にも逃げられた都なんて都じゃねえよ。
神も仏も自殺しちまいたくなる位の酷い世の中だよなあ?恵果。お前、この光景忘れんじゃねえぞ」

そう、その密教僧こそ不空三蔵様。バラモン階級の王子に生まれながら早くにご両親を亡くし、母方の叔父に引き取られてバラモンの呪法を授かり、14の時出家して金剛智三蔵さまより密教を継承された私の師だ。

父玄宗皇帝を退位に追いやった粛宗皇帝の命を受けてまだ10才だった私を連れて大興善寺に戒壇を設けて調伏の修法を行ったのだよ。
「なあに一年すれば戦はおさまるでしょう」と不空様は皇帝にそう断言して連日連夜命懸けの修法を行い、そして本当に戦はおさまったのだ。

皇帝は不空様に大層感謝し、国師(皇帝の師)の諡号をお与えになった。

勝手に皇帝陛下がお逃げになり
勝手に安録山が死んで
勝手に皇帝陛下がお戻りになった
そう言う事だよ

だが恵果、忘れんじゃねえぞ。人間ってのは5、60年で安閑な世に飽きて自ら暴れ出して戦乱を起こす獣よりも酷い生き物だ。
忘れた頃に戦と滅びは必ずやって来る。
だからお前たち若い世代がよほどしっかりしてなきゃ駄目なんだよ。年寄りは愚痴だけ垂れて世を呪って死んでいくからなあ。

「私は不空様のお言葉を胸に弟子たちに教えを説いてきたつもりなんだがな、この前皇帝陛下に謁見した際、
ああこの国はもう駄目になったのだ。とつくづく思った。
順宗皇帝は病でお倒れになり言語不明瞭。
すべての勅命は宦官を通して下されている。
あれは一服盛られたね…皇帝が宦官の操り人形にされてはもう朝廷は終わりだ。専横が始まり、国政は乱れて不満を持った民がまた暴れ出す」

滅びの足音が聞こえる。

それは、心ある者は既に肌身に感じている大唐帝国の腐敗と衰退。何十年後か、あるいは数年後か。国の滅びは気が付いた時にはもう始まっているのだ。

ここまで師の話を聞いた阿闍梨たちは恵果の意図を十分に理解した。

「つまり恵果さまがなさろうとしている事は…密の教えを空海に株分けし、異国の地で根付かせようと?」

それは将来、青龍寺が廃墟と化しこの国での密の教えが途切れた時の保持手段ということか!


「その通りだ恵日。お前はあわて者だが、聡いな。西明寺の談勝と志明には私からも謝罪した故」
と悪戯っぽく笑う師の前で恵日は、何もかもお見通しであられたか…と耳まで赤くした。

「というわけでお前たちの灌頂は義操によって行われるであろう。異論はないか?」

恵果の言葉に皆頭を垂れて沈黙し、諾とした。

その後恵果は道場に籠り空海に付きっ切りで秘法の伝授を行い、空海も師の教えを砂が水を吸うように身に付けて行った。

「それはまるで、恵果さまが己が血も肉も精神も全て空海どのに注ぎ込むような光景であったよ」

と道場で伝授を見守っていた義操は、その様子を後々まで弟子たちに語り継いだ。
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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