第114話 橘秀才

文字数 5,516文字

この時代、当代髄一の芸術家は誰かと尋ねたら都の人々は必ず彼の名を答えたであろう。

彼は賜姓皇族という高貴な血筋に生まれながら謀反の罪に問われた祖父の代で家は没落。十八の時に父も死に、生きている間に五位を賜るかどうかという位将来は閉ざされていた。

二十二の時、己が人生を賭けて遣唐使に志願し命懸けで海を渡り唐長安で最新の書体と楽を学び日の本に持ち帰った。

筆を持たせたら彼にしか書けない字を書き楽器を持たせたら彼にしか奏でられない調べを奏で、

書の大家である柳宗玄(りゅうそうげん)は彼の類稀なる才能に惚れ込み

橘秀才(きつのしゅうさい)

という称号を贈り褒め称えた。

以降、橘逸勢は帰国後も橘秀才と呼ばれ続ける事になる。

弘仁九年(818年)晩春。

内裏の庭の白砂を(くつ)でしゃりしゃりと踏むこの乾いた感触が心地よい。藤の花も散り梅雨が来る前の程よく乾いたこの季節が逸勢は大好きだった。

この日の逸勢は細長い布包みをまるで幼子でも抱くように大儀そうに抱えている。
それを見た宮中の役人が「お荷物は従者に持たせればよろしいでしょうに」と言うと逸勢は屹と顔を上げ、

「楽人なら何時如何なる時にも愛用の楽器は手離さぬものです」

と言い切った。相手はそ、そうですか…と首をすくめるしかない。逸勢の楽に対する執心の深さは宮中の誰もが周知の事であった。

宮中でとりわけ警備の厳しいある部屋に着いた逸勢は見張り役の武官に名と身分を告げるとそれだけで武官は
「橘秀才さまのお越しを楽しみにしておりました」と顔を上気させ、逸勢を室内に通した。

「入るぞ」

と逸勢が告げるとがさがさがさっ!と紙の束を片付ける音が戸越しに聞こえる…

「どうぞ」
と言われて戸を開けると文机を脇に押し退けていた空海が少し息を乱しながら慌てて床座して学友の来訪を迎えた。

実は空海、二月(ふたつき)ほど前から帝の密命でここ宮中の一室に籠って何かを書いている。どうやら高野山下賜の交換条件に帝から出された私的なものらしい、が、

空海自身を極秘裏に宮中に住まわせ、彼の弟子すら近付けない徹底ぶり。

これでは帝の我儘で空海が軟禁されているようなものではないか。

と思った逸勢は是非見舞いに、と従姉妹である皇后嘉智子を通し帝にお願いして許可を取り、空海の前で早速布包みを開けて中から(きん)を取り出して見せた。

この時代の(きん)、と言うのは古代の大陸より伝わる七絃琴として知られる桐の木で作られた本体に黒い漆を塗って仕上げられた長さ三尺余り、幅五寸足らずの絃楽器を指す。

徽きと呼ばれる十三個の目印により左手の指で絃の長さを区切って音程を作り、右手の指で絃を弾く。
(そう)とは違って琴柱(ことじ)や琴爪は用いず爪弾ける琴は唐では文人が嗜むべき弦楽器として普及していた。

「部屋に籠りきりで疲れているだろうお前にせめて楽のお見舞いをと思ってな」

「それは有難い事です」

逸勢は空海にあてがわれた文机に琴を乗せると孔子が作曲したと云われる曲、碣石調幽蘭第五(けっせきちょうゆうらんだいご)を弾き始めた。

箏ほどの華やかな高音は出ないけれど琴特有の肚に響く低い音声は室内に籠って作業を続け、血がのぼせていた頭を鎮めてくれた。

「…いやあ、逸勢どのの音は帰国なさってますます深みを増したように思われます」

「これでお前に呉れてやった玄象と合わせたら最高の音が出せたのになあ」

ともう十年以上も前の過去の失態を蒸し返されて空海は面食らってしまった。

仔細はこうである。

空海と逸勢が唐留学からの帰国後、大宰府の鴻臚館(こうろかん)に留め置かれていた間、持ち帰った文物の検品以外することが無く碁を打ちながら暇を潰していた。

逸勢が検品の役人に呼ばれて中座し、帰って来た時におかしい、おかしいぞと首を捻っていたので「どうしたのですか?」と尋ねると

「いや…楽の師匠から戴いた琵琶の玄象、どの荷を探しても見つからぬのだ。お前にあげたものだからお前の荷に入ってないか?」

そこまで聞いて空海は学友に対して自分が取り返しのつかぬ失態をしてしまった事に今更気付いた。

実は空海、長安での宿舎であった西安寺を引き払う時に密教関連の文物を優先する余り、

逸勢から貰った琵琶を宿舎の部屋に置き忘れてしまったのである。

「あの…その…実は」
と空海にしては珍しく言葉を詰まらせながら説明と謝罪をすると逸勢は、

「じゃあ玄象がここには無い訳だ」

と納得したようにうなずき、薄い笑いを浮かべながら怒りに任せて碁盤をひっくり返して白と黒の碁石が散る中空海の上に馬乗りになってその顔を拳で何度も殴り付けた。

いきなり起こった貴族と僧侶の暴力沙汰が信じられず広場にいた者たちは呆然としていたが、碁師の伴雄堅魚(とものおかつお)が二人の間に割って入り、
「確かに宝物を失念した空海が悪い。が、空海阿闍梨は国の宝、それ以上手を出すのはやめるのです!」
と逸勢に一喝したのでそこで騒ぎは収まった。

逸勢はそれから十日余り空海と口を聞かず、空海も顔に青痣を付けたまま過ごしていた。

と今は嵯峨帝の碁の侍講になっている雄堅魚が、
「いやはやあの時は楽を粗略にする者を決して許さぬ逸勢どのの並々ならぬ執心を見せつけられましたよ」
と帝への講義の折にその出来事を話してくれた。

昵懇と云っていいくらい仲の良い学友同士と思っていたが。

「あの二人も喧嘩をする事があるのか」

と嵯峨帝が白い碁石を指に挟みながら御尋ねになると雄堅魚ははい、と頷き、

「唐ではしょっちゅうでした。何かと頼りない逸勢さまを空海が叱るという感じでしたが、日を置かずすぐに仲直りするのです」

と言いながら黒い碁石を碁盤に置いた。

「その関係性、朕にとって羨ましいものであるよ…お前たちは唐で友誼という最上の宝物を得たのだ、誇ってよいのだぞ」

と嵯峨帝は次の一手の考えながら軽やかにお笑いになられた。

その玄象という琵琶、二十四年後の承和六年(839年)八月に次の遣唐使藤原貞敏によって日の本にもたらされ、正良親王こと後の仁明天皇の愛器となる。

唐帰国より十三年、三十六歳の橘逸勢は宮中では嵯峨帝の書の侍講、雅楽寮(うたまひのつかさ)で唐楽の指南役と書と楽の第一人者として多忙の日々にあった。

「橘秀才どの、我が倅に最新の書体を教えていただけませぬか?」と貴族からの依頼があれば邸に出向き、

「橘秀才どの、この譜の解釈なのですが…」と雅楽寮の新入りの少年に質問されれば「ああ、それはだな」と相手が納得するまで根気よく教えてあげた。

「周りの者はやれ橘秀才どのとはやし立ててはいるけど…まだ五位もくれない薄情なお上に対してちと尽くし過ぎやしませんかねえ」

あなたは対価に合わぬ労働をし過ぎてはいないか?

と遣唐使仲間の雄堅魚が心配して言ってくれたのがちょうど自邸で逸勢が妻子と寛いでいる時。

平安京は梅雨に入り、いつ止むかもわからぬ雨が地面や庭の草木に降り注ぐこの時期人々は極力外出を控えている。

唐から帰国後、逸勢は高階遠成の姪の浄子と結婚し四男一女に恵まれ家では進んで我が子の世話をする子煩悩な父親になっていた。

今も末娘の逸子(後の妙沖)に手習いを教え、「上手い、上手いぞ」と娘の字を誉めちぎっている。

「雄堅魚が私の体を気遣ってくれるのは解っている。でも子供の頃は病弱で橘の役立たず、と言われて育った私は今周りから必要とされているのが嬉しくてたまらないんだ」

それにねえ、と逸勢は娘を膝に抱いて含み笑いし、

「五位に上がって堅苦しい上奏文を書いて帝の前で畏まるのは私の性に合わない。
そんなのは冬嗣どのや三守どの藤原の貴族に押し付けてりゃいいし、貴族たちから講義代を貰って不自由なく妻子を養える今の生活に私は満足しているんだ」

もう昔みたいに政変だの陰謀だの命の危険に怯えなくていい今の平和な暮らしあるのは今上帝の治世のお陰だ。

と逸勢は従姉妹の夫である嵯峨帝に心底感謝しているのであった。

「それになあ雄堅魚、秋になったら空海が紀伊に行ってしまうので帝は何か盛大な催しを思い付かれたようだ」

「催しってまた宴ですか?」

「空海にばれぬように事を進めてらっしゃるようだけどね、職人たちの動きを見れば大体察しが付くさ」

「帝は一体何をなさる気なのです?教えて下さいよねえ逸勢ど、の~」

それはなあ…とにやにやしながら逸勢はしばらく黙り込んだ、が「やっぱり秘密」とその話は打ち切りにしてしまった。

やがて梅雨が終わり嵯峨帝が密かに計画なさっていた催しが発表された。

それは平安宮大内裏の門額を今活躍する能書家たちの手によって書き直させる事だった。

嵯峨帝御自ら袖をめくって
東の三門(県犬養門(あがたいぬかいもん)、山門、建部門(たけるべもん))と西の三門(玉手門、佐伯門、伊福部門(いふくべもん))
をお書きになり、

橘逸勢には北の三門
(海犬養門(あまいぬかいもん)猪使門(いかいもん)丹治比(たじひもん))

そして空海には南の三門
(壬生門(みぶもん)、大伴門、若犬養門(わかいぬかいもん))

と大内裏の内側にあり、朝廷内での政務・重要な儀式を行う場であった朝堂院(八省院)の正門である

応天門

の額を書く名誉を与えられたのである。

足場が組まれ、大内裏の十二の門の上に後の世に

三筆

と呼ばれる嵯峨天皇、空海、橘逸勢の手で書かれた額が掛けられるのをこのような機会、百年に一度も無いぞ!と都の文人達は四方一里余り(約5.2キロ)もある大内裏の周辺を見上げて回った。

最後に応天門に額が掛けられた時、嵯峨帝はじめ揮毫した空海、逸勢、そして藤原三守や藤原冬嗣、良岑安世と今は参議に出世した嵯峨帝の親王時代からの側近たち皆胸躍らせて新しい額の文字に注目した。

…おお、なんて力強い字なのだ!応天門の天の字の両の払いがまさに天に駆け上って行きそうではないか。

しかし額の字を見た瞬間に心に生じた違和感を拭えずその正体が解らず首をひねっていた。が、

「なんで最初の『応』の起点を打ち損じるのかなあ」

と空海のとんでもない失態をのんびりとした口調で指摘したのが他でもない逸勢だった。


皆の目が応の字に集まり、確かに良く見ると「応」の最初の一字が欠けている。(つまりは応のまだれががんだれになっていた)嵯峨帝はじめその場にいた者たちが
「あ…」と声を洩らし、空海自身が「…あっ!!」と顔を真っ赤にして叫んだのはほぼ同時だった。

幸い足場が組まれたままだったので空海がそこに上り、額に点を打って完成させたので事なきを得たのだが、

「足場から降りた時の貴人の方々の気まずそうなお顔、帝のなにか言いたそうで言えないご様子。あの時ほど生きてきて恥ずかしいと思ったことは無かった…」

翌年の弘仁十年秋、高野山から都に呼び戻された空海はその時の心境を大内裏北の県犬養門の下でたまたま出会った貴族の青年に語った。

「空海阿闍梨も間違うことがあるんですねえ…」
と話を聞いた青年はふたたび海犬養門の額を見上げ、

「東西の額は精緻な字で南の字は勢いがあるけど私はやはり北の三額の文字が好きです。書いた方の伸びやかさが伝わって来る気がします」

とやはり橘秀才の字が好きだ、と宣言した。

一目字を見ただけで書いた者の本質が解るとは見所のある若者だな、

と思い空海が「どこの若様ですか?」と名を尋ねるとその青年は

小野岑守(おののみねもり)の倅、(たかむら)です」

と大きな体を縮めて恥ずかしそうに笑った。

「唐に琵琶を忘れた事といい、応天門の額のことといいよりにもよって最大の仕事で慌てて失敗をするのがわしのどうしようもない所だが、
『一つも失敗しない隙の無い人間に可愛げも面白みもないよ。
お前がたまにしくじりをすることで人間としての均衡が取れているのだ』

とその場で逸勢どのが言ってわしの心を救ってくれたのだ」

昨年宮中に籠っていた時に逸勢が自分を見舞って弾いてくれた幽蘭という曲は昔、

孔子が諸国を放浪して用いられず、魯に帰るときに、ひっそりした谷に蘭が咲いているのを見て、自らが用いられないことを蘭に託して猗蘭操という詩を作ったという伝説から生まれたと言われる。

漢詩の世界では優れた人、高潔な人格者を蘭に例える詩がよくあるが、

空海は橘逸勢という人を、

自分がそうだと自覚せずに自ら世間の評判を求めずただそこに咲いている蘭の花だと思った。
だからこそ周りの人々は都に数多いる文人の中から彼を見つけ、彼の表現するもの全てに惹き付けられたのかもしれない。


「もし私が居なくなったらこの楊梅(山桃)の木を私だと思って下さいませ」

と藤原三守の妻、橘安子は生前よくそう言っていた。

だから私は今日、嬉しいことをあなたに報告しよう。

「安子、今日この家に新しい家族が来るよ」

参議藤原三守はこの日も庭の楊梅に向かって話しかける。

典侍橘安子は二年前の冬、宮中づとめの最中に頭痛を訴えて退出し、自邸で意識を失うとそのまま卒中の発作でこの世を去った。

最愛の正妻を失った三守の嘆きは深く、表向きはそつなく政務をこなしていても周りから見ても明らかに精彩を欠いていた。

「少しは休め三守、このままお前が倒れては皆が困る」

と義兄の冬嗣に指摘されて自分が妻の居ない心の穴を仕事で埋めていた事、それが却って側室や子供たちを寂しがらせていた事に気付いた。

それから三守は時間が空いたら出来るだけ家に帰って家族と過ごすようにし、二年近く経ってようやく生来の明るさを取り戻していた。

「その家族というのはね…この木の枝を折ってとんでもない子!とあなたがしばらく怒っていた相手なんだよ」
とそこで三守は木に向かってくすくすと笑う。

でも心根が優しい若者だし私たちの娘、睦子(むつこ)ももう十四の年頃だし許してくれるよね?

程なく今夜の婚儀のため婿殿とその両親が到着し、三守自身が婿と見込んだ若者、小野篁が出会った頃より一尺近く背が伸びて張りのある大きな声で「三守どの!」と屈託の無い挨拶をした。

次に楊梅の木を見た篁が言った言葉でこの縁組は間違いではない、と三守は確信した。

「見てください舅どの…雀が戻って来ている!」































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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