第11話 賀茂のタツミ

文字数 4,295文字

「ほう、確かに(はた)氏からの紹介状だな」

と勤操から預かった書状を開くその男は、威張りくさって岩の上に腰掛けていた。

白い上着と袴に草鞋を履いただけの簡素な恰好をした垂髪の男は、年齢は見た目三十四、五というところ。

凛々しい眉に真っ直ぐで高い鼻梁を持ったいい顔立ちなのだが、野生の獣のような油断ない目つきで真魚を見下ろしている。

「お(かしら)」と周りの者たちから呼ばれているのでこの男が葛城山の修験者の頭領なのであろう。

真魚はというと白装束の四、五人の者たちに囲まれ、両手を縄で縛られ、完膚なきまでに打擲(ちょうちゃく)されて頭領の前に引き出されている。

「悪い悪い、打擲は挨拶代りだ。俺はこの山の頭領、巽(タツミ)という。ま、よろしく頼む」

何もなかったかのように、タツミはからからと笑った。

「まず、打擲、という挨拶は聞いた事ありまへんな…」

体中の痛みをこらえて真魚が声に怒りをにじませて皮肉を言った。

なぜ真魚がこんな目に遭ったかというと、

ええと、そろそろ集落みたいなもんが見えて来る筈やけど…と勤操から渡された地図を頼りに葛城山の頂上に向けて登る途中で、

六根清浄、六根清浄…と囁く声が山林の奥から、そしてどんどん近づいて自分を取り囲んでいる。なのに人の気配を感じない!

濃い葉陰の中で陽の光がちらつく。真魚は本能的に畏れを感じ、全速力で走り出した。

脚では誰にも負けへん!山中で盗賊に襲われないための護身術を勤操から叩き込まれている真魚は、走りながら心の中を空にした。

そして、自分に一番近い気配を感じ取った。

(あたしらから逃げるなんて生意気な私度僧だねえ)と、焦った声で真魚に追いつこうとする小柄な白装束の姿が木々の隙間から見えた。

そこだ!

真魚は白装束の人影の、右肩のあたりに自分の杖を打ち込んだ。くっ…と白装束が自分の杖を取り落す。

六根清浄!!

ばきっ!と背中を棒のようなもので叩かれ、次いで顔を頭巾で隠した白装束の者が杖で真魚のみぞおちを突いた。

「ばかめ、複数で取り囲んでいたことに気づかなんだか?」低い男の声が、真魚の背後に振りかかる。

こいつらが、修験者?と思ったと同時に真魚は意識を失った。


「しかし、修験者に一撃食らわせるとは大した男よ。おまえ余程修行を積んでいるようだな」

タツミの前で縄を解かれ、真魚は怪我の治療のために葛城山頂ちかくの集落にある一番大きな家屋に入れられて、

真魚は(たで)という若い男から上半身裸にされ、打撲の治療を受けながら言われた。

「先程、お前が一撃食らわせた修験者、実はわたしの妻でな。わたしも逆上してお前を強くぶってしまった。許せよ」

蓼は年は真魚と同じ二十代半ばであろう。目が細く、眉が濃く、いつも口元に穏やかな笑みを浮かべている。

蓼に数種類の薬草をすりつぶした膏薬を真魚の背中に塗り付けれらると、たちまちすうっと背中の痛みが引いていく気がする。

「今日中はうつぶせ寝で過ごされよ。あなたなら二、三日で回復する」と蓼は水の入った木の器を真魚の枕元に置いた。

彼は、都の僧侶や尚薬(薬剤師)よりも優れた薬草と医術の知識を持っている。と真魚は室内にずらっと干されている薬草の束を首だけ上げて眺めながら、思った。

「あなたはわたしから、医術と薬草のことを、外の者からは田畑の作り方や灌漑、木工(建築)を学ぶ」

蓼どの、と真魚は自分が修験者に抱いていた、修験者はただただ己を鍛錬するだけの修行ぐるいの集団。

という先入観をこの集落に入ってから「自分が見たもの」で一変させていた。

「ここの人びとは、山を守る外の人びとは恐い修験者たちだが…中に入ると普通の人びとばかりですな。

妻や子を持ち…皆、溌剌と笑い合っている。都の人よりも」

そうだよ、とタツミが薬草部屋に入って真魚が寝そべる横に片膝ついて座った。

「子供が多いことに気づいたか?」

「はい、二、三人の大人が、十数人の子の世話をしている。親がいないのですか?」

「そうだよ。あの子たちは、数年前の長岡棄都のとばっちりで親に棄てられた子たちだ」

真魚の脳裏に、あの長岡京の洪水で流された者たちの、骸の光景が蘇る…

おもいっきり顔を上げたので、背中にまた激痛が走った。

「まあ、俺たちは、だいたい女帝持統の御代からこの山で孤児たちに読み書きや木工、農作など『生きるための全て』を教えて

十五になったら旅立たせる。みんな開墾、木工、貴人の家来など、人の役に立つ人間になるよう育てている。ここに残って俺の手伝いをするのも自由だ」

自由…都を出て山林修行に入り、ようやくつかみかけた自由というもののかたちが、ここにはあるではないか!

「まあなんだ、朝廷の政治のしくじりで増えた孤児の面倒を見ることで、俺たちは朝廷からお目こぼしをいただいている。

…そういう所なんだ。なあ真魚、出家と在家の違いは何だと思う?」

「それはまあ出家は在家と違って肉食妻帯せず、寺で講義したり山で修行したり…」

「どっちが、『ふつうの暮らし』だと思う?」

…あ!そうだ、学び、成長し、働いて家庭を持って子を作り、育てていくのが娑婆ではないか!

ふつうの、人間の暮らしではないか!

出家した者が在家を見下すのがおかしいんや…出家前に、戒明さまがわしに見せたかったものはこれか。

「気が済むまでここで学ぶといい。俺はお前に修験道と体術を教える」

「すんまへん、僧侶にこれ以上の体術は必要は…」

「お前、虎に喰われたいか?」

わざと恐い声で、タツミは言った。

「は?」

「海の向こう、唐には虎という熊よりも俊敏な生き物がいる。論語に出てくるだろう?虎は、人を喰う」

「いえ、だから話がよく見えまへん。いきなり唐って言われても」

「知らないよなあ、朝廷では二十数年ぶりに遣唐使を送る話が持ち上がっている。お前、戒明じこみの唐語を役に立てろ」

タツミさま、わしに遣唐使になれと仰ってるのか!?

「しかしまだ正僧にもなってへん自分が…」

「問答無用、あさってから修行をつける」

立ち上がって出て行くタツミの姿を眼で追うだけの真魚に、蓼はくっく、と笑いながら声を掛けた。

「心配するな、お頭はあなたを気に入ったようだ。…しかし修行は厳しいぞ、覚悟しろよ」

と言って薬草入りの粥を器にすくい、真魚の枕元に置いた。

「食べなさい、力を養うためだ」

あさってからの生活に八割の期待と二割の不安を感じ、真魚は苦い粥をすすった…


断崖絶壁の淵に、真魚は立たされていた。

垂直に切り立っている崖の下から吹く風が、ぴゅーっと真魚の前髪を巻き上げる…

自分の腰には頑丈に作られた縄が巻かれている。さらにその縄は背後の樹の幹にしっかりと括りつけられているし、

自分の後ろでタツミと蓼が縄を持ってくれているので、飛び降りても遜色はないだろう。

しかし…人の肉体は死ぬかもしれない環境に置かれると、自然と体が動かなくなるものなのだ。

「どうした?さっさと飛び降りちまえよ」

タツミは苛々とした声を真魚の背中に投げつけた。

「お頭、初めての吊るしではこんなものですよ…無理せずご自分の覚悟で飛んでください」

蓼が真魚の足の震えを見て優しく声を掛ける。

この修験者二人は、いい方こそ違え崖から身を投げろ、と促しているのである。

葛城山から南東の方角にあるここ山上ヶ岳(大峯山)で、「西の除き」と呼ばれる修験者の荒行を真魚は今まさに準備万端。

あとは死んだ気になって飛び込め。

「そそり立つ絶壁から命を断つ覚悟で身をのり出し、仏の世界を覗く修行です」

と蓼に説明された後、腰縄をつけられ、タツミに背中を押されて崖っぷちに立たされた。

「あの…これは落ちたら死ぬ高さですよね?」

だから何?と言いたげな表情で、二人の修験者は真魚の言葉を聞き流した。

「万が一縄が切れでもしない限り、安全は保障する。その縄は船を港に繋げる縄と同じ作りで丈夫だ」

ゆっくりと振り返って、真魚は聞かずともよいことを尋ねた。

「あの、わしが飛んで切れたりしたら…?」

「それまでだ」

無表情でタツミは答えた。

それまでって!?途端に両脇の下から汗が噴き出した。

「あ~…勤操から荒行叩き込まれてると聞いてたんだが、がっかりだな。おい真魚、もし自分から飛び降りれたら、面白い事教えてやる」

「面白い事、でっか」

四の五の言わずに、飛び込め!

頭の奥で、勤操の声が響いた。ああ、わしはあの人に崖から蹴り落とされて仏道修行の道に入ったんやった…

震える足を無理矢理腰から動かし、真魚は大股で崖の淵の先に地面があるかのように歩き出した。

目は開けたまま、三歩目で真魚のからだは宙へ歩き出した。かのように蓼には見えた。

たちまちぐん!!と縄が伸び、タツミと蓼は渾身の力で真魚の重みを支える。

縄を伝って崖下を覗いたタツミは、真魚が両手両足を広げてまさに宙に身を預けた姿勢で

「思ったよりいい眺めでんな~」と楽しそうに揺れてぶら下がっていた事に結構驚いた。

成程、空を飛ぶとはこんな気分か。なんと気持ちのいい…!

そして「おまえなかなかいい度胸だな、見直したぜ」と真魚の体を引き上げながらにいっと歯を見せて笑った。

ああ…こいつは叩き甲斐がある、とお頭思ってらっしゃるな。と蓼は内心真魚を気の毒がった。

「教えてくれるっておっしゃった、いいこととは何です?」

と崖上に戻って腰縄を解いた真魚はタツミに向き直って聞いた。

「むかし、戒明と勤操も修験道の行でここから飛び降りたんだが…

戒明は俺が突き落とすまで動けないままだったし、勤操に至っては飛び降りた時、白目剥いて気絶した。

という訳でお前、お師匠二人の弱味を握ったな」

次は俺が飛ぶ。と言ってタツミは自分の腰に縄を括りつけて真魚と蓼に「必死で支えろよ」と低い声で命令すると、

崖先に向かって軽やかに走り出し、真魚と同じ大の字になって

「わはははははは!」と笑いながら宙に踊り出した。

身の丈六尺近くはあるタツミの体は予想通り重く、真魚の時の倍近くの力でぐぐん!と伸びる縄を引いて、蓼と真魚は必死で地面に踏みとどまった。

「どーだー?空も、地面も、風も、我が身を受け止めてくれる。最高だろ~?」

「…お頭は、荒行しすぎて恐怖心が磨滅なさっているのだ」

高笑いしつづけるタツミをよそに、蓼が真魚にほとほと呆れた顔をしてみせた。

「おかしらぁ~、いつまで吊られていなさる?こちらは疲れてきましたぞ…」

「あ、悪い。自分で上がって来る」

とタツミが崖の岩肌を自らよじ登って顔を見せた時、何という腕と足の力か!これが究極の山岳修行者、修験者なのか。

と今まで自分がやってきた行の生ぬるさを真魚は思い知った…
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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