第26話 勤操と徳一

文字数 6,069文字

空海の師として後の世に知られる勤操(ごんぞう)は、渡来人系豪族の秦氏出身である。

しかし生まれて間もなく父は死に、地方豪族の嶋史氏(しまのふひとし)の母のもとで育ったが12になった頃、大安寺に連れて来られた。

「夏には会いに来ますから」と、最後に一瞬だけ強く抱きしめてくれてから母は寺を去った。

以降、母が大安寺に来ることは無かった。うわさでは別の豪族の男と再婚したと聞く。

三日後、息子は「勤操」という名を新たに与えられ、剃髪して大安寺の見習い僧侶となった。

不思議なことに勤操は母に何の恨みも持たなかった。女手一つで子を育てるのが負担になった母親が息子を寺に置いていくのはよくある話だし、野山や道端に棄てられて獣に喰われたり人買いに売られる子よりはましな方だ、と勤操はあまり抵抗もなく自分の運命を受け入れた。

勤操が寺に入って三年後、ある童の子守を任された。この時勤操15才、ちょうど新入りの童に寺でのしきたりや礼儀作法を躾ける係になっていた。また食い詰め豪族のせがれが来たのだろうと思った。

しかし、その童との出会いから何から、全てが異様だった。と勤操は今でも思う。

自分に童を預けた僧侶は瑠璃色の瞳をしていてこのお方は本当に人なのか?と思ったくらい美しい顔立ちをしていた。

僧侶の膝の上で4,5才くらいのその童は眠っていた。肩まである豊かな黒髪。子供にしては整った上品な顔つき。高価な衣を着せられているので貴人の出の子かもしれない。

この子は訳ありや。と勤操は直感した。
でなければわざわざ真夜中に東大寺の奥の奥の部屋まで大安寺の見習い小僧である自分を呼びつける筈は無い。

「とりあえずここでいい、と言うまでこの子の世話をしてくれないか?」
と僧侶に言われ、勤操は10日以上は童の面倒を見たと思う。

その子から目を離してはいけない、決して部屋から外に出てはいけないと命じられた。

食事や着替えの衣など必要なものは決まった僧が運んできてくれたのでこれほど楽な子守のつとめは無かった、が、夜中に必ず童は起き出し、火が付いたように激しく泣くのだ。

幼いながら、余程恐ろしい目に遭ったのだろう。勤操は毎晩、童の背中を撫でながら自分が母から聞かされてきた昔ばなしをするのだがやがて話の種も尽きて、何故か自分は童相手に、大陸から来た渡来人、秦一族の由来を語っているのであった。

「大和の隣の山背の国に、広隆寺というお寺がある。
あれはわしのご先祖の秦河勝(はたのかわかつ)さまが建てたお寺でな、完成した時に絹の織物をうず高ーく積み上げて寄進したことからあの地域は太秦(うずまさ)と呼ばれるようになったんや。
秦一族はそれだけ金持ちやったっちゅー話なんやがあれから150年…秦氏は落ちぶれて普通の豪族よ。今はもう藤原ばかりが威張りくさる世の中になってしもうた。なんや、寝てもうたんかい」
と自分の隣で寝入った童の頭を撫でて、

なあ童、ここに来たからにはお前も坊さんになるんやろうな。どこの生まれかは知らんが出家してしまえばみんな同じ仏弟子や。
「坊さんになったら秦も藤原も関係ないのや」とつい口に出して言ってしまったのは、自分に言い聞かせたかったからかもしれない。

ある夜、勤務は僧たちが何人か集まって声をひそめて恐い顔つきで話し合っているのを偶然見てしまった。
(あの子の父はあまりにも多くの者を殺め過ぎた…)
(家族はほとんど殺されてしまって他に引き取り先も無いのです。あの子の母も斬殺されました)
(女帝は赤子に至るまで根絶やしにしろと仰せになっているとか)
(馬鹿な…とてもご正気とは思えぬ!ご自分の従兄弟で忠臣だった男をようもああ平気で棄てられるか?)

「男を替えたからでしょう?そしたら前の男なんて踏んで始末したい虫ぐらいにしか思ってませんよ。女人とはそういうものです」

あの碧眼の僧侶が皮肉そうな笑い声をたててくっくと肩を揺すった。

「親の罪のせいで幼子まで殺される非道がこれ以上あってはならない…まあ任せなさい、この身を張ってでもあの子は守ってみせる」と一番高齢の僧侶が碧眼の僧に目配せをし「また難しいことを頼むが」と済まなそうに語尾をすぼめた。

「御意…人たらしの術なら拙僧にお任せを」そこで会話が途切れた。

やがて僧たちが散会したので急いで戻って童の隣で寝たふりをしている勤操に近寄る気配があった。

「さっき聞いたことはすべて忘れるのだ、秦河勝の子孫よ」

と忠告をした声は、やはりあの碧眼の僧侶のものだった。自分の愚痴も全部聞かれていたのか!

勤操は不穏な談義を聞いてしまった恐ろしさと自分の言動が筒抜けになっていた恥ずかしさでますます身を強張らせて童を抱き寄せて眠った。

翌朝、勤操が童に朝餉の世話と着替えをさせるとそれを待って部屋に入って来たのは昨夜の老僧だった。

「さあさ、あなたはこの寺の子になるのですよ」と老僧は童の手を取り、勤操に向かって「ご苦労だったね」とずしりと重い布袋を渡してから弟子たちにかしずかれて別室へと消えた。

中身は十中八九金だろう。が、子守の報酬にしては多すぎる金額だ。

程なく師の善議和尚(ぜんぎおしょう)が勤操を迎えに来たのでああ、自分の役目は終わったんやな。でも…

あの子もまた、豊かな黒髪を剃られてしまうのか。といたたまれない気持ちになったのを勤操は今でも覚えている。

老僧の正体は東大寺の初代別当、良弁僧正(ろうべんそうじょう)。碧眼の僧は実忠(じっちゅう)といい、胡人(ペルシャ人)の子孫だという。
どちらも仏教界の最重要人物である事を知ったのは、五年後、自分が正僧になってからの事である。

それから33年後の延暦21年(802年)冬の終わり、高雄山寺。

和気広虫三回忌法要を終えた僧たちはひと仕事終えた、といったゆるんだ表情で講堂からぞろぞろ出て、各々の寺に帰ろうと歩みを速めていた。

「ちょう、徳一はん」と柔らかい口調で呼びかけられて振り向いた徳一は、いきなり懇意にしていた勤操和尚の頭突きをもろに食らう破目になった。
鼻の中央から両目の後ろを通って激痛が脳天にまで突き抜ける。
後ろに倒れそうになるところを徳一はなんとか踏みとどまり、あふれ出る鼻血を手で押さえながら「勤操和尚…何でや?」と問うた。

「あんた、講話の最中に天台の最澄に喧嘩吹っかけたやろ?あの騒ぎのせいで後の講師の面目丸つぶれやないかい!」

ああ、最澄の次の講師は確か勤操和尚だったな。鼻血がこぼれ落ちて袈裟に赤い染みが広がる。

これ新調したばかりなのに…そう思うと肚の底から急速に怒りが沸いた。

「はんっ、しょーもなっ!」と呟き袈裟と数珠を弟子に預けると徳一は身を屈めて素早く勤操の懐に入って固めた拳を勤操の下っ腹に三度、叩きつけた。

「結局は自分の講義誰も集中して聞かへんかったから私に八つ当たりかい?これだから年寄りは」

悶絶する勤操に向かって徳一は笑って軽蔑に満ちた台詞を吐き棄てた。

年寄り、とは聞き捨てならん!

()るか?若僧」痛みに耐えて勤操は徳一の胸ぐらを掴む。

とっくに喧嘩売ってるでしょうが…と徳一は思ったが「相手に不足なし」という徳一の答えを合図に三論宗勤操と法相宗徳一の高僧同志の殴り合いの喧嘩が始まった。

あまりの出来事に周りの僧侶たちはぽかんとしていたが高齢の僧侶が「あの二人を止めろー!!」と指示したのでやっと我に却り、二人の喧嘩に割って入った僧侶数人が、
逆に荒行で鍛えた勤操と徳一に振り落とされ、廊下から外に転がされる始末。結局大勢の僧たちが二人を押し包んで諍いを止めるまで四半時掛かった。

南都六宗の恥にもなりかねないこの騒動は、もちろん公には記載されていない。

東大寺二月堂のやたら薬草臭い小部屋の奥で、ひとりの老僧が指先で器用に丸薬を拵えている。
齢70をとうに過ぎているのに整い過ぎた顔立ち。その瞳は深い瑠璃色をしている。

老僧の名は実忠。東大寺権別当という職にあり奈良仏教界では大僧正よりも権限を持ち、功労者過ぎて朝廷も迂闊に手を出せない存在となっている。

「まあ座りなさい」と実忠に促されて二人は畏まって並んで座った。どちらも顔を痣だらけにしていてふてぶてしい面構え。

「勤操、お前いくつになった?」

と実忠に聞かれたので「48です」と答えた。

「徳一は?」

「は、38です」

実忠は丸薬を紙包みにくるんで傍らの小箱に納めると、はぁー…と溜息をついてから立ち上がって説教を始めた。

「いい大人が寺で児戯みたいな喧嘩か?主催者の和気兄弟と最澄が退出した後だったから良かったものの、事と次第によっては和気氏の不興を買い、出入り禁止を喰らっていたかもだぞ。
将来の南都六宗を背負う二人が何をやっている?特に、徳一!」

はっ!と叫んで顔じゅうに脂汗を浮かべて徳一は床に両手を床に付き、さらに姿勢を低くした。

「お前の遣唐使願いを握りつぶしたのはわしの一存だ」

え!?

反射的に顔を上げようとする徳一の頭上に実忠は手を置き、我が子にするようにぐりぐりと撫でながら言い聞かせた。

「いいか?わしは師の良弁さまにお前の後見を頼まれたのだ。いずれ法相宗を継ぐお前を唐への危険な航海に行かせる訳がなかろう」

「なれど、それでは最澄に出し抜かれてしまいますぞっ…!」

「代わりに霊仙(りょうせん)を行かせる。何か不満が?」

法相宗の霊仙は齢43、実績も人望もあり確かに最澄に対抗するには相応しい人物である。

「ありませぬ…」掌の下で徳一が屈服するのを確かめると実忠は破顔一笑し、

「お前らみたいに喧嘩するほど元気のいい僧侶たちでないと今の仏教は変えられぬとわしは思うよ。だがまだまだ頭が固い。
これでも読んで思考を柔らかくするんだな」

と徳一の頭上に何やらはらはら、とばら撒かれたのは漢文で書かれた手紙の束だった。

「下がってよいぞ」と言われたので二人は手紙をかき集めて二月堂を辞した。


聾鼓指帰(ろうこしいき)、と題された長い手紙を徳一が読み終えるまでの間、勤操は「愉快や、愉快や!」と酒飲んで笑っていた。

最後の十韻詩まで読んだ徳一は読んでいた手紙から目を離すとしばらく天井を見上げ、無言で私度僧空海紡いだ物語世界を振り返り…

「これは…実に面白い」と膝を打つと、部屋の隅に控えていた少年僧、智泉に「小僧、酒持って来い!」と命じた。

「は」と一礼して部屋を出た智泉は今年13才。去年みづらだった髪型を短く剃り、墨染めの衣に身を包んで正式な少年僧となった。

誰にも見られないように戒明の部屋の床下に隠してある酒壺から柄杓で瓶子に酒を注ぎ、それを衣の袖に隠して勤操の部屋まで運ぶ。

智泉が瓶子を差し出すと徳一は「ん」と肯いて受け取り、直に口に付けて喉を鳴らして飲み始めるではないか。

たしか法相宗の徳一和尚と言えば品行方正、と評判高いお方ではなかったか!?

戒明さまといい、わが師の勤操さまといい、こっそりとだけど平気で飲酒するし!

「大安寺は外国からの留学僧を受け入れる開明派の寺だからいい」と大叔父の阿刀大足の勧めるままこの寺に入ったけど…

開明的というのは、つまり「ゆるい」という意味なのだろうか?

と智泉が考えている横でほろ酔いの高僧二人はここから政治的な会話を始める…

「空海というのはこの寺に出入りしているあの小柄で人懐こくて賢しらな私度僧だろ?あいつがこの手紙の作者で、短期間でこいつの才を知らしめるために、その」

「せや、遣唐使選抜まで時間が無い。わしが空海の叔父の阿刀大足(あとのおおたり)に頼んで大学寮の学生に手紙を大量に書写させて学生、貴族、僧侶たちにばら撒いたっちゅー訳や。
まさか東大寺の実忠さまの所まで出回っているとはな」

と得意げに笑う勤操。その横でうーん、と徳一が考え込む。

「この手紙が宮中にまで出回っていれば最澄に反感を持つ貴族たちも動くかもしれん。だが、空海は正僧になる儀式をまだ受けていない。いくら才があろうと唐行きは無いぞ」

そこでや、と勤操は徳一の肩を引き寄せて「お前の方から空海がいつでも受戒出来るように律宗に働きかけて欲しい」

南都六宗の一つで鑑真和上開祖の律宗は、国家公認の正僧になるための儀式である受戒の権限を持つ宗派である。

「それなら可能だし、儀式を行う僧を紹介もできる。しかし、いつでもとはどういう意味だ?」

「できれば出航直前に受戒させたいと戒明さまの意向や」

はあ?と徳一は形の良い眉を跳ね上げ思いっきり怪訝な顔をしてみせた。

「だって、いま正僧になってしまえば何処かの宗派に属せねばならんやろ?それはあかん」

「無宗派のまま唐へ行くのか!?」馬鹿な!再び徳一は考え込んだ。もしそのような僧が唐で学びを得て帰国して何をするんだ?

あ…閃きと共に徳一は顔を上げて「空海に仏教の新宗派を興させる気か!」と面白い事を見つけた子供のように目を輝かせた。

せや、と笑みを浮かべた勤操は次の一言で完全に徳一の取り込みに成功した。

「空海は将来最澄をいてこます男や」

「是非協力しよう」

二人の高僧は堅く両手を握り合った。


夜も更けて、酔いも醒めた。松明を持って自分を送ってくれる智泉に

「私の父は南家の藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ)

と徳一は唐突に語り始めた。

「出世の為には手段を選ばない男で、邪魔と判断したものは皇族男子でも殺した。結果、天武天皇の皇統を滅ぼした大罪人となった」

智泉は無言で徳一を振り返った。松明の明かりに照らされた徳一は表情を変えずに歩きながら話し続ける。

「戦乱で負けた父は家族ともども琵琶湖のほとりで皆殺しにされた。私の母も斬られた。
赤ん坊だった私もそうなる筈だったがなぜ生き残ったかは分からない。
物心ついた頃から従者に連れられ、刺客から逃げ回って育ったのは覚えている。
東大寺に助けを求めたのは5才の時だった。
私が僧として生きる事を許されたのは、良弁僧正をはじめとする東大寺の僧たちの庇護のおかげなのだよ」

あまりにも重すぎる徳一の身の上話に智泉は何も言うことが出来ない。

「確かに今の奈良の仏教には問題がある。議論だけの役立たず集団に堕した南都六宗は内側に居る僧たちが変えなければいけない。
だが、そう気付いている者が少なすぎる…最澄にはわざときつく当たっているが、私には私の守るべきものがあるのだ」

とそこで徳一はふふっ、と片頬で笑って智泉から松明を取り上げると帰るよう促した。

「ご苦労、後は一人で帰る。さっきの話は酔っ払いの独り言だと思って忘れろ」

坊さんになったら秦も藤原も関係ないのや。

夜道で一人になった徳一は、昔子守の少年僧がしてくれた言葉を思い出し、

嘘やったやないかい。

表向きの政治に一番反応するのは坊さんたちだったやないかい。勤操和尚。

と自虐的な笑いを浮かべた。

ふと見上げると夜空の雲が晴れて、松明も不要なほどの星明かりが旧都の空に瞬いている。

辛くなったら空を見ろ、一瞬でも憂さを忘れられるぞ。と教えてくれたのは育ての親の実忠さまだった。

なるほど旧都は打ち捨てられて寺ばかりになっても、夜空の星の位置は変わりない。

空と海で空海か。果たして空海は、この国の仏教の旧弊を打破する希望となり得るのか?

「空海とは、なんとも掴めぬ名前よのう」

と自分で言った言葉に思わず吹き出してしまい、自分が住む興福寺へと徳一は歩き出した。











































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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